4つの事故例に学ぶ満水テスト時に漏水事故を防ぐために押さえておくべきフロー

「満水テスト」は、排水配管の代表的なテストですが、事故が多いのも事実です。正直に言いますが、私もこれまでにたくさんの事故に遭遇し、“水浸しの後処理”を行った苦い思い出があります。

満水テストで1番あってはならない事が起こりました

2017年5月21日

ただ、後からよく考えてみれば、絶対に防げなかった事故ではなく、「あぁ、アレやっとけばこうはならなかったな~・・・」と思う点もあります。

そこで今回は、みなさんに同じようなことでムダな時間やお金をかけてもらいたく無いとの思いから、これまでの事故事例を赤裸々に語り、防止策についても考えてみます。

満水テストに関わる方には必見の情報ですから、ぜひ最後までご確認ください!

1.把握していない低いレベルの口がありそこから水が出続けてしまった

配管を上階へ立ち上げる場合に、やり方がいくつかあると思います。例えば以下。

  • スラブから100~300㎜程度立ち上げる
  • ソケットつらとスラブ面を一致させて立ち上げる(高所作業車対策)
  • 継手までの寸法で立ち上げる

これらを見ると、立ち上がりの高さがまちまちになる可能性が高いと言えます。それはどういうことか?

「同一系統で1番低い口を把握しておかないと、大洪水を起こす可能性がある」ということです。具体的には、“1番低くはない”口から水を注ぎ続け、なかなか満水にならないなぁ、と思ったらそれより低い口から水がジャバジャバ溢れていた、ということです。

防止策としては、以下が考えられます。

  • 図面と実際の配管と両方を見て、全ての口の高さを確認する
  • 通気配管にも水が入ると思っておく
  • 勾配床や段差スラブがあるなら基準を一致させておく

これらを意識しておけば、1番低い口からしっかりと水を入れられるはずです。

2.ハイウォッシャーのつなぎ目が抜けた

階数がある現場では、仮説の給水としてハイウォッシャーがあると思います。ハイウォッシャーは上の階まで水を送るために、かなりの高圧となっています。

水圧が高いことは、水を速く注げるメリットがある反面、注意しなければならない点があります。

特に注意すべきなのは「接続口」です。

満水テスト時にはもちろん高圧ゴムホースを使うと思いますが、取水口との接続はもちろん、ホースとホースを繋いでいる部分もよく確認しなければなりません。

水を出す時は少しずつゆっくり開け、しっかりと接続されているか、漏れはないかを確認します。とは言え、接続はほとんどカプラ(カプリング)でしょうから、壊れていない限りは高圧でも抜けません。

しかし、現場ではどうしても普通のビニールホースを使わなければならないケースもあります。ビニールホースは挿し込むだけなので、本当に注意しないと外れたり破断したりして大洪水になる可能性があります。

ホースを使う時に押さえておくべきポイントと使い方のコツまとめ

2018年3月4日

私も現場でホースが抜けて、階段(取水口が階段にあることが多い)を水浸しにしてしまった経験があります。

3.水を抜いたら下階が満水テスト中だった

規模が大きく階数もある建物では、階や工区によって施工業者が違うことも多いですよね。ただ、各フロア内の展開は違えど、竪管は共通です。ということは、それぞれの業者が配管すべき部分やその進捗状況をしっかりと確認し合っていないと、思わぬ事故に発展することもあります

今回あったのは、5階天井レベルの配管の満水テストをかけた後に、満水ジグから下階に水を抜いていたところ(監督に流して良いかを確認後)、なんと4階天井レベルも満水テスト中で、抜いた水が5階のスラブレベルからどんどん溢れてしまったという事故です。

たまたま5階にいた他の職人さんが教えてくれたため、被害は最小限で済みました。

これを踏まえて、水を抜く時に押さえておくべき点は以下です。

  • 監督も把握していない場合があるので、1つ下の階までは自分の目で確認する
  • 一気に全て抜こうとせず、少し抜いて異常がないかを確認する
  • 満水ジグのコックをひねってすぐその場を離れるのではなく、少し周囲の様子を見る
  • 系統を全て自分で確認するのは非効率なので、不安があれば監督さんに立ち会ってもらう

これだけやって事故が起こったら、正直、不運としか言えません。

4.伸長通気だと思っていたら上階の排水だった

これまでの経験で、最悪の満水テストによる漏水事故です。完全に仕上がっているタイルカーペットがびしょ濡れになっただけでなく、OAフロアの下にまで水が浸入してしまいました。

詳しくは以下の記事にまとめています。

満水テストで1番あってはならない事が起こりました

2017年5月21日

この時のケースを含めて、満水テストをやる際に非常に重要なのは以下の2点だと結論づけました。

満水テストの最重要項目
  1. テストをかける系統の把握
  2. 関係業者や監督への事前連絡と周知徹底

断言しますが、この2点をしっかりとやっておけば、大きな事故が起こることはありません。

なぜなら、系統を把握しておけば未接続箇所や低い口の取りこぼしは防げますし、周知徹底しておけば不用意に水を流されたり、異常があれば他の業者の人が知らせてくれたりするからです。

事故が起こった時に後々思い返してみると、この2点のうちどちらかが欠けていることがほとんどです。

今回のまとめノート

満水テストは衛生配管に携わる方であれば何度か経験があると思います。もしかすると、今回の記事にあるような漏水事故を経験した方もいるかもしれませんね。

漏水事故を確実に防ぐフローとして、「系統の把握と周知徹底→漏れのない(外れない)ホースの段取り→注水時に1番低い口を確認→水を抜く際も下階の状況は確認」となります。

どんなに忙しい現場でも焦っていても、現場をプールにしてしまっては逆に時間やお金がかかってしまいますから、着実に進めていきましょう。

では、良い配管工ライフを!

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