寸法取りの工夫 改修工事の竪管編

寸法取りの工夫として、今回は改修工事での竪管について私が実践している方法をご紹介します。マンションでもテナントビルでも、竪管はいくつかのフロア(場合によってはピットから屋上までの全フロア)を貫いています。肝となるのはこの貫通箇所をいかに攻略するかになります。

竪管はある程度長さもありますし貫通部の後処理もしなければなりませんから、貫通箇所を攻略し事前に加工しておいた方が配管がはるかに効率的です。
※今回は貫通部を斫って撤去し、そこに新たな配管を通すことを前提としています。

斫りを待たずに貫通部の寸法を取る

ネックとなる貫通部の寸法取りに関しては、基本的には斫りが終わってからの方がやり易いかと思います。しかし実際の現場では斫りがタイミングよく終わることは稀ですから、事前に加工しておくには何らかの手段を使って斫りを待たずに寸法を取りたいところです。

そこで便利なのが500〜1000㎜程度の丸棒(全ネジ)です。手順としてはシンプルで、まず12✖️500㎜程度のキリを使用してハンマードリルで計測箇所のスラブを貫通します。なるべく 竪管に近づけた方が良いです。そしてそこに丸棒を通し上下階に分かれて寸法を取ります。丸棒の長さが決まっていますから基準を決めておけば正確に貫通部の寸法を測れるわけです。

スラブ貫通の寸法

全ネジでも良いのですが、やはりネジが切ってある分引っかかってしまい通しにくいですから、丸棒が良いというわけです。基準が統一できていればスラブ厚が不均一だろうとシンダーコンがいくらデコボコだろうと関係ありません。

躯体の精度が良ければ階高を使う(少しアバウト)

普通の建築物というのは正確な図面があり、ほとんどその通りに建てられていますから躯体も正確(なはず)です。ということは、階高が分かればシャフト内の有効寸法を測ることでスラブ厚が分かることになります。

階高を利用したスラブ厚

イラストでは階高からPS内の有効寸法を引くとスラブ厚が出ることが分かります。ただ、この数値は自分達で階高を測ったりスラブ面が凸凹していたりが原因でどうしてもアバウトな数値になってしまいますから、シビアな配管が求められるケースでは採用しない方が良いでしょう。

まとめ

今回は貫通部の斫りを気にせずに寸法を取る方法を2点ご紹介しました。丸棒を使った方が正確なのは明らかですが、ハンマードリル・長いキリ・丸棒を用意しなければならないのと、音出し作業になってしまうという点には注意が必要です。

どこまでが音出し作業?

音出しが可能なら、系統数が多くても前倒しで加工出来ますから、非常に有効な方法かと思います。ぜひ参考にして頂き、効率的な配管に役立てて頂けたらありがたいです。

☑️丸棒

ちなみに、使用する丸棒はこの辺りですね。よかったらどうぞ。

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