配管工を長くやっていれば、何かしらの漏水の経験があるでしょう。
恥ずかしながら私もこれまでにたくさん漏らした経験があります。
そこで今回は、そんな苦い経験をあなたの踏み台にしていただくためにも、これまでの漏水経験を全て暴露します。
原因と防止策も書きますので、ぜひ参考にしてみてください。
漏水には必ず原因がある
最初にお伝えしておきたいのは、今回取り上げていくのは「新規配管」であり、経年劣化した配管は含まないということです。
つまり、腐食による漏水や災害などによるものは取り上げません。
それで、とても当たり前のことなのですが、漏水には必ず原因があります。
確かに確実な原因はこれだ!と断定できないケースもありますが、原因が少しも推測できないということはないのです。
この原因はほとんどの場合が「ヒューマンエラー(人為的なミス)」で、これをしっかりと分析して同じことを起こさないようにするのが重要になってきます。
もちろん、ヒューマンエラーではなく継手・パイプの破損や建築中の自然災害などが原因のこともありえます。
いずれにしても、最も大切なことは以下なので、しっかりと頭に入れておきましょう。
- 漏水には必ず原因があり、そのほとんどがヒューマンエラーである
- 漏水原因をつきとめ、同じミスをしないようにする
では次章から具体的な内容を暴露していきます。
配管工人生の前漏水事例を暴露
ここからは実際に私が現場で経験した内容を共有しておきます。
名誉のために書いておきますが、全てが私が施工した内容というわけではありません。汗
z-lok:締め忘れ
袋ナットで締め付けるタイプの給水配管では、「締付け忘れ」による漏水が無くなりません。
特に職人経験の浅い人や施工が初めての人などは、かなりやってしまうことが多いので注意・確認が必要です。
原因
- 締付け忘れによる漏水(水圧テスト時)
- 締付け完了マーキングの確認不足
- 締付け手順がバラバラ
防止策
- テスト前の締付け確認を徹底
- 目視のみでなく、手でナットが緩まないか(z-lolは一度締付けて緩めるとゲージが戻らないため)
- 系統が広範囲ならまず空圧テストをかける
ナイスジョイント:パッキンの断裂・パッキンの捩れ
ナイスジョイントは今や非常に施工機会が多い配管で、普通に施工ができていればまず漏れることはありません。
それでもテストをかけると微量ながら漏れることもあるので注意は必要です。
原因
- パッキンが断裂している(パイプの挿入角度やバリ取り不良による)
- パッキンが捩れている
防止策
- パイプ切断後のバリ取りを確実に行う(パッキンに当たるのはパイプの外側)
- パイプを継手に対してまっすぐに挿入し、少しでもレベルが違うなどの場合は横着せずに調整する
ねじ込み:太物の線切り・戻し・メッキ管ねじ込み部・砲金バルブのグランド外し
ねじ込み配管も給水や消火配管で未だに主流の配管ですが、ネジ調整やシール剤の塗布など、職人の腕が問われる施工でもあります。
ねじ込みという性質上、メカニカルジョイント(MDやナイスジョイントなど)のように自由が効かないことも多いので、配管の順序やルートをよく考える必要があります。
原因
- パイプと継手の角度が合っていない状態で強引にねじ込んだ
- 締め込んだ配管を少し戻す(緩める)方向に動かして調整した
- シール剤の塗布が均一でなかった(不足していた)
- ハンドルが障害物に当たるためねじ込みバルブの弁体部を外して再度取付けた
- 塩ビ製の雌ネジ継手に、メッキ管や持出しなどをねじ込みすぎて割れた
防止策
- 大口径ややむをえず戻す可能性がある場合は、シール材をロックタイトなどにする
- 古いものや硬くなっているなどのシール剤は塗むらの原因となるので使わない
- 極力、バルブの弁体部は外さない手段を考える(外すなら復旧はシール剤を使用する)
- 塩ビ製の雌ネジ継手にねじ込む際は、適切なトルクの工具を使用しネジが残る程度に締付ける
フランジ:面の角度が合ってない・締め付け不足(片締め)
口径が大きい加工管やフレキをはじめとして、ねじ込み配管や機器との接続など、フランジを使う場面は多いです。
しとしと〜ぽたぽた程度の漏水がほとんどですが、蛇口から水を出したかのように漏れることもあるので、テストの時でも注意しましょう。
原因
- ボルトナットが片締めになっていた
- フランジ面やパッキンにゴミが付着していた
- フランジ同士の平行が出ていなかったものを強引に締付けた
防止策
- ボルトナットは決して片締めにならないよう、対角線の順番で締付ける
- パッキンを入れる前にフランジ面とパッキンのゴミが付着していないことを確認する
- フランジ同士の平行が出ていない場合は、その手前の継手から直すなどして平行を確保する
HTVP・HIVPの接着:ゴミや水分の付着による接着不良・接着し忘れ
給水・給湯用に使用するHIVPやHTVPは、TS継手で飲み込みが長いため、接着時には力がいりますし保持時間も多めです。
また、排水と違って常に強い圧がかかるため、すっぽ抜けしやすいので適切な施工は必須です。
原因
- 接着面にゴミや水気がついていて接着不良になった
- 接着時の保持時間が少なかったため、挿入不足の状態で固まってしまった
- 仮に挿しておいた継手を接着し忘れてしまった
防止策
- 接着時にのりを塗る前にゴミの付着や水気を確認する
- 挿入時の保持は一旦緩めて抜けてこないかを確認する(ジワジワ抜ける場合もある)
- 飲み込みマーキングを確実に行う
参考:【塩ビ管の接続方法】のり付け用の継手を使った配管手順を完全解説!
耐火二層管:接着忘れ・挿入不足
耐火二層管はVP管に耐火の被覆がかぶっているだけなので、接着に関しては普通の塩ビ管と変わりません。
ただ、パイプにも継手にも被覆があることで、特有の漏水原因となり得ます。
原因
- 被覆があることで挿入不足や接着忘れに気が付かなかった
- 継手にスポンジがついているタイプで、未挿入や挿入不足に気が付かなかった
- パイプの被覆部が長すぎて挿入長さが確保できていなかった
防止策
- パイプの加工時には、被覆が「挿入長さ×2」短くなっていることを必ず確認する
- 接着後に完了マーキングをするなどして、接着忘れをなくす
参考:耐火二層管(トミジ管)の配管施工でやってしまいがちな失敗3選
大便器排水:パッキンの捩れ
衛生器具に関しても日々漏水を防止するための研究開発がされていますから、施工不良による漏水は少なくなっていると思います。
それでも、巻き出し配管が微妙にズレているなど、気をつけなければ漏れてしまうケースはあります。
原因
- 器具と配管の角度が合っていない状態で強引に取付けたため、パッキンが捩れた
- 取付け時にガスケットがズレた
防止策
- 器具と配管との角度が怪しい時は、パッキンに滑剤をしっかり塗布し、もう1人に向きを見てもらうなどして、確実に接続する
- 陶器にガスケットをつける際は水気を拭き取り、確実に取付ける
今回のまとめノート
今回はこれまでの私の配管工人生の中で、実際に経験した漏水について赤裸々にお伝えしました。
配管工ならば誰しも漏水の経験があるでしょうし、人間がやることなので完全に無くなることもないでしょう。
それでも今回の記事のような内容を頭に入れて防止策を実施すれば、漏水は必ず減らせるはずです。
ムダな直しをできる限り無くすためにも、ぜひ参考にしてください。
では、良い配管工ライフを!
追伸
漏水を含めた現場で起こるトラブルや対処法を「100を超える厳選事例」としてまとめたノートはこちらからご覧いただけます。
→【現場で使える】配管でのトラブルを解決・防止「厳選事例100」
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