【ステンレス鋼管のねじ込み配管】知っておくべき5つのポイントとは?

ステンレス鋼管といえば、薄肉のナイスジョイントやZ-lokなどを思い浮かべる人も多いかもしれませんが、ねじ込みも意外と多いです。

それで、ステンレス鋼管のねじ込みは、普通の給水配管(VBやVA)と比べて、注意しておくべき点があります。

 

これを押さえておけば、漏水のリスクを減らし、よりスムーズな施工ができますから、ステンレス鋼管のねじ込み配管をやる方はぜひ最後までチェックしてくださいね。

 

バンドソーの刃をステンレス鋼管用にする

ステンレス鋼管を加工する際には管を切断するわけですが、なんの工具を使用するかと言えば、やはりバンドソーでしょう。

ステンレス鋼管は非常に硬いためチップソーのような高速回転する刃は適さず、管をしっかり固定して低速の刃で切断できるのは、バンドソー以外に考えられないですから。

 

ただし、セットする刃には注意が必要です。

なぜなら、鉄用では切断に時間がかかる上にすぐ刃がなまってしまうため、専用の刃を使う必要があるから。

 

替刃にも材質や山数などによってたくさんの種類がありますが、ケチらずにちゃんとした刃を使いましょう。

なまってしまった鉄刃での切断はマジで地獄ですよ。(50A1本切るのに3分かかるとかもあります)

 

ねじ調整とねじ切り

ねじ込み配管で1番大事と言っても過言ではないのが、「ねじ調整(ねじ切り)」です。

なぜなら、硬すぎる(柔らかすぎる)ねじでは確実に漏れますし、質が悪く傷ついたねじなら施工時も非常に苦労するから。

 

とにかく最初に“良いねじ”になるようにねじ調整を行うことが超大切です

これは普通の鋼管のねじ込みでも同じことですが、ステンレス鋼管は硬くてねじ込みにくいので、特に意識して行ってください。

 

目安としては、「手で締めていって継手側が1山残しで止まるくらい」です。

普通の鋼管よりはほんの少し柔らかいくらいにしておいた方が良いです。

 

旋盤のチェーザについて

ステンレス鋼管は硬いので、専用のチェーザを使う必要があります

 

普通の鋼管用のものでもねじを切ることはできますが、チェーザの寿命がかなり縮まってしまいます

チェーザはかなり高価なものですが、ここをケチって併用してしまうと逆に高くつく可能性もありますから、それぞれ用意しましょうね。

 

ニップルを切る際の注意点

「ニップル切り」があれば問題ないのですが、自分で頑張って切る時には特に注意したいです。

ニップルが短くなるほど、ねじ部を押さえることになってくると思います。

 

そうするとねじ部に若干の傷がつくのです。やったことがある人は分かると思います。

VBやVAではよくやりがちなことなのですが、これはステンレス鋼管では極力やらない方が良いです。

 

なぜなら、このちょっとした傷が原因で漏れてしまうこともあるからです。

ニップル切りを使う・寸法指定のニップルを注文するなどして、漏水のリスクは減らしましょう

 

ねじの取り扱いに注意

ステンレス鋼管はねじ部でもほとんど錆びることはありません。

なので加工した管を置いておくのにも、裸のまま養生しない人も多いです。

 

ただ、錆はしなくてもホコリはかぶりますし、何よりも怖いのが「傷」です。

ステンレス鋼管はねじ部のちょっとした歪みや傷によってすぐに漏れますから、継手を仮につけたり防食テープを巻いたりして保護しておくのが無難です

 

よく、ねじ付きの管を注文するとねじ部保護のために取付けられている、樹脂製のキャップみたいなものを利用しても良いかもしれませんね。

※サンコー機材株式会社 「ダスパー」

適切なシール材を選ぼう

ねじ込みに使うシール材は、いつも給水配管に使う「55」などとは異なり、専用のものを使わなければなりません。

なぜなら、炭素鋼管(VB管やVA管)に比べて硬いため継手と管の密着具合も違いますし、ねじ込み勝手も全然変わってくるから

 

種類はいくつかあるのですが、総じて普通のヘルメよりは“塗りにくい”です。例えば以下。

 

これはチューブタイプだったり、質がサラッとしている(またはドロっとしている)ことが理由です。

シール材についてはまとめた記事がありますので、ぜひ参考にしてください。

参考:配管のシール材を完全理解!ねじ込み配管やるなら絶対に知っとくべき

 

排水なら勾配に注意

ステンレス鋼管用のねじ込み継手は、基本的に排水用ではないため勾配がついていません。

にも関わらず、病院や工場では排水配管に利用されることも少なくありません。

 

つまり、継手の向きによっては勾配をつけるのが難しかったり、つけるのが適切でない場面が出てくるということ。

例えば継手が横向きなら角度をつけるのは簡単ですが、継手が縦向きなら基本的に角度をつけることができません。

 

なので、ひと振りして角度がつけれるようにするなどの工夫が必要になってくるわけです。

 

また、上階へスラブを貫通して立ち上がる1つ手前のピースは、勾配をつけてしまうとそれが上階に影響してきます。

これを防ぐには、単純に立上り手前の1ピースを水平にするか、ひと振り入れて角度を戻すなどの対応が良いでしょう。

 

今回のまとめノート

ステンレス鋼管のねじ込み配管は、病院や食品工場などで採用されることが多いです。

施工する際にはねじ切りやねじの取り扱いをより一層慎重に行い、専用のシール材を使用しましょう。

 

このページの内容を、ぜひ施工時の参考にしてくださいね。

では、良い配管工ライフを!

参考:【SUS管】ステンレス管の接続方法[薄肉・厚肉の全10種類]

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