配管時の寸法間違いはできるだけ無くしたいですよね。
現地でいざ配管しようとして寸法が間違っていると、めっちゃヤル気が無くなります。
バラしてやり直せる継手ならまだ良いですが、接着してしまおうものなら切断せざるを得ないです。
そんな痛い寸法間違いには、実はほぼ決まった原因があります。
今回はその5大原因は何であるかを解説し、それを無くすために最良な改善策をお伝えします。
寸法取り→加工の伝達ミス
寸法を取る人と加工する人が別、というのはよくあることです。
その場合なんらかの手段で取った寸法を伝達することになりますが、その段階で間違えることは多いもの。
これはコミュニケーションの問題と言われればそれまでかもしれません。
ですが、噛み砕いてみると伝達する側とされる側のミスに分けられ、意外と簡単に無くすことができます。
伝える側の問題
寸法を伝える側の問題は以下のようなもの。
- ハッキリと喋れていない(声が小さい、滑舌が悪いなど)
- 相手の方を向いて伝える意思が無い
- スケールの読み間違え
- 字が汚い(書いて伝える場合)
現場では寸法取りをする人(実際に加工した配管を組む人)の方が立場が上の場合が多いです。
逆に加工担当は経験が浅かったり、高齢で加工だけをやっている人だったりしますから、結構伝え方を適当にやってしまう人もいます。
他の作業の音がうるさいことも多く、測りにくい場所や高所から伝えるのが大変で面倒なのは分かります。
が、伝達ミスをすると結局は自分に返ってきますので、しっかりと伝える意識を持つことを心がけるべきです。
受ける側の問題
寸法を伝えられる側に問題があるケースとは
- 真剣に聞いてない
- メモ帳を持っていなくて落ちている段ボールや手にメモる
- 曖昧な部分(聞こえた内容や文字)を自己判断してしまう
間違いが多い人は、一言で言えば「聞く姿勢」ができていないことが多です。
当たり前のことですが、ヤル気がなかったり他に考え事をしていたりすれば、伝えられた内容を正確に受け取ることはできません。
また、メモ帳を常に持ち歩いていないと、ふと寸法を言われた時に咄嗟にメモることができずに焦ってミスをします。
どちらかというと仕事に対する心構えの部分が大きいかもしれません。
100㎜間違える
寸法を測る時にはスケール(コンベックス)を使いますが、より正確に測りたいまたは見やすくするために、あえて基準を100㎜ズラすことがあります。
例えば以下のようなケース。
- 地墨を100㎜の位置に合わせて測る
→スケールの線が地墨と合うため測りやすくなる - 配管の芯を100㎜に合わせて測る
→左右にスケールの目盛りがあるため、芯がとらえやすくなる
スケールの先端は爪があるため数字が見えませんし、爪に厚みがあって分かりにくいため、よくやる手段です。
これをやること自体は何の問題もありませんし正確に測れるなら良いのですが、ミスしがちなのが「100㎜ズラしていることを忘れてしまう」こと。
そんなバカなと思う人もいるかもしれませんが、これが本当によくやるんですよね。
例えば100㎜ズラして測った寸法が1mだったとすると実際の寸法は900㎜ですが、それをそのまま1mとしてしまうわけです。
「100きって」とか言いますが、この測り方を好む人は注意してください。
計算をミスる
寸法取りにおいて計算はしょっちゅう発生します。
図面を見ながら記入されている寸法を足していったり、立ち上がり管〜天井配管までの寸法を差し引きで出したり。
それでやってしまうのが計算ミスです。
暗算での間違いに始まり、紙に書いて計算しても「なんでこんな小学生レベルの計算を間違えるんだ・・・」と思うようなことも少なくありません。
電卓を使ってたって操作ミスすることもあります。
最近はスマホでも簡単に電卓の機能が使えますから、私も頻繁に使いますが、手袋をしていたり手が濡れていたりでうまく画面をタッチできないこともしばしば。
いずれの方法で計算するにしても、この計算ミスから完全に逃れることは難しいでしょう。
必ず起こるくらいに思って用心しながら計算すべきです。
※減らす方法は最終章の改善策を読んでみてください。
芯芯や芯先の勘違い
寸法には基本的に「芯芯・芯先・切り寸」の3種類があります。
参考:【寸法取りの基本】配管を切断する長さの測り方の3パターンとは?
これらの種類を間違うのもよくあることです。
例えば芯先寸法なのに両方の芯引きをして寸足らずになったり、芯芯寸法なのに芯引きをせずに長くなってしまったりするわけですね。
アイソメにわざわざ切り寸で書いておいたのに、更に芯引きして加工されてしまい総崩れみたいなことも。
また、紙や段ボールに書いて伝える際にも、その書き方が悪いと間違って認識されてしまうケースもあります。
例えば、芯芯や芯先を示す縦線が数字の1と思われてしまうようなことです。
以下は「芯先250」が「切り寸1250」と間違えられてしまう可能性のある例。
これでへんてこりんな加工が出来上がってしまうこともあるので、意識的にきれいに書きましょう。
芯引きする継手を間違える
せっかくちゃんと芯引きをしてパイプを切断したのに、そもそもその芯引きの元となる継手が間違っていたら意味がありませんよね。
施工することが多い管種やサイズなら大丈夫だとは思いますが、慣れてない継手だとやってしまいがちな間違いです。
また、継手が異径のチーズやエルボの際にも、同径として芯引きしてしまうケースが多いです。
あとは非常に細かい話なのですが、異径のチーズで上取りする際にサイズダウンが多いのですが、横取りとして芯引きしてしまうケースがあります。
平面図だけで見ているとやってしまいがちなので、できるだけ3Dやアイソメで確認してください。
寸法間違いを無くすための最善策
ここまで寸法間違いの5大原因をお伝えしてきましたが、最後にそれらを無くすための最善策を書いておきます。
それはズバリ「何度も確認する」ことです。
はい、ありきたり!と思うかもしれませんが、ハッキリ言ってこれに勝るものはありません。
少し具体的に書きますね。
- 伝達ミスが無いように言った(聞いた)内容を復唱する
- 100㎜切る場合でも再度0を基準で測ることを徹底する
- 面倒でも計算は最低2回〜数回やる
- アイソメやメモで曖昧な記述は「〇〇だろう」ではなく確認する
- メモ通りの寸法に切断できているかを現地に持っていく前にスケールで測る
以前にもこんなツイートをしましたが、一口に「よく確認する」と言っても非常に抽象的なので、具体的にすることが大事です。
毎日3回は切断寸法を間違える後輩が、なぜそうなるのか考えてみました。伝達・計算ミスはあるとしてやはり結論は「確認不足」。ただ、これってすごく曖昧だなと思ったので、加工した管を持ってくる前やねじ込む前にもう1度スケールを当てて測れと伝えたら途端にミスが減りました。具体性は大切ですね。
— どんゴリ@配管工のお役立ちノート (@dongori_momoki) May 21, 2020
実際のところこれを定着させることが簡単にはいかないのですが、癖になってしまえば寸法間違いは格段に減ります。
塩ビ管や耐火二層管を切断する時によく面取りを忘れる同僚は、ファイヤーガードに「面取りする!」と書いた養生テープを貼っていました。
こういう小さな工夫で確認癖がつきますから、色々と考えて実践してみてください。
今回のまとめノート
配管をする上で寸法取り→加工という流れはほぼ毎日発生します。
そこで発生する寸法間違いを減らせば、格段に配管効率が上がりますし、ヤル気をを削がれることもありません。
今回ご紹介した5大原因について少しでも思い当たる方は、ぜひ「確認癖」をつける工夫をしてみてくださいね。
では、良い配管工ライフを!
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