スラブ立ち上げ配管の直し方(給水・排水)台車や高車で破壊されたら

この記事では?
スラブ貫通で立ち上げた配管を壊された場合の直し方が分かります。

 

天井配管でせっかく上階に立ち上げた配管を壊された経験はありませんか?

高車や台車を引っ掛けられるなどすれば、さすがの鉄管も負けてしまいます…

 

今回はそんな立ち上げ配管を破壊されてしまった際の直し方をまとめます。

ある程度規模のある現場なら割と起こってしまうことなので、ぜひ参考にしてください。

 

スラブ立ち上げ時の配慮と養生

そもそも立ち上げ配管は上階の状況を考慮して立ち上げる、または養生するなどの対処が必要になってきます。

例えば以下のようなことです。

  • 排水(塩ビ管)はスラブつらでソケット止めにする
  • 壁ぎわは高車や台車の行き来がほぼないため200〜300ミリ程度は立ち上げてOK
  • 立ち上げざるを得ない(給水・給湯配管やねじ込みなど)場合は、カラーコーンやダクトのニップルなどで養生する
  • 立ち上げに際しては最低限の高さになるよう配慮する(ソケット使用するなど)
  • 人通りが激しい箇所の立ち上げは時期をよく打ち合わせする

 

上記のようなことを最大限考慮した上で壊されれば、こちらとしても追加工事として直すなど強気に出ることができます。

特に規模が大きな現場では台車の数も多いですし、重量物も頻繁に搬入しますし、高所作業車の行き来だって激しいですよね。

 

だから、立ち上げた配管が全て無傷で終わるなんてことは絶対にないと思うくらいがちょうど良いわけです。

とにかくできる限りの対策はしておきましょう。

立ち上げ配管の直し方(給水管)

給水管はスラブ貫通の立ち上げとなると、ほとんどが鉄管(炭素鋼鋼管)かSUS管です。

太さとしては20〜25A程度のいわゆる細ものがほとんど。

 

それもあって強い力がかかると折れやすいです。

そしてこれが曲げられたり折られたりすると、実際のところかなり厄介・・・

 

なぜなら、ねじ込みやメカニカル継手(ナイスジョイントやz-lolなど)は末端を加工しなければならないからです。

加工は通常、旋盤や専用の拡管機などを使うため、既に配管が完了している部分を再度加工するのは極めて困難なのです。

 

基本的な直し方

そんな給水立ち上げ配管の基本的な直し方をあげると以下のようになります。
※PSでもなければ通常は継手も込みでスラブから100ミリ程度にするのが基本ですので、その場合に限定します。

  • スラブ上に真っ直ぐな部分が残っていればそこで切断して接続
    拡管機のセットが不可能(z-lokなど)ならアバカスなど他継手を検討
  • 真っ直ぐな部分がなければ貫通部を大きく斫り、サンダーや内面カッターなどで切断して接続
    穴埋めされていれば貫通部まで曲がっていることは稀
  • ねじ込みはある程度の直管部分が確保できるならオースターが使えるか確認
  • 寸法や仕様が許せばユニオン継手の使用を検討

 

このように、直管部分が残っていてその場で加工できるなら切断して加工、できないのであれば他継手が使えないか確認するのが基本です。

新築工事になると、リスクや現場の仕様により他継手は使えないケースが多いですね。

 

上階で直せなければ?

どうしても上階での直しができそうになければ、下階の天井にて立ち上がり配管をバラすことになるでしょう。

貫通部が穴埋めされていれば斫り落とし、立ち上げた1ピースを外し、新たに加工し直した配管を立ち上げるわけです。

 

この場合、斫りや再度の穴埋め作業が発生するのはもちろん、角ダクトや他の配管など邪魔者が多かったり、天井が出来上がっていたりする可能性もあります。

つまりは、立ち上げ配管の直しだけでも大変な手間になってしまうことも想定しておかなければなりません

 

ただでさえ現場では工期に追われているでしょうから、直すタイミングは担当者とよく相談し、追加工事にすることはもちろん場合によっては別業者に依頼することも検討するべきです。

こちらが前章であげたような対策をやった上で壊されたのなら、人も道具も動くわけですからその辺りはキッチリしておきましょう。

立ち上げ配管の直し方(排水管)

排水管は現場によってバリエーションに富んでいて、多いのはVP・耐火二層管・耐火VP(FS)辺りです。

稀に鉄管(DVLPや白ガス管)もありますが、それはほとんどがPS内の竪管のケースですから、壊されることはないでしょう。

 

管種が塩ビ管がほとんどだということは、切断して再度接着が基本です

飲み込みしろがあればソケットやその他継手で接続すればOKですし、破損がひどくスラブつらでの切断となるなら「持ち出し」を使うことになるでしょう。

 

破損がひどいケースで万が一持ち出しの使用がNGとなると、対応として考えられるのは以下。

  • 貫通部を斫って接着できる飲み込みしろを確保する
  • 下階で立ち上がりの天井配管から直す

 

給水管の時の同様に下階から直すとなるとそれなりの工数を要しますので、タイミングや人員などをよく相談しましょう。

 

今回のまとめノート

ある程度規模のある現場では、スラブ貫通して上階へ立ち上げた配管が壊されることがあります。

壊された時には正直腹が立ちますし焦りますが、直し方が分かっていれば冷静に対処できるでしょう。

 

忙しい現場でもケンカになったり怪我をしたりしてしまうことのないよう、この記事を参考に対処していただければありがたいです。

 

追伸

現場でのトラブルをできる限り減らしたい、時間をかけずに最速で解決したい、という方には以下がオススメです。

【現場で使える】配管でのトラブルを解決・防止「厳選事例100」

 

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