集合住宅の改修工事(大規模修繕に伴うもの)というと、みなさんはどのような印象を受けるでしょうか?
ウチは改修工事専門だから得意だよ! とか、汚い部屋があって嫌なんだよなぁなど、様々な意見があると思います。
私の場合、1日のノルマ(部屋数や系統など)が終われば帰れるので、好きですしヤル気が出ます。ただ、早く作業を終えるためにはそれなりの工夫が必要になってきます。
その内容というのは、現場が変わっても共通して使えることがほとんどです。
そこで今回は、改修工事で実践すべき作業を効率化するためのポイントを3つ共有したいと思います。以下3つです。
- 他業種の職人さんとの絡みで押さえるべき点
- 効率よく作業するための段取り
- いざという時のために用意しておく材料
ぜひ日々の作業に取り入れてください。
1.他業種の職人さんとの絡みで押さえるべき点
集合住宅の改修工事となると、ある程度の件数になりますから、大工さんやクロス屋さんなどは専業の職人さんです。それらの職人さん達とうまくやっていくことが、現場成功の必須条件となります。それぞれ具体的に説明していきます。
大工さんとの絡み(養生・開口・復旧)
大工さんは最も絡みが多いです。壁や床の開口に始まり、配管更新後の復旧まであり、たまに合番になることもあります。注意したい点は以下です。
- テスト施工があれば開口の位置・大きさ・考慮して欲しい点などを細かく伝える
- 最初のうちは開口が終わった時点で連絡をもらうようにする(開口不足など適宜お願い)
- 大工さんは初日に部屋に入ることが多いので、養生材の貸し借りや片付けの担当を打ち合わせしておく
- 器具の脱着はなるべく少なくなるように打ち合わせする
- お互いの“待ち”をできるだけ少なくするような流れを随時考えながら作業する
例えば、開口部で対象となる配管の位置が以下のどちらが作業しやすいかを考えてみてください。
2の方が作業しやすいのではないでしょうか?
こういった位置の微調整などが件数を重ねた時に大きな差となってきます。
斫り屋さんとの絡み(配管貫通部)
竪管貫通部やPSの壁など、斫り屋さんのお世話になることも多いです。配管をするための斫りですから、当然私達より前工程です。では注意点を挙げます。
- 斫りは大工さんの開口以上に既存管を傷付ける可能性がある(埋設配管が分かりにくい上に斫り機の威力が大きいため) →3章の材料を段取りしておく
- 斫り完了時に確認のための連絡をもらう(斫り不足など適宜お願い)
- もし合番になるなら、くれぐれも斫りガラの落下や粉塵に気を付ける
クロス屋さんとの絡み(仕上げ)
大工さんが壁や床を復旧した後は、クロスやクッションフロアの貼り替えが発生します。その後器具付けという流れが一般的です。
- 器具外しが面倒でも仕上げが速くなるなら積極的に外す(その方が最終的に速い)
- 器具取付け用のビスはできる限り挿しておく
2.効率よく作業するための段取り
いざ切替作業になったりお客さんの部屋へ入ったりした時に、スムーズに撤去や配管が進むよう、段取りに万全を期すことはとても大切です。最初からできなくても、現場が進むにつれて必要な段取りも分かってくるはずです。ここでは材料の確認と寸歩取り・加工に分けて説明します。
材料の確認
1日に使う材料を事前に確認しておくことは非常に重要です。なぜなら、材料が足りなければ配管作業が止まり、ムダな待ちが発生するからです。
材料は、あるかどうかを確認するだけでなく、できればガラ袋や土のう袋などにまとめて選り分けておくのが理想です。慣れてくれば、「〇〇号室分」や「〇〇号室系統」などの形でかなり先の分まで用意できると思います。
余計な材料を注文してしまうことも少なくなりますし、最終的に必要となる材料の見通しも効きます。
寸法取りと加工
新規配管の寸法取りと加工は、できる限り進めましょう。決まった寸法がある場合や、部屋のタイプによってルートが決まりきっている場合などは、事前に“パーツ”を量産しておくことも可能です。配管時の寸法取りや加工が少なければ少ないほど時間が短縮できるのは当然ですからね。
ただし、間違って刻んでしまったり、推測の範囲で加工してしまったりすると二度手間になることがありますから、確実に使えるか、またはちょっと直せば使えるような形にしておくのが理想です。
竪管の一例として以下の記事を確認してみてください。
記事内では斫りの完了を待たずに寸法取りしていますが、もし斫りが早く終わるなら、その後直接スケールを貫通させて測っても良いです。
養生の取り合い
部屋内の改修になると、3〜5日工程が多いです。流れとしては初日に大工さんや斫り屋さんが入って2〜3日目に配管し、その後復旧・仕上げとなります。
この場合、初日にした養生をある程度残せるのか、毎日片付けるなら部屋内に置いておけるのか、最終的に誰が片付けるのかなどを、あらかじめ擦り合わせておきましょう。お客さんからの思わぬクレームを受けたり、業種間で言い合いになってしまったりするからです。
3.いざという時のために用意しておく材料
戸数が増えるほど、なんの事故もなく現場が終わる可能性は低くなります。既存管からの漏水や器具の破損など、何かしら起こります。ですから、ある程度の材料は用意しておきましょう。
給水関係の材料
給水・給湯関係は、1番早急な対応が求められます。なぜなら、お客さんに「今晩は水(お湯)は使わないでください」なんてことは言えませんし、下階への浸水の影響もあるからです。
給水関係の材料については、以下の記事を参考にしてください。
→改修工事 これだけは揃えておきたい給水管・給湯管の補修材料
排水関係の材料
排水は常に流れ続けるわけではありませんから、給水ほど急を要することは稀です。それでも、汚さと臭いという点では給水よりタチが悪いです。用意しておいた方が良いのは次のような材料です。
- DV継手(40〜75Aのソケットやエルボ数個)
- アキレスジョイント(40〜100Aくらい)
- ストラブジョイント(40〜100Aくらい)
- 塩ビ管少し(各サイズ)
あとは現場によって対応しましょう。
器具まわりの材料
器具の脱着がある場合は、予備パッキンの用意は必須です。大規模修繕を行うような集合住宅は、当然のことながら器具も古いものが多く、パッキンは軒並み劣化しています。
改修工事で必要と思われるパッキンについては以下の記事が参考になりますから、確認をお願いします。
今回のまとめノート
集合住宅の改修工事は、配管工としての作業の中でも大きなくくりの1つです。大工さんやクロス屋さんなど周りの職人さんを含め、みんなで協力しできるだけスムーズに作業が進むようにしたいですね。
今回は、それに加えてぜひ押さえておくべきポイントを3点お伝えしました。
- 他業種の職人さんとの絡みで押さえるべき点
- 効率よく作業するための段取り
- いざという時のために用意しておく材料
どの現場にも応用がきくはずですから、ぜひこの記事の内容を参考に作業を進めてみてください。
では、良い配管工ライフを!
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