配管工なら誰しも、ねじ込み配管は少なからずやったことがあるのではないでしょうか?
その際に使うのが「シール材」ですね。
あらかじめ継手にシール材が塗布されているようなものもありますが、通常はシール材が無ければ配管になりません。
今回はそんなシール材について、よく使うもの〜基本的な施工に関することまで、ねじ込み配管をやるなら絶対に知っておくべきことをお伝えします。
ねじ込み配管で使うシール材の種類
実際に現場でよく使うシール材をあげていきます。
これ以外にも種類はありますが、私が使用したことがあるものに限定させていただきました。使ったことが無いものはよく分かりませんので。汗
55(最も良く使う通称ヘルメ)
ヘルメと言えばこれ、と言っても良いくらい使うのがこの55です。乾くと固まります。
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給水を初めとして給湯やエアーなど様々な配管に使用できます。
使い始めは結構トロトロしているのですが、使い続けるうちに徐々に硬くなっていくので注意が必要です。
ハケが缶の底に届いていないためなかなか最後まで使いきれないですが、そんな時は以下の記事を参考にしてみてください。
参考:ヘルメシールを最後まで使い切るためにやるべき3つのこと
S-2(黒ヘルメ)
通称「黒ヘルメ」と呼ばれるその名の通り真っ黒なシール材です。これも乾くと固まるタイプです。
価格がリーズナブルで、冷水・温水・高温水・ドレン・消火栓など、実に多用途です。
ただ、給水配管(飲み水用)には使用することができません。
それから、黒いだけあって手や衣類などに付くとなかなか落とすことができません。
もちろんクロスや床に関しても同様ですから、仕上げ物のある場所での配管では汚してしまわないように注意しましょう。
903・906
主にステンレス配管や圧の高い消化関連の配管に使用する、チューブタイプのシール材です。(906はハケ塗りタイプあり)
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903は白色、906は灰色のペースト状で、どちらとも普通のヘルメに比べると価格は高めですね。
906の方が適合温度などの点で高性能のようですが、使い勝手としてはほとんど変わりません。
空気に触れている状態ではドロドロしていますが、締付けることで硬化し、シール性能は高いです。
油などの汚れを嫌うため、前処理としてプライマーを塗る必要があります。
H-500
高温の配管にも使用でき、非常に粘性の高いシール材です。
開封しただけではめちゃくちゃ固いこしあんのような状態なので、適宜温めるなどして柔らかくする必要があります。
私の場合、貼る用のホッカイロを巻いてタオルで保温しながら使っていました。
高温で硬化することで、より高いシール性を発揮します。
なので、施行中は固まることもなく、粘性も高いためねじ込みはしやすいです。
無溶剤タイプは有機溶剤を一切含みません。
ですから、中毒になることもなく環境にも優しく、よく現場にあるような有機溶剤ボックスに入れて保管する必要が無いということです。
88
55と並んで広く使われている防食シール材です。
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VAやVB管での給水配管には通常こちらを使用する人も多いかもしれません。
缶の形状は異なるものの、使い勝手は55と変わりません。
119
ここまでにご紹介した製品を扱っているメーカーとは異なるメーカー製の多用途シール材です。
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使い勝手は903や906と変わりませんが、バイス台でねじ込んでいると急に回らなくなる感覚があります。
色はクリアとホワイトの2種類。個人的には、クリアだとシールが塗られているかパッと見で分からず気持ち悪いため、ホワイトが好みです。
ロックタイト
こちらもメーカーは違いますが割と良く使われます。
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使用感は903・906などと変わりません。
嫌気性なので、ねじ込んではみ出してきた部分が硬まることはありませんが、締め付けられた内部では硬化します。
そのため、太物になってくると外す時に超苦労しますね。汗
シールテープ
ご存知、テープ状のシール材です。
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単体で使うとすれば器具付けの時くらいですかね。
普段は給水配管などに、「ヘルメ→シールテープ→ヘルメ」という形で使用することが多いです。(この辺りは施工方法の部分でお伝えします)
メーカーによって質が結構違ってくるため、こだわりのある人も多いですね。
少し強く引っ張ると糸を引いて切れてしまうものや、硬くてなかなか馴染まないものもありますから。
シール材を使った施工方法
肝心の施工方法についてお伝えしていきます。
※あくまでも現場経験をもとにしていますので、人によっては異なることもご理解ください。
オーソドックスなやり方
最もオーソドックスなやり方は「ヘルメ→シールテープ→ヘルメ」の順で塗布してねじ込む方法です。
で、実はこの方法、メーカーとしては推奨されていません。そして現場によってはNGのケースもあります。
だからといってヘルメ(液体シール材)だけで配管するのはちょっと気が引けます。
この点については過去に書いた以下の記事が参考になりますよ。
参考:ねじ込み配管をヘルメシールだけでやったことありますか?
また、実際の施工にあたっては以下の点に注意してください。
- ネジ部(パイプと継手)の油は極力拭き取る
- ヘルメは均一に塗り、決して塗りすぎない
管内が閉塞してしまう可能性もあります - シールテープは最初のひと山を残し、継手が入る部分まで均一に巻く
切れるか切れないかくらいの引っ張り加減で巻くと良い - 巻いたシールテープはしっかりと馴染ませる
- はみ出たヘルメやシールテープは余裕があれば取り除くか指で擦る
塊は錆止めを塗る時にムラになる
よくシールテープを巻く回数を聞かれるのですが、これは結構感覚的な話になりますから、経験をもとに何本かねじ込んで把握しましょう。
目安としては20Aで4周程度で、そこから1サイズアップごとに1〜2周増やしていくイメージですかね。
管径が太くなれば飲み込み長さも増えますから、その分巻く回数は多くなります。
個人差はあるとは思いますが、さすがに1周とか20周みたいなことはあり得ませんね。笑
ステンレス配管
ステンレス配管ではとりわけ注意しなければなりません。
なぜなら材質的に硬い分、ちょっとした汚れやキズによって漏れてしまうことも多いからです。
なので専用のシール材を使うのはもちろん、ねじ切りに関してはより慎重にねじ調整や保護を行ってください。
ステンレス配管はパイプと継手の密着度が高い方がよりシール性能が増すため、シールテープを併用しないことも多いです。
その辺りは、配管の用途や他の職人の意見などから判断した方が良いでしょう。
シールテープの有無
先ほどもお伝えした通り、シールテープを併用するかについては、意見の分かれるところです。
個人的には併用することを推奨したいのですが、現場によっては禁止されており、バレた場合に責任問題に発展することもあるようです。
ただ、サブコンの施工したことが無い人の決めたルールや、メーカー間のしがらみに囚われて、より確実な施工を選択しないなんてバカげていますよね。
なのでこの点は自分の腕と経験を信じ、確実だと思う方を選んでくださいね。
これまで漏水事例から考える注意点
ここでは、これまでに私が経験した漏水事例から、シール材に関する注意点をあげたいと思います。
炎天下や強風下での配管
常温で硬化するタイプの55などは、炎天下や強風下で塗布していると、すぐに乾いてきます。
塗りムラができやすくねじ込みもしにくくなりますから、特に意識して塗布するべきでしょう。
液体シール材のみでの配管
液体シール材のみでの配管は、どうしても漏れやすいと感じます。
これは、ねじ込みにくいことで角度調整による“もどし”が発生したり、より大きなレンチでの締め込みによって継手やパイプに微小な変形が生じたりするからかもしれません。
もちろん、よりシール性の高いものを使えば良いのかもしれませんが、コスト的に厳しいでしょう。
なのでどうしてもやらなければならない時は、大きめのパイレンやヤトイなんかを用意しておいた方が良いと思います。
塗布する量
塗布する量は多ければ良いというものではありません。
メッキ管に結構な量を塗ってねじ込んでいる人がいたのですが、そんな箇所でも漏れましたから。
塗りすぎは閉塞やスケール(不純物が引っかかって蓄積していく)の原因になりますから、ムラなく均一に塗れていればそこまで量はいらないと思います。
まとめ
今回は、ねじ込み配管になくてはならないシール材についてお伝えしました。
ねじ込み配管は両方向から配管ができない(フランジやユニオンを使えば可)ため、漏れると非常に厄介ですよね。
なので、このページを参考に、配管の種類に合わせて適切なものを選択し、確実な施工を心がけてくださいね。
では、良い配管工ライフを!
お疲れ様です!
もうなんと言っていいか…素晴らしい記事ばかりで!
仲間内にもこのblogよく紹介してます(笑)
119の急にネジ込みが止まるのなんなんでしょうね〜ハケは別途用意しないでチューブのままネジの先のほうを1周塗っているんですか?後ドンゴリさんはどんな配管に119を使っているんですか??
マリオさん、いつもありがとうございます!
見に余るお言葉、本当に嬉しく思います。
私の場合119は主にステンレス配管で使用しています。
塗り方としましては、チューブで全体的に1周盛った後に付属のヘラで均一に伸ばしています。
ヘラが無い時は、段ボールを切ってヘラみたいにして使ったりしてますね。笑
一応継手の方にも簡単に塗っています。
余談ですが、パイレンで締め込む時には管や継手を潰すような力が加わりますので、ねじ込みが止まってしまっても掛ける位置を変えれば少し回る時もあります。
ほんの少し、パイプや継手が変形するのだと思います。