パイプレンチを使っている時に、何かしらのケガをしたことはありませんか??
恥ずかしながら私は何度かあります。具体的には、ねじ込み中に滑って握っていた手が口に当たり切れる、パイプに引っ掛けていたものが落下して体の一部に当たる(挟まる)など。
大事件になるほどのことではありませんが、その時は「痛ぁっっ!!」て感じです。
重度になると、滑ったパイプレンチが顔に当たって前歯が欠けたという人が、私の知る配管工にも”数人”います。
実は割と事故の多い、とりわけねじ込み配管中に刃が滑ることでケガをしやすい手工具だということ。
そこで今回は、パイプレンチ滑ることによる怪我の防止を目的に、基本的な使い方からメンテナンス方法までをまとめます。
ぜひこの記事の内容を毎日の作業に取り入れていただき、不用意なケガを無くしていきましょう。
パイプレンチの基本的な内容と使い方
パイプレンチには、形や材質・つかむ部分の刃の形状によって何種類かに分かれます。また、基本的な使い方についても、今一度整理しておきますね。
パイプレンチの種類
最初に種類です。メーカーや材質はともかくとして、重要なのは刃の形状です。
こちらについては、以前にまとめた記事がありますので、以下より確認をお願いします。
理想は管種に合ったものを使うことですが、さすがに全ての種類を満遍なく持っていて、配管する人数分揃えるのは厳しいのが現実。
実際にはその時々であるものを使うことになるでしょう。
口幅の調整とかけ方
熟練の方はカラダに染み付いていることかとは思いますが、改めて確認しておきますね。
口の幅は、力をかけた時に、パイプの中心と刃の中心が一致するのが理想。
たまにどうしても小さなパイプレンチしかなく、ギリギリパイプにかかるということもありますが、そんな時は特によく滑りますから、いつも以上に慎重になりましょう。
また、柄の向きがパイプに対して直角になる、つまり真っ直ぐかけるのは基本中の基本。
狭小箇所でちょっと斜めにしないと締められないこともありますが、まずはコーナーとタテ型を駆使したり、ワンサイズ小さいもの(くわえられれば)を試したりしてみましょう。
斜めにかけると当然力も分散されてしまいますしね。
ちなみに、その考えを度返しした以下のような製品もありますので、興味がある方はどうぞ。
力を増幅させる「ヤトイ」は諸刃の剣!?
パイプレンチは持ち手の先端を握るほど力は大きくなります。
そして滑りにくい手袋をしたり水気を拭き取ったりすることで、更に力を入れやすくなりますね。
それよりも力を増幅させるために、ヤトイ(俗称)を使うこともあるかと思います。柄にパイプを突っ込んで長くすることで、”モーメント”を増幅させるわけですね。
この方法は確かに有効で、特に硬いねじ込みを外す時には重宝します。
しかし、以下の点に注意する必要があります。
- 1方向に強い力をかけ過ぎるとパイプが潰れてしまう
- 小さい(450㎜以下)パイプレンチにヤトイを入れて思いっきり力をかけると本体が壊れることがある(柄が曲がる、くわえる部分がガタつくなど)
そもそも、450㎜以下のパイプレンチで力が不足しているなら600㎜とかにすれば良い話しですから、ヤトイを使うのは基本的に80A以上の太物でどうしても力が足りない時と思っておきましょう。
定期的にやっておきたいパイプレンチのメンテナンス
毎日〜半年に1回程度まで、快適にパイプレンチを使うためにやっておきたいメンテナンスがあります。
これからご紹介する内容は、特にどれくらいのスパンでやらなければならないと決まっているものではありませんから、ご自身で必要だと思った時にやれば大丈夫です。
動きを確認
まずは全体的な動作を確認します。特に配管をくわえる部分に「ガタつき」や「よじれ」がないか、幅の調整が問題なくできるかです。
また、できればパイプにかけてみて、しっかりと真っ直ぐ力が入れられるかも確認しておきましょう。口幅調整のスクリュー部分には油を注しておきましょう。
刃のゴミを取る
パイプレンチが滑る大きな原因の1つに、「刃のゴミ詰まり」があります。
つまるのはパイプや継手の削れたカスや塗装などですが、特に悪さをするのがヘルメシール。締めこんでる時は柔らかいので刃の隙間に入り込み、時間が経つと固まるのです。
ちょっとこすったり振動を与えたりしても落とせないので、意図的にカッターやキリで取り除いてあげる必要があります。
柄は曲がっていないか
基本的な内容と使い方の部分でお伝えしたヤトイを無理に使った場合や、重機に踏まれてしまった場合などに柄が曲がってしまうことがあります。(下写真)
あまり経験がある方もいないかもしれませんが、この柄が曲がったパイプレンチ、メチャクチャ使いづらいです。
真っ直ぐ力を入れているつもりでも、曲がっていきます(当たり前・・・)。
柄が曲がってしまうと、自分でどうにかするのはかなり厳しいと思いますから、直すのであれば潔くメーカーに依頼しましょう。
私も修理してもらったことがありますが、綺麗に直って戻ってきました。(残念ながら正確な価格が分かりません)
今回のまとめノート
パイプレンチは配管作業において欠かすことのできない工具です。
その時々によって数ある種類(形・材質・大きさ・刃の形状など)からできるだけ適切なものを選び、正しい使い方(方向や体勢)で使うことが理想。
また、定期的にメンテナンスを行うことによって、刃が滑ることによるケガのリスクを減らせるだけでなく、パイプレンチ自体も長持ちします。
量が多い場合は大変かもしれませんが、使い終わった人が必ず確認するルールとしたり、複数人で分担したりして、できる限りのことはしましょう。
ねじ込み配管の多い方は、ぜひ参考にしていただければと思います。
では、良い配管工ライフを!
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