ねじ込みは配管において職人の腕が試される作業のひとつです。
なぜなら、ネジ調整・シール剤の選択と塗布・ねじ込み加減など、やり方によって結果に差が出てくるから。
今回はそんな配管でねじ込みが発生するシチュエーションについて、コツとなる部分を総まとめします。
鋼管(鉄管・ステンレス管)のねじ込み
まずは一般的な「ねじ込み配管」と呼ばれる、鉄管やステンレス管(厚肉)を使用したねじ込みです。
ポリ管や加工管などの台頭によってだいぶ少なくなってはきましたが、いまだに主流の配管方法ですね。
ねじ込み配管でポイントとなるのは、なんと言っても「ねじ調整」と「シール剤の選択」。
これらについてポイントを書いていきます。
ねじ調整が全て
まず何より大切になるのが、ねじ調整。
ねじ調整が適切にできていなければ漏れる、と言っても過言では無いでしょう。
これだけは肝に銘じ、最初にねじの硬さが適切がどうか、実際に継手をねじ込んだりネジゲージを使ったりして確認してください。
感覚的な話にはなりますが、おか(バイス台の上や床)でねじ込む際に「ほんの少し柔らかいかな」と思うくらいが良いかと思います。
なぜなら、実際に天井配管などでねじ込む際には力が入りにくいことが多く、向きを合わせるのが難しく感じるからです。
シール剤を選ぶ
次に大切なのがシール剤の選択です。
なぜなら、配管の用途(冷温水・高温水・上水・消火栓・ドレンなど)によって適切なシール剤が異なるから。
シール剤が許容できない温度や圧力の流体が常に流れば漏れの原因になります。
使うシール剤は最初に必ず確認するようにしましょう。
→配管のシール材を完全理解!ねじ込み配管やるなら絶対に知っとくべき
器具付けでのねじ込み
器具付けにおいても、ねじ込みは頻繁に発生します。
例えば止水栓やフラッシュバルブなどですね。
器具付けによるねじ込み部は、仕上げ物ですし基本的には目に見えるところに出ていますから、見た目にも配慮が必要です。
相性によるシール剤の選択
基本的にはシールテープのみを使用してのねじ込みになると思います。
が、相性が悪い配管(ステンレス製の水栓ソケットにステンレスのメッキ管など)には、シール力の高いシール剤を使うケースが多いです。
例えばロックタイトのようなものですね。
止水栓のねじ込み部が漏れると、外すために一旦バルブで水を止めて抜かなければならないので、極力それは避けたいところ。
ただし、モノによっては価格もかなり違ってきますし、固まってバラせなくなるものもあります。
ですので、事前に確認をとった上で仕様を統一して使いましょう。
「見た目」への配慮
シールテープだけではなく液状シール剤を使うこともあるかと思います(例えばヘルメシール55など)。
液状シール材は、水栓などの仕上げ物につかないように注意して使いましよう。
気を遣わないで塗ってしまうと、ねじ込み部から大きくはみ出して不恰好になったり、手についたものを引きずってしまったりします。
シールテープと併用するなら、めねじの内側にうっすらと塗るとか、はみ出たものは綺麗に拭き取るなどしてあげると良いですね。
また、シールテープに関しても露出した部分を取り除いてあげると、見た目がメッキで統一されて綺麗に見えます。
この点はシールを使っていることをあえて見せたいケースもあるため、監督や職長に確認して統一した方がベターです。
計器類のねじ込み
大型の空調機やポンプ周りなど、計器類をねじ込むことも多いですね。
温度計・圧力計・温度センサーなど様々です。
計器類は今後もしばらくはねじ込みによる施行でしょうから、ポイントを押さえておきましょう。
バルブ(コック)や本体との取り合い
まず計器類の手前には必ずと言ってよいほどバルブ(コック)が入ります。
なんならバルブに計器類をねじ込むのがスタンダードです。
ここでのポイントは割と多めにシールテープを巻くこと。
回数で言うと10周〜ってとこでしょうか。結構ゆるゆるなので少ないと泣きやすいです。
それと、もし図面にバルブが入っていなかったら、必ず確認してください。
そうしないと交換の際にわざわざ水を止めて水抜きをしなければならなくなりますので。
特殊な継手へのねじ込み
計器類は砲金製のバルブやステンレス製の鋼管(ねじ)にねじ込むこと多いですが、プールの濾過器まわりなど、塩ビ製を使うこともあります。
特に塩ビ製のメスアダプタや特殊継手を使う時には注意が必要です。
なぜなら、塩ビは柔らかいのでねじ込みすぎると割れてしまったり、メタルが入っておらず非常に漏れやすかったりするからです。
特にメタルなしの特殊継手は、線切ってしまいやすく緩いのに漏れやすいため、「シールテープを少な目に巻いて手締め+レンチで半周」くらいのイメージが良いです。
それで泣くようなら増し締めすれば大体は止まりますので。
今回のまとめノート
ねじ込みは器具付けなどを含めると何かと施工する機会が多く、なおかつ職人の腕が試される部分でもあります。
メカニカル継手とは違って、一歩間違えれば普通に漏れてしまいますから、ポイントをしっかりと押さえておきましょう。
では、良い配管工ライフを!
追伸
ねじ込みに必要な工具といえば、パイプレンチとモンキーレンチですよね。
もしまだお持ちでないなら、広い範囲の作業に末長く使えるモデルを選びましょう。
パイプレンチのおすすめは、兼用のコーナーレンチタイプ(350ミリ)。
15A〜50Aくらいまでなら、なんでも締め付けできますよ。
モンキーレンチなら、これでしょう。
短い持ち手の割に口が広く開くので、器具廻りはほぼこれ1つでOKです。
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