【吊りバンドの施工方法】手順や注意点を押さえてスピードアップ!

天井配管に欠かせない「吊りバンド」

実はこの吊バンドは配管作業全体で考えた時にカギとなる工程です。

 

なぜなら、バンドが吊れるということは最も高い位置での作業であるアンカー内や金物の取付けが終わっているわけですし、配管ルートも見えていることになるから。

今回はそんな吊りバンドについて、施工の手順や注意点をまとめます。

作業のキモになる内容ですから、ぜひ最後までご確認ください。

 

給水系と排水の違い

手順の前にまず確実に押さえておかなければならないのが、給水系の配管(給水・給湯・冷水・温水など)と排水配管の違いです。

具体的には「勾配の有無」になります。

 

給水系の配管には基本的に勾配はありませんが、排水配管(ポンプアップを除く)には勾配があります

下流に向かって下りの勾配をつけなかれば排水が流れないからです。

 

この勾配は排水を流す口(器具類)から竪管や枡まで、一貫して下っている必要があるということ。

障害物にぶつかったから一旦上げる、みたいなことは許されないわけです。

 

つまり、1箇所でも間違った基準から勾配をつけてスタートしてしまうと、その後の吊りが全て直しになってしまう可能性があることも頭に入れておかなければなりません。

スタートからゴールまでの全体のルートを見極めた上でのバンド吊りが必要になってくるのです。

 

ちなみに給水系の配管に関してもエア溜まり防止などの観点から、できるだけ上がり下がりしない方が良いですね。

バンド吊りの基本的な手順

まずはバンド吊りの基本的な手順をまとめます。

  1. 吊り棒(全ねじ)を何で固定するかを決定
  2. 吊りバンド種類の確認
  3. アンカー打ちまたは金物固定
  4. バンドの芯引き確認
  5. 全ねじの切断
  6. バンドの取付け

 

全ねじを固定するものはほとんどの場合アンカーですが、状況によってはネグロスだったり共通架台だったりします。

そして意外に盲点なのが「吊りバンドの種類」の確認

材質(ユニクロ・ステン・ドブ)、GP用・VP用・デップ、防震ゴム付きかなど、最初に確認しないと後々全交換なんてことにもなりかねません。

 

アンカーについても、ショートアンカーなのかQCアンカーなのかなど現場によって変わってくるので確認が必要です。

また、「吊りピッチ」は必ず守るようにしてください

 

吊りピッチは配管が撓んだり勾配が狂ったりしないように適切に決められていますから、「継手の近傍何ミリ以内」なども含めて必ず現場の仕様を確認するようにしましょう。

それらがカチッと決まったら全ネジ切断のための芯引きを確認します。

 

芯引きが分かったらその分を差し引いた長さで全ねじを切断します。

その際の順序は主に以下の2つ。

  • 長めの全ねじをアンカーなどに挿入し配管芯に合わせて切断する
  • 天井〜配管芯までの長さを測り全ねじを切断後にアンカーなどに挿入する

 

どちらがいいかは好みにもよりますが、てもとがいるのであれば寸法を伝えて切ってもらった方が作業が捗るでしょう。

ちなみにですが、全ねじの切断に際して「バリ取り」は必ず用意しておきましょう

 

刃を替えたばかりの全ねじカッターでも、たくさん切断すればいずれバリは出るようになりますし、ステンレス製なら尚更です。

色々と使いましたが、やはり以下のタイプが1番オススメです。

吊りバンド施工時のポイント5選

ここからは施工時のポイントとなることを5つご紹介します。

前章での基本的な手順にプラスして押さえておくことで、ほとんどのトラブルは回避できるでしょう。

 

  1. 配管径は間違っていないか
  2. アンカーやインサートの飲み込みは把握しているか
  3. 天井や床に勾配が付いていないか
  4. 複数のスリーブや障害物が考慮できているか
  5. 上を通る配管やダクトの邪魔にならないか

 

一つずつ説明していきます。

 

配管径は間違っていないか

材料を集める段階で必ずやっておくべきこととして、「配管径の確認」があります。

当然のことながら、異なった吊りバンドで配管をつることはできませんし、芯引きも異なってきます。

 

つまり、径を間違えて吊ってしまった全ねじは全て交換(切り直し)になってしまうのです。

また、管種を間違えるということもあり得ます。

 

例えば、耐火二層管と鉄管や塩ビ管ですね。

大規模な新築工事では管種も管径も多種多様ですから、くれぐれも間違えないよう注意しましょう。

 

アンカーやインサートの飲み込みは把握しているか

新築工事では天井配管のためにインサートが入っていますよね。

出典:NICHIEI INTEC

 

このインサートは配管の通りとズレていたり、継手の近くになかったりと使えないケースも多いもの。

その場合アンカー(雌ねじ・雄ねじ)を打って全ねじを垂らすことになりますが、そこでの「飲み込みの違い」に注意しましょう。

 

具体的には、天井面を基準とした場合インサートの種類やアンカーの種類によって飲み込みが違ってくるため、合わせて全ネジの長さを調整する必要があるということ。

 

天井や床に勾配が付いていないか

建物によっては、勾配天井になっていたり、床に勾配が付いていたりします(特に最上階)。

そうでなくても、天井面・床面が均一になっておらず躯体がガチャガチャだとか、段差がたくさんあるなどの場合には、基準にしない方がいいでしょう。

 

勾配天井に気が付かずに、天井を基準にして吊っていったらどうなるかは、容易に想像ができます。

そこで頼りになるのがレーザー

 

レーザーは必ず水平なラインを出してくれますから、それを基準にしてバンドを吊っていくのです。

例えば排水の勾配が天井勾配と逆方向なら天井基準では逆勾配となってしまいますが、レーザー基準にすれば問題ありません(下図)。

 

どうしてもレーザーが準備できなければ、細もののパイプや木(まっすぐなもの)を利用して実寸を測っていく方法もあります

吊ったバンドに片方の端を掛け、その上に水平器を置いて勾配を見ながら寸法を測るわけです。

 

ただしこの方法は手先の器用さが求められるのと、吊り間隔が1mより広くなるとやりづらいという欠点があります。

できる限りレーザの使用をお勧めします

参考:コスパ最強! オンラインで1番売れているグリーンレーザーとは?

 

複数のスリーブや障害物が考慮できているか

天井配管が複数のスリーブや障害物の間を抜けていく場合は要注意です。

なぜなら、排水は流れ方向に向かって下がっていくことしかできないから。

 

以下の図を見てください。

 

排水”しも”側の梁スリーブが高かったら、どう頑張っても配管できないのが分かりますよね。

これはスリーブに限らず、何かの設備機械やダウンスラブなどでも同じこと。

 

したがって、吊りバンドを吊り始める前に、まずは配管ルート上のスリーブや障害物を確認した方が無難です。

もし吊り始める前に矛盾に気付ければしめたもの。

 

バンドを吊っている時に気付けばまだいいですが、配管を進めている時に気付くのは最悪ですね。

 

上を通る配管やダクトの邪魔にならないか

大きな角ダクトや電線用のラックなどが配管の上を通ることも多いです。

その場合、配管を先にやることはできなくても、全ねじだけは先に下げさせてもらうことがあります(正確にはアンカーが打ってあれば良い)。

 

むしろそうしておかないと、後々作業できないこともありえます。

この時に、上を通るダクトやラックの邪魔になる位置に下げてしまっては元も子もありません

 

なぜなら邪魔になる全ねじは外すしかないからです。

そうなれば吊りピッチも狂ってきますから、できる限り上にあるものをかわした位置に下げるように意識しておきましょう。

 

現場では監督に他の配管も載った図面を出してもらうと参考になるでしょう。

吊りバンド取付け時のちょっとした気遣い

続いてお伝えしておきたいのは、吊りバンドを全ねじに取付ける際のちょっとした気遣いについてです。

ここでご紹介するちょっとしたことをやっておくことで、後から配管する際にグッとやりやすくなります。

 

ナットを緩めておく

通常ですと吊りタンとバンドはボルトナットで締められています。

吊バンド

このナット部分が、ものによっては指で回せないほど硬いことがあります。

そうでなくても出荷時の状態でそのまま配管を通すのはかなり厳しいです。

 

これを緩めといてあげるだけで配管がスッと通りますから、特に長物を吊る時などものすごく楽ですよ

ただし緩めすぎると、ちょっとした振動でナットが落ちてしまうことがありますから程々にしましょう。

 

開くか閉じるか

バンドを吊っただけの状態では、閉じておくか開いておくかを選ぶことができます。

この辺りは好みにもなるのですが、後々配管を通して(特に長物)使うなら閉じておいた方が良いですし、逆に必ず開くことになるなら開いておいた方が良いですね。

吊バンド 開閉

 

これを配管の種類や状況によって見極められると、職人としての格が上がるかもしれません。

 

SUS用デップの場合

吊バンド デップ

SUS管の吊りバンドは「デップ」を使用する事が多いかと思います

デップのバンドはつがい目があって開くわけではなく、一枚の金属が丸く加工されています(太物を除く)。

 

そこで管1本分程度ぐいっと広げて吊ってあげることで、配管時にはその広がりから管を入れれば1人でも楽に長物を吊ることが出来るのです。

デップは弾力があり滑りにくいですしSUS管は比較的軽いですから、よほど1つのバンドに重さをかけない限りは落ちてしまう事もありません。

吊バンド デップ 開

 

何か書くなら内側下部

全ねじをまとめて切断して吊りバンドを作っておく場合、微妙な長さの違いはパッと見では分かりません。

そこで何か分かるように付番するわけですが、番号や全ねじ寸法などを書くならバンドの「内側下部」にしましょう。

 

なぜなら、配管してしまえば絶対に隠れるからです(露出配管でも問題ありません)。

そして下部ならば全ねじ分を持った時に見やすいです。

吊りバンドの取付け金物色々

最後に吊りバンドを下げるための金物を紹介しておきます。

ビルやマンションなどではアンカーを打ってそこに全ねじを挿入するのが基本ですが、アンカーを打てないケースも多々ありますので。

 

挟み込みの金物(ネグロスなど)

倉庫や工場などでは天井にコンクリート面がなく、屋根と鉄骨がむき出しという事もあります。

そのようなケースで鉄骨(主にH鋼)に挟み込んで使用します。

ネグロス

 

振り方向が1方向や2方向など、様々なタイプがあるので、用途に合わせて使用してください。

注意点として、合わせて「抜け防止金物」と呼ばれるものを取付けることが多いので、押さえておきましょう。

 

デッキに固定するタイプの金物

天井がリブ付きのデッキの場合には、そのリブを利用した金物を使うこともあります。

アンカーを打てばよいのでは?と思うかもしれませんが、アンカーを打てないケースがあるのです。

 

例えば、ハンマードリルによる音出しができなかったり、改修工事で新規のアンカーを禁止されていたりする場合。

そんな時に以下のような専用金物が使えます。

全ねじを締め付けていくことで自然に固定される仕組みになっていますから、施工としてはとても簡単です。

ただしアンカーに比較すればかなりコストがかかりますから、その点は要相談です。

 

ねじ込みT字足・ドリルハンガー

天井が木やパネルなどのアンカーを打つ事ができない材質の場合によく使用します。
ねじ込みT字足 ビスでT字足を固定し、そこに全ねじを吊ります。

ビスで固定するだけなので耐荷重は小さい点には注意が必要です。

 

厚めの木天井ならドリルハンガーが使えるでしょう。

 

ビスと同じ要領で締め付けていくだけで施工が完了します。

ビスの径が太めで長い分、耐荷重もT字足よりは大きいでしょう。

雌ネジのQCアンカーなどと同じように全ねじを挿入して使うことができます。

 

パンチャーによる穴あけ

既存の支持金物や鉄骨の補助にCチャンやアングルが使用されている場合は、パンチャーで穴をあけることで全ねじを使用することが可能です。

ナットとワッシャーを使用して挟みこみます。

 

厚みが10ミリを超すような厚い鋼材でも特殊な工具(テトラなど)を使えば穴あけはできます。

ただし、「鋼材に新たに穴をあけてよいか?」については事前に必ず確認が必要ですから注意しましょう。

 

ハヤウマなどを使用

配管ルートの関係でネグロスやパンチャーを使っても支持が出来ないケースでは、ハヤウマを鉄骨やアングルに縫うことで、全ネジによる支持が可能となります

例えば以下のようなイメージです。

H鋼+ハヤウマ

 

余談:正確な勾配を見るために

ここでの内容はバンド吊りとは直接関係しませんが、配管時に意識しておいた方がいいポイントです。

それは、配管の勾配を正確にみるための注意点。

 

配管や継手の中には、表面が平らでないものがあります。

例えば以下です。

  • 耐火二層管(特に遮音)
  • IRSP
  • MD継手
  • 耐火二層管の継手
  • しなってしまった塩ビ管

 

柔らかいものや凹凸のあるものが被っていたり、コーティングされていたりすると正確に見れないのです。

配管しながら勾配がおかしいと思ったときは、まず正確に測れる場所に水平器を置いているかを確認しましょう。

 

例えば耐火二層管なら飲み込みの塩ビ部分などですね。

今回のまとめノート

天井配管では、吊りバンドを先に吊っておくことができれば、後の配管がとても楽ですし効率的。

複数人いるときは、役割分担できて道具もかぶりません。

 

記事内でご紹介したポイントを押さえて、スピーディかつトラブルの少ないバンド吊りを実践してください。

では、良い配管工ライフを!

 

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