エーパット(Aパット)を作った人、超スゴい! と思うのは私だけでしょうか?
なぜなら、エーパットを貼っただけで、結構柔らかめのモルタルも難なく受け止めてくれるんですから。
あの絶妙な大きさ・粘着力・加工のしやすさは単純なようでいて奥が深いと感じます。
エーパットが活躍する1番のシーンは、やはり天井配管の立上げ部だと思います。大規模な建物の共用便所ともなれば、かなりの本数を立上げますよね。
ただ、エーパットを貼る箇所というのは、必ずしも平ら・キレイ・作業ペースもある、というわけにはいきません。そして、そんな状況でもできるだけ確実に速く貼りたいものです。
そこで今回は、エーパットの基本的な施工手順から効率アップのポイントや失敗談までをお伝えしていきます。
エーパット貼りの基本的な施工手順
最初に貼り方の手順を整理しておきます。裏の紙を剥がして貼るだけやん! と言わずに確認をお願いします。
①必要な大きさを測る
まずはスリーブの大きさ(径)を測り、必要な大きさを確認します。
現場で注文するエーパットの多くは300~500㎜角ですから、カッターで切って使うことになります。スリーブの端から50㎜も出ていれば、しっかりと貼れますよ。
②貼る面の汚れを取る
基本手順として押さえておきたいのが、貼る面の汚れを取ること。
「2.作業効率アップのポイント」で詳しくお伝えしますが、ホコリや耐火被覆などの吹き付け材、水気があると貼り付きません。
貼り付いたとしても、モルタルを入れたら崩壊してしまう危険もありますから、ここは念入りにやりましょう。
③管径に合わせて切り込みを入れる
20~50A程度なら切り込み、65A以上なら“くり抜き”で切り込んでおくと貼りやすいです。
④裏紙を剥がし穴を塞ぐように貼る
何枚も貼ればなんとなくコツが分かるようにはなりますが、意識しておくと良い点を挙げておきますね。
- 一旦裏紙が付いたまま当てがって貼りやすそうな方向を確認する
- スリーブの外側をしっかりと貼ることを意識する
- キレイさにこだわりすぎない
- 貼りにくいと感じたら分割してしまう
- 隙間が空いたら補強する
⑤オビを巻く
最後に管周辺の隙間をふさぐように細長いオビを巻きます。巻くと言っても、いくつかに切って貼った方が良いです。
作業効率アップのポイント
立上げる配管が1つや2つなら特に効率を意識する必要はありませんが、実際の現場ではそうもいきません。
そして“作業しにくい状況”というのが多々存在しますから、ポイントとなる点をまとめておきたいと思います。
あらかじめ作っておく
もしスリーブ径や立上げる配管径がある程度決まっており、本数がたくさんあるなら、あらかじめ適当なサイズへのカット・切り込み・くり抜きをやっておくと、いざ貼るときに楽です。
必要な枚数も大まかに把握することができます。
作ったものが他のサイズや新品とごちゃ混ぜにならないように注意しましょうね。
裏紙の部分にサイズを書いておけば分かりやすいですよ。
濡れた面を乾かす
貼る面が濡れているのはよくあること。水気はゴミと同様に大敵ですから、しっかりと取り除く必要があります。
もしスタイロホームなどの可燃物ならウエスで頑張って拭いたり、ブロワーで乾かしたりするしかありませんが、デッキやコンクリートならガストーチで乾かす手もあります。
特にコンクリート面はウエスで拭いてから炙ると、みるみる乾いていくのが分かりますよ。
ただし、くれぐれも火気作業だということを忘れず、デッキの中にスタイロ層がいるケースもあることに注意しましょう。
狭くてどうしようもない場合
狭いシャフト内の竪管のように、貼る箇所まで体が入らないケースもあります。
そんな時は、垂木や細物のパイプなどの先端にエーパットを軽く貼り、そのまま該当箇所にペタペタ貼っていく方法が有効です。
手間ですが細かいパーツに分ければ、それなりには貼れます。
ただし、通常のように完全に貼ることはできませんから、最初にモルタルを入れる際には硬め・少量を意識し、ロックウールを詰めるなどの処置を行なってからにしましょう。
上から貼れるケース
どうしても下階に行けない状況(エーパットを貼ってない)でも穴埋めがしたい、下階からだとしっかり貼れないなどの場合には、上から貼れる可能性があります。
スリーブと配管との隙間が50㎜程度あれば、スリーブ内面をキレイにした上で貼り付く面を下向きでくぼませるような形状で貼っていきます。
この方法はあまり深い部分には貼れませんし、スリーブ内を完全に埋めきることはできませんから、奥の手だということで認識をお願いします。
エーパットがらみの失敗談
大事故になることはないとは思いますが、エーパット絡みで多少のトラブルに見舞われることはあります。
これまでに私が経験した内容をいくつかご紹介します。
オビを貼り忘れる
慣れた方は無いとは思いますが、オビ貼り忘れることがあります。まだ経験の浅い人や、あまり手順の分かっていない雑工さんなどはたまにあり得ますね。
オビが貼っていないと隙間ができますから、モルタルが柔らかいほど下階に漏れていきます。
デカすぎる開口が崩壊
配管に対してスリーブが大きすぎる、またはいらないスリーブを埋めるなどの場合に、”すごく大きい”なら要注意です。
いくらエーパットの粘着力が強くても限界はありますから。
私もこれまでに和式大便器の開口を一気に埋めようとして崩壊してしまった苦い経験があります。そんなに大きくないかなと思っても、がっちり貼り付かない面なら、同様に要注意です。
崩壊すると、掃除→埋め直しで手間が倍以上です。
一気に全埋めしようとして崩壊・仕上げ不足
スリーブの大小に関わらず、一気に埋めるのはお勧めしません。なぜなら、崩壊のリスクがあるのはもちろん、一気に仕上げようとしてもモルタル面が少し凹むからです。
実際にダメ穴を一気に埋めようとして崩壊したり、スラブより少し凹んでしまった面を再仕上げになったり(増し打ちするなら問題なし)したことが何度かあります。
少なくとも「下埋め→乾いたら仕上げ埋め」とした方が無難です。下埋めしておいた方が凹みも少なくキレイに仕上がります。
今回のまとめノート
スリーブ貫通の穴埋めにエーパットは欠かせません。立上げる(貫通する)配管が多ければ、その分貼るエーパットの量も多いということ。
実際の現場では貼りやすい状況の方が少ないくらいですから、ポイントを押さえて効率よく貼ることが理想です。
様々な状況に対応できるよう、今回は基本的な施工手順から作業効率アップのポイントや失敗談までをご紹介しました。
配管はするけどエーパットは貼らない、という人はなかなかいないと思いますので、頭のぜひ作業の参考にしてください。
では、良い配管工ライフを!
今回の記事も大変興味深く読まさせていただきました。
ありがとうございます!
厚かましいですがリクエストがございます……。
ガス給湯器を新たに設置する際、給水ポリ菅、給湯ポリ菅、ガスフレキ管、追い焚き用イーグルホース、暖房用行き戻りポリ菅などを外壁に配管する場合があります。
そのとき管をまとめて100mmくらいのモールに入れようと思うのですがなかなか上手く施工する自信がありませんので、そういう場合の施工のコツを記事にしていただけると非常に助かります。
タンクさん、毎度ありがとうございます!
モール配管ですね。
モール配管は個人的にはかなりの量を施工してきました。
しかしながら、どのケースも給水・給湯・ペアチューブのみで、管種は架橋ポリかHIVPです。
つまり、今回のタンクさんのようなケースは施工したことはないのです(汗)
ですが、いくつか思いつく範囲で気になる点がありますので、挙げさせていただきます。
◇全ての配管が確実に収まるモールサイズを選定する
◇インシュロックなどで背中からくくれるタイプが良い
◇配管を収める際に、内側のリブ(出っ張り)に注意する
◇それぞれの配管の許容曲げ半径や継手の大きさに注意する(特に曲がりがある場合や貫通部)
◇給湯器に結ぶ手前のどこで見切りをつけるのかを考えておく
モール配管全般については、また記事にまとめたいと思います。
よろしくお願いいたします。
ありがとうございます!
勉強になります!
動力盤の屋根面にAパッドを張りたいのですが(内側からは危険で不可能)たくさんのケーブルがまとまって天井開口から上に向かって
配線が上がっている状況の中、Aパッドを四角に切って上から貼り付けケーブルの隙間をシール材で埋める方法で、上部冷水配管からの
結露水を防護したいと考えておりますが、Aパッドを使ってよい方法がありましたら、ご教授いただけると助かります。現地は地下2階の
熱源機械室の動力盤・高圧盤があり上部空調冷水配管の保温断裂部からの結露水が垂れて、盤内への水滴を防護したい。との理由となります。以上 よろしくお願いいたします。