【保存版】現場で本当に使えるアイソメ図を描くために押さえるべき7つのポイント

使えないアイソメ図でミスしたり“ゴミ”を出したりはもうやめませんか!?

現場で本当に使える『アイソメ図』の描き方について、これまでの経験と得た知識を集結させました。

 

器具交換や受水槽の掃除などを除けば、アイソメ図を使わない現場は無いと言っても良いくらい、毎日のように使いますよね。

配管工にとって分かりやすいアイソメ図を描けるようになり、ぜひ日々の作業を加速させてください!

 

そもそもアイソメ図を描く理由を理解する

まず1番最初に理解しておきたいのは、「アイソメ図を描く理由」です。ここをしっかりと押さえておかないと、最終的に分かりにくいものが出来上がります。

配管においてアイソメ図を描く理由、それは大きく以下の2点です。

 

①配管ルートをイメージしやすくする

②寸法を記入し加工に使う

 

ということは、配管ルートがイメージできない、寸法が書き込めない、加工の時に意味が分からないアイソメ図は意味がないのです。本当に大事なので、少し詳しくお話しします。

 

配管ルートをイメージしやすくする

現場では、平面図・立面図・系統図など、様々な種類の図面を使います(監督さんにもらって)よね。実際に配管する場所に図面を持って行き、図面と現場を見比べれば、何となくはルートが見えてきます。

しかしながら、もらったままの“綺麗な”図面にはイメージしにくい箇所があります。それが以下です。

 

  • 他の配管やダクトなど情報が多すぎる
  • 上がり下がりや貫通部のイメージがしにくい
  • そもそも用紙が大きくて欲しい部分だけを見づらい

 

配管図面 配管図面

 

そこでアイソメ図を描くことで配管ルートが立体的になるので、断然イメージがしやすくなります(赤マーキングした排水配管のみをアイソメにしてみます)。

アイソメ図の例

 

寸法を記入し加工に使う

寸法を取っていく際に、もらった図面に直接寸法を書くことは現実的ではありません。

なぜなら、他の情報と混ざってぐちゃぐちゃになってしまいますし、縦方向の寸法が書けない(平面図の場合)からです。

 

アイソメ図を描けば全ての寸法を記入できますし、系統を限定できるので分かりやすいです。

アイソメ図に寸法を記入した例
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アイソメ図を描くのは誰なのか?

そもそもアイソメ図は誰が描くものなのかといえば、やはり配管をする人寸法を取る人になります。理由としては以下。

 

  • 監督より誰よりも実際に配管する場所を見ている
  • 図面通りいかないであろう箇所や不足している個所に気付ける
  • 難所となりそうな箇所を見極めて対策が練れる

 

もし監督にアイソメ図をもらおうとすると、それはたいそうな(キレイな)ものがもらえるかもしれません。が、以下の理由から全く現実的ではありません。

 

  • お願いしてからもらえるまでにすごい時間がかかる
  • 1枚に情報が収まらない
  • 実際に現場を見て描いて(CADも含めて)ないので、使えない可能性が高い
  • 配管の種類(系統)ごとにもらわなければならないため量が膨大になる

 

これを見て、「よしっ、監督に頼もう!」という人はいないと思います。笑

監督さんは私たち職人のために、工程管理や仮設材の段取りや施工確認に忙しいですから、できるだけそれらに集中してもらいましょう。
※PS内の非常に入り組んだ竪管廻りなどは、一旦「3D図」をもらうのも有効です。

配管の3D図面

どんなに複雑な配管でも、系統・階・部屋などで分けることでアイソメ図に起こせます

率先して自分で描くようにしましょう。数をこなすことで描くスピードも上がっていくはずです。



見やすいアイソメ図とは?

ここで今回のキモとなる内容、「見やすいアイソメ図」についてまとめることにします。

 

ルートが分かりやすい

ルートがイメージしやすいアイソメ図は、どんな図面よりも役に立ちます。そのために確実に押さえたいのは以下の3つです。

 

  1. 配管を見ている向きを明確にする
  2. 目印にとなる箇所が分かるように
  3. 貫通部や末端を明確にする

 

具体的な描き方は「4.補足情報の描き方」にてお伝えします。

 

寸法が分かりやすい

アイソメ図の主な使い方の1つに「寸法取り」があります。寸法を一気に取って加工に使うわけですね。この寸法は、数字をできるだけ綺麗に書くのはもちろん、“どのパーツの寸法か”を明確にすることが大事です。

アイソメ図の寸法が分かりにくい例
アイソメ図の寸法が分かりやすい例

数字を書く向きを変えたり、矢印を引っ張るなどして、加工時に見間違わないように工夫しましょう。

 

補足説明が書いてある

線と記号と数字(寸法)だけでは補えない部分は、説明を書いてしまうのが得策です

代表的ななのは、どこの配管なのかや見ている向きの情報などですね。この点は、「4.補足情報の描き方」でもっと詳しくお伝えします。

 

分けられる系統は別々に描く

建物の規模が大きくなると、それに伴って系統も多くなるはずです。

例えば共用トイレの給水には雑用水と上水がありますし、もちろん排水もあります。給湯配管があればさらにややこしくなりますね。

 

そこで、あえて一緒に描く必要がない場合は、1枚に1系統にするべき。ピース数が少なく、同じ管種なら一緒に描いても良いでしょう。

 

できる限り大きく

アイソメ図を描くのにお勧めなのは、紙ではなくダンボールです。

紙はA1のように大きなサイズもありますし折りたたんで小さくできますが、水気や汚れに弱く下敷きがないと書き込みにくい欠点があります

 

その点、ダンボールは紙のように折りたためなくても、水気や汚れに強くそのまま書き込めるので、現場では重宝します。

そして描く際には、現実的な範囲でできるだけ大きなものを選びます。お勧めなのは材料が入っているダンボールのフタ部分。特にトミジ管の継手が入っている少し大きめの箱はいいですね。

段ボールの耳

大きさとして、マッキーの細い方で描けるくらいがベストです。ボールペンを使えば小さく細かくも描けますが、それだけ見づらく寸法も見間違い安いので、簡単なルートの時だけにましょう。

補足情報の描き方

向きや貫通部をはじめとする補足情報の書き方も重要です。せっかく分かりやすくしようと思って書いた情報によって逆に辻褄が合わなくなることは避けなければなりません。

 

見ている方向

配管をどちらの方向から見ているかは非常に重要です。

なぜなら、見ている方向によって前後左右の向きが違いますし、そもそもアイソメの形が全然違ってくるから。

 

部屋の出入口や階段など位置が決まっているものを基準にして、どの方向から見ているかを明確にしておきましょう。

アイソメ図を見ている方向

 

配管場所や種類

超基本事項なのが、配管する場所や種類の情報です。

例えば「西棟 トイレ1 男子」「808号室 PS」など場所の情報と、汚水・雑排水・上水・中水など種類に関することです。

 

当たり前ですが、この情報がないと配管場所が分かりませんし、似たような箇所とごっちゃになってしまったり、まとめて加工する際の付番や間配りが非常にしにくかったりします。

また、合わせて管種(VB・トミジなど)も書いておくと、なお良いと思います。

 

特殊な寸法

単純に芯芯寸法や切り寸が書けるなら良いのですが、数字だけでは分からないことも多いです。具体例を挙げます。

 

ソケットやレジューサーを含む寸法

取った寸法が定尺より長ければ間にソケットを入れることになりますし、管径が細くなる(太くなる)場合はレジューサーやインクリーザーが入ります。

レジューサーは位置にこだわらないケースがほとんどですから、それを含む寸法を測っておき加工時に計算するのです。

アイソメ図でレジューサーを含む場合の例

 

立上げや末端

配管の末端は、「スラブ面から〇〇㎜出し」「仕上がり面から〇〇㎜出し」のようになることが多いもの。

そうなると、寸法の取り方として、「エルボの芯~水栓ソケットの先」、みたいになるわけです。そしてアイソメにはその旨を書いておきます。

止水栓廻りの漏水リスクを半分にする方法

2015年12月13日

 

管径

配管のボリュームが多くなるほど、管径の情報は重要です。特に他の人に加工してもらう場合には、そのアイソメ図だけを見て管径が分かるようにしておくのが理想。

ただし、寸法や他の情報とごちゃ混ぜにならないように、丸で囲うなどして区別しやすくしておきましょう。

アイソメ図に管径を記入する場合の例

知っておくと良い頻繁に出てくる記号たち

アイソメ図に限った話ではありませんが、図面を描く際に頻繁に出てくる記号は憶えておいて損はありません。順に挙げていきます。

 

記号はあくまでもそのアイソメを見るメンバーで共通の認識があれば問題ありません。

つまり、教科書通りの記号ではなく”みんなが見て分かる”記号であることが重要です。

 

弁類(バルブ・チャッキ・減圧弁・フレキ)

代表的なゲートバルブをはじめとして、弁類は使うことが1番多いです。それぞれ描き方は以下。

バルブ・チャッキ・フレキの描き方

メーター・エア抜き

集合住宅の共用部配管でよく出てきます。

水道メーターとエア抜きの描き方

 

末端記号

末端とは止水栓や蛇口が取付けられる箇所です。

水栓の記号

 

その他(貫通部・CO)

こちらは記号と言うよりは、描いておくと分かりやすくなるものです。スラブ貫通部の描き方は、「4-4. 管径」の写真の立上がり部分を参考にして下さい。

掃除口の描き方

使い捨てのアイソメ図と現場が終わるまで使うアイソメ図

描くモノとして、ダンボールが良いと「3.見やすいアイソメ図とは?」にてお話ししました。

ただ、必ずしもダンボールが適切でないことも。それは描いたものをどれくらいの期間使うのかによります。

 

つまり、すぐに捨てるのか、数日~場合によっては1現場が終わるまで使うのか、という点です。

 

すぐに捨てるアイソメ

配管ピースが限られていて、加工も数十分~数時間程度(長くても1日)で終わるなら、アイソメはすぐに捨てると思います。

この場合は、それこそ多少踏みつけられようが濡れようが、配管さえ終わってしまえば、もっと言えば加工さえ終わってしまえば、不要となります。

 

いくつもある場合は、どれがどこのだか分からなくなりますから、使い終わったらすぐに捨ててしまう方が良いです。

 

数日~現場が終わるまで使うアイソメ

例えば以下のようなケースを考えてください。

 

  • 1つの系統でピース数が多く数日かかる
  • 同じ形の配管が複数ある
  • 集合住宅(専有部)のように同じタイプが繰り返される

 

このような場合には、ダンボールに描いていてもぐちゃぐちゃになってしまうことがありますから、紙に描いてラミネート加工したり、大きなホワイトボードを利用して描いたりと、長期間使える工夫をしましょう

例えばこんな感じです。とある団地の専有部の排水を一部更新する工事で、部屋のタイプによって配管が同じケースです。

保存しておくアイソメ図の例

アイソメ図が描けるようになる方法

最後に、実際の現場でアイソメ図がスラスラと描けるようになるための施策をまとめておきます。

誰でもいきなり描けるわけではありませんが、慣れればかなりの速さになるはずです。

 

まずエンピツで描く

学校の美術の授業で絵を描く時に、まずエンピツで下書きした経験がありませんか?

それと同じ要領で、まずエンピツで描いてその後マジックで上からなぞれば、割と複雑なものでも描きやすいです。

 

エンピツは薄くて目立たないですから、後で消す必要もないですし、いきなりペンで描いて間違ってしまいグチャグチャになるリスクも減らせますね。

最初に鉛筆で描き、その後ペンで描く

 

簡単なものから描いてみる

まだあまり経験がない方は、45度エルボと90度エルボが混在していたり、ピース数が多いものをいきなり描こうとすると、とてつもなく時間がかかります。

もちろん休み時間に頑張って描くのも間違いではありませんが、もったいないのでまったくお勧めできません。

 

ですから、まずはピース数の少ない簡単なものから描く(描かせてもらう)方が良いです

 

こだわりすぎない

ある意味1番重要なのが、「こだわりすぎない」ことです。

まず定規を使ってきっちり描くなんてのは無意味ですし、多少線が曲がっていようが平行な箇所が揃っていなかろうが、見間違うことがなければ問題ありません。

 

アイソメ図はあった方が良いのは確実ですがあくまでも“ツール”の1つですから、細部にこだわって時間をかけすぎるのは得策ではないのです。

ただし、誰が見ても分かるものが大前提ですので、最大限きれいに描こうと意識はしましょう。

 

数をこなす

当たり前のことすぎてスミマセン(汗)何でもそうですが、数をこなすことは確実に上達につながります

経験豊富な人が描くアイソメを見ると、決してきれいではなくても見やすいと感じます。私くらいの経験年数だと、手許として加工を主にをやることもあれば、1つの現場の職長となることもありますから、特にそれをよく感じるわけです。

 

また、数をこなすとやろうとしている配管の「スケール感」がつかめるようになってきます。つまり、いざダンボールに描こうとした時に、どのくらいの大きさで描けば収まるかが分かるようになるのです。

この点が微妙だと、末端にいくに従って小さくなってしまったり、収まらなくて描き直しになってしまったりします。

 

オマケ(簡単なものを実際に描く)

最後に、以下の写真の配管を実際にアイソメ図にしてみます。

左側から見たものと、右側から見たものの2パターン描いてみます。ポイントとなるのは横向きの正三角形です。エルボは全てこの角度で表せます。

斜眼

 

  1. 奥から手前に向かう部分
    奥から手前に向かう部分を描く
  2. 立ち上がり部分
    手前の立ち上がり部分を描く
  3. 枝部分(横)
    枝部分を描く
  4. 立ち下がり部分
    枝部分の立ち下がりを描く
  5. 最後の横引き部分
    立ち下がった後の横引きを描く
    左から見たケースの交差する部分は後ろの配管を切った方が、立体的に見えて分かりやすいです。
    アイソメ図上で交差を表す描き方
  6. オマケ(逆側から見たパターンを2つ)

いかがですか?

横向きの正三角形をイメージしながら描けば意外に簡単ですよね。配管がどれだけ複雑になっても、この基本は変わりませんから、押さえておいてください。



今回のまとめノート

アイソメ図は配管に欠かせない図面です。配管ルートを把握し、一気に寸法を取り加工することができる優れたツールだということ。

複数のメンバーが見ることも多いですから、できるだけ見やすいものを描くべきです。そのために今回は、現場で本当に使えるアイソメ図の描き方として、ポイントを7つに分けてお伝えしました。

 

少し時間はかかるかもしれませんが、一つずつ見ていっていただければ、必ず使えるアイソメが描けるようになります。

ぜひ日々の作業の参考にしてください!

では、良い配管工ライフを!

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8 件のコメント

  • 配管工勉強中の者です。いつも参考になる記事を本当にありがとうございます、覚える物量が多く仕事を辞める事も考えていましまが記事を見ながらなんとかしがみついています。
    少しでも覚えられるよう、参考にさせて頂きます(^-^)

    • 月光さん、コメントをありがとうございます!
      使う道具や材料が多くて最初は本当に覚えることがたくさんありますよね。
      毎日必死にやれば、必ず知識や技術はついてきます!
      ただ、特に今の時期は暑いので頑張りすぎないようにしましゃう(笑)体が資本ですから。
      よろしくお願いします。

  • お疲れさまです。

    とても勉強になります。

    今回の記事の主旨と違って恐縮ですが、施工後に役所や元請けに提出する
    図面をデータで描く場合はCADをお使いですか?

    自分は最近やっと、現場が仕上がった後の図面をパソコンで描くようになりJWCADと悪戦苦闘しています。

    もしJWCADをお使いなら、JWCADを使いこなすには特集をやっていただけると大変助かります!

    • タンクさん、いつもありがとうございます!
      ただ、申し訳ありません。私は図面は描いていないのです。
      CADは勉強中ではあるものの、まだまだ知識を体系的にまとめられるレベルではありません(汗)
      とてもスローペースではありますが、勉強が進みましたら記事にさせて頂くこともあるかもしれません。
      できる限り頑張ります。
      よろしくお願い致します。

  • お疲れ様です。毎回楽しく見させて頂いています。エスロハイパーについての記事が読みたいです!是非お願いします!

    • MCCさん、コメントをありがとうございます。
      (返信が遅くなりすみません・・・)

      エスロハイパー、最近増えてきましたよね。私も何かと施工する機会が多いです。

      ただ、申し訳ありません。
      今訳があって記事の作成をストップしているのです。
      再開しましたら、ぜひ記事にさせていただきたく思いますので、その際はよろしくお願いします!

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