薄肉のステンレス配管(以下SUS管)と言えば、新築・改修によらず施工する機会が多いかと思います。特に給湯配管にはSUS管の使用率が高いように感じます。SUS管は、熱や腐食に強いだけでなく、軽量で施工も比較的簡単なことから、配管の中でも主流と言って良いと思います。
そんなSUS管継手の中でも代表的な「BKジョイント」について、今回はその特徴と施工手順やポイントについてまとめます。
拡管方式がナイスジョイントと似ていますので、ところどころ比較しながらお伝えします。
1.BKジョイントの概要と特徴
SUS管継手には多くの種類があります。その中でもBKジョイントは、ナイスジョイント・Zlok・サスフィットなどと同様に、専用の拡管機で拡管し、袋ナットを締め付ける方式です。
以下メーカーのベンカンさんのホームページからの引用です。
BKジョイントは、大型建築および工場のステンレス配管をターゲットに開発した拡管式メカニカルジョイントであり、2001年から発売を開始しております。
中略
BKジョイントは、メカニカルジョイントの特長であるスピード、均一性を活かしつつ、敢えてねじ込みによる接合で作業者自らが施工完了を確認し易い拡管式工法を採用しております。
出典:BENKAN(参照ページ)
大きな特徴は以下です。
- BKジョイント専用の拡管機
手順は後述しますが、アタッチメントの交換がしやすく、拡管時間が短いです。 - 継手内部のパッキンにOリングを採用している
- 独特の袋ナット形状
六角頂部の出っ張りが大きい形状 - 締め忘れ防止のゲージ形状
完全に締め付けると見えなくなり、緩めると元に戻る形状
2.BKジョイントの施工手順
施行は大まかに「寸法取り→管の切断→拡管→締め付け」となります。順を追って説明します。
①管の切断
バンドソーを使用して真っ直ぐに切断します。
パイプカッターは管が押されて変形するため、原則として使用はNGです。また、チップソーでも切れますが、管が焼ける可能性や養生の面倒さから、まったくお勧めしません。
②面取り
切断面のバリを取ります。外面・内面ともに必須です。本数が少なければ棒ヤスリでも良いとは思いますが、お勧めなのは電動リーマーです。作業効率が全然違ってきます。
③拡管機の確認
BKジョイントの拡管機は、重量はそれなりにありますがナイスジョイントなどと比較して大きいということはなく、何よりもアタッチメントの付替えやすさがピカイチです。
管を挿し込む部分と押さえ部分が半割りになっていて、3パーツから構成されています。
半割りのパーツは左右のロックピンを90度回すことで簡単に付け外し可能です。左右はどちらでもよいのですが、溝の方向が決まっていますから、方向を間違えることはないと思います。
管を挿し込む部分は、中心上部にあるフリーピンを上に抜くことで付け外しができます。こちらも1箇所突起が出ていますから、おかしな向きで付けることはできないようになっています。
④拡管
アタッチメントが取付けられたら、管を挿し込み拡管します。管がしっかり挿し込まれているかは、上部の穴から確認できるようになっています。
ボタンを押し、ランプが消えれば拡管完了です。
必ず戻しレバーを押して圧を抜いてからパイプを外しましょう。
⑤ゲージによるチェック
拡管したものをゲージに通して、貫通しないことを確認します。
拡管後の形状はナイスジョイントと似ていますね。
⑥パイプレンチによる締め付け
まず真っ直ぐに手で締めてから、パイプレンチでしっかりと締め込みます。袋ナットの六角頂部が出っ張っていますから、モンキーでも締めることは可能です。
⑦マーキング
マジックでマーキングをして完了です。
1度要領を得れば難しくはありませんが、どれか1つでも怠れば漏水や機械の破損を招きかねませんから、各手順をしっかり押さえておきましょう。
→参考:施行マニュアル
3.施工や継手のポイント
他のSUS管継手(ナイスジョイントやZlok)と比較して、BKジョイントが独特の点や施工時のポイントをまとめておきます。
3-1. 拡管機のサイズ交換が簡単
拡管機のアタッチメント交換は非常に簡単です。
まず工具が必要ありませんし、間違った形でセットできないような作りになっています。取付け方法は手順に記載した通りです。
3-2. 拡管ゴムの交換
各サイズのアタッチメントには、根元に半透明のゴムが付いており、これを一定本数ごとに交換する必要があります。この点はナイスジョイントと同じですが、「拡管不足→漏水→全箇所チェック」という最悪のシナリオを招かないために、確実に行わなければなりません。
拡管後に圧を抜かずに強引に引っこ抜いてしまったり、内側のバリが取れてなかったりするとゴムの寿命を縮めますから注意しましょう。
3-3. 袋ナットの締め終わり感覚とゲージの動作
パイプレンチで袋ナットを締め付けた時の感覚としては、“いきなり止まる”感じです。その際、ゲージは完全に隠れ、袋ナットを外すと元の状態に戻ります。
つまり、黄色が見えていれば完全に締まっていないということです。
3-4. 完全に締め付けても管が動く
パッキンがOリングになっている性質上、袋ナットを完全に締め付けた後も管が回ります。配管時には不安定な反面、向きがズレても直しやすいというメリットがあります。
3-5. 継手寸法はナイスジョイントと同程度
Zlokはナイスジョイントと比較すると、芯引き寸法が大きいです。その分、最短エルボ返しの距離が出てしまうなどのデメリットがあります。
BKジョイントはナイスジョイントより若干短いくらいの芯引き寸法となっています。
3-6. 自力で作れる最小短管が長い
長さの決まった短管を注文することはできますが、自力で作れる最小短管が長いです。
狭小箇所での配管には影響するかもしれません。
3-7. 片受けエルボがある
DV継手やMD継手と同様に片受けのエルボ(45度エルボ)があるのは利点です。エルボ返しの寸法をかなり短くできますし、微妙な芯ズレも45度の片受けて対応できます。
SUS管のメカニカルジョイントは、最小短管を使っても芯芯寸法の距離が出てしまう難点がありましたが、それを見事に払拭してくれます。
今回のまとめノート
SUS管は工事の規模や形式に関わらず、採用率の高い配管です。また、メカニカルジョイントは、施工の分かり易さや継手の信頼性の高さから、現場で施行することも多いかと思います。
今回はその中でも代表的な、ベンカンさんのBKジョイントについてまとめました。
ぜひ作業の参考にしていただけるとありがたいです!
では、良い配管工ライフを!
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