鋼材による配管の支持をする際にはパンチャーが欠かせませんよね。
穴をあけてバンド類を固定したり、ボルトナットで鋼材同士を縫い合わせたり。
金属用のキリやタケノコであけるのと比べると格段に便利です。
そんなパンチャーを使うにあたり、知っておくと便利なコツやポイントがいくつかあります。
今回はそんな中でも、これだけは押さえておくべき点を8つお伝えします。
パンチャーを使う方は確実にチェックをお願いしますね。
丸穴と長穴の違い

穴をあける刃の形状は丸穴か長穴に分かれます。
ただ、よほど特別な理由でもない限り、「長穴」をお勧めします。
なぜなら、丸穴だと“あそび”が無いため、バンドを固定するにもアンカーで固定するにも、非常にシビアになってしまうから。
このあそびが無いと言うことに関しては、1度でもやってみると分かるのですが、めちゃくちゃ施工しづらいです。
例えば門型の支持鋼材を床にアンカーで固定する場合、正確に墨を出して慎重にアンカーを打っても、2、3㎜ズレようものなら収まりません…
また、制作物の架台にあけてきてもらった穴が丸穴だと、配管のほんの些細なズレを吸収できず結局あけ直し、みたいなことが起こります。
なのでまず丸穴ではなく長穴を使うことをお勧めします。
穴あけできる鋼材の形状を知っておく

現場で配管の支持に使う鋼材といえば、主にシーチャン(スペースマン)やアングルでしょう。
または、それらを使って作成されたブラケットや門型の金物ですね。
それらの大体の部分にはパンチャーで穴をあけることができますが、中にはあけられない箇所があることを知っておいてください。
例えば、C型チャンネル(溝型鋼)の中央部分や三角ブラケットの角などです。


大まかに言えば、穴あけできるのは「平たくて障害物が無い面」になりますので押さえておきましょう。
パンチャーで穴あけできる厚みを知っておく

機種によって微妙に違ってくるのが、穴をあけられる鋼材の「厚み」。
現場で使う鋼材の厚みはほとんどが4〜6㎜なので、大概のものは問題ありません。
気をつけなければならないのは、8㎜の場合やシーチャンのように奥に行くほど厚くなる場合。

そもそもパンチャー自体が入らないので分かるかとは思いますが、いざやろうとしたらダメだったとなると大変なので、確認しておくことをお勧めします。
穴あけできる奥行きを知っておく

ほとんどの機種は穴をあける「奥行き」を調整することができます。
使う鋼材は40〜50㎜幅が多いので、芯に穴あけしようと思えば20〜25㎜となるわけです。
この調整できる範囲は決まっているので、例えば25㎜が最長なら65㎜幅の鋼材の芯にはあけられません。

この点で不都合が出てくるとすれば、鋼材同士を縫い合わせる場合。
穴が芯にならないため、鋼材同士の端がピッタリと合わずに不恰好になる可能性が出てくるわけです。
機能的には問題ありませんが、見た目は良くないので気をつけてください。
壁や鋼材ぎわでは最短寸法にならない

単純なアングル材に穴をあけるなら、左右方向のキワから25㎜程度が最短です。
つまりそれ以上隅っこの方にはあけることができません。(強引にやればできますが、パンチャーに負荷がかかります)
また、鋼材がL型に折れていたり三角ブラケットのようになっていたりすると、パンチャーの本体がぶつかってしまい更に制限されます。
※「穴あけできる鋼材の形状を知っておく」の章を参照
なのでキワに穴あけしようと思ったら、パンチャー本体が入らない可能性があることも覚えておきましょう。
あけ直しにならないように長穴にしておく

冒頭で丸穴と長穴についてお伝えしましたが、重ねて穴をあけることで、更に細長い穴にすることができます。

何回も穴あけする手間は発生しますが、穴がズレる可能性がある場合には非常に有効です。
例えば以下のようなケース。
- 完全な寸法を測れない(障害物や足場が無いなど)
- 先行して金物を取り付けておく場合
- 微妙な配管のズレが想定される
ほんのちょっとのズレでバンドが入らないとか、先にアンカーを打っておいたら微妙にズレて入らないというのは超ヤル気を削がれます。
なので怪しい時は一手間かけて更に長穴にしても良いでしょう。
3分穴で4分に対応する

支持する配管が太物になってくると、バンドやボルトが3分ではなく4分になります。
そうすると刃を4分用に変える必要が出てくるのですが、絶対に替え刃を用意しなければならないかといえばそうではありません。
なぜなら、前章でお伝えしたようなやり方で穴を広げることが可能だからです。
つまり重ねて穴をあけることで大きくし、4分のバンドやボルトが通れば良いわけですね。
ただし、あける穴の数がめちゃくちゃ多い場合には効率が悪いので、できる限り4分用の刃を用意してください。
ちなみにですが、4分用の刃しかない場合はもちろん3分のバンドやボルトは通りますが、穴が大きすぎてナットを締め付けた時に不安定になる可能性があります。
なので、大きめのワッシャーを用意するなどして対応してくださいね。
機種による持ち手部分の形状を知っておく

昔ながらのパンチャーは胴長のイメージがありますが、最近のパンチャーはコンパクトになってきたように思います。
ですが、依然として穴をあける油圧部分があるため、ゴツく重たいのは変わりません。
なので既に固定されている鋼材に穴をあける場合や、改修工事で天井裏にもぐって作業するような場合は、そもそもパンチャーを使えるスペースがあるかは確認しておきましょう。
あそこはパンチャーであければいいやと思っていたところに、いざパンチャーを持って行ったら入らなくてダメだった・・・なんてことはザラにあります。
機種によっては持ち手の部分が縦長ではなく角度がついていたり、回転させて形状を変化させたりできるものがあるので、その機能を最大限活かしてみてください。

上写真は私が使っているタイプで、持ち手部分を左右に回転させて(角度を変えて)使うことができます。
この機能が意外と重宝していて、入らないかなと思った狭小箇所でも使えるケースが結構あります。
亀倉精機製ですが、日立のバッテリーとも互換性がありますし、8㎜の厚みまで穴あけできます。
検討中の方はどうぞ。
今回のまとめノート

鋼材に穴をあけようと思った時にパンチャーは重宝します。
ゴツく重たくて扱いづらいですが、これに代替できる電動工具は無いでしょう。
今回はそんなパンチャーについて、配管時に使うなら確実に押さえておくべきコツやポイントを8つお伝えしました。
普段パンチャーを何気なく使っている方も、ぜひ参考にしていただければありがたいです。
では、良い配管工ライフを!
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