配管に漏水はつきものです・・・
配管工としてこんなことを言うのは心苦しいですが、どんなに腕の良い尊敬できる職人でも、これまでに漏らしたことが無いと言う人は見たことがありません。
もしそんな人がいるとすれば、施工した数がめちゃ少ないか、自分が漏らしたことを知らずに他の人に尻拭いさせている可哀想な人でしょう。笑
では漏水が起こってしまった時に原因に目を向けてみると、明らかなミスや施工不良があるのも事実ですが、それ以外にも“思いもよらない原因”で漏れることがあるのです。
そこで今回は、最近起こったねじ込み配管での漏水事例を元に、配管で気をつけるべき思わぬ落とし穴についてお伝えします。
配管の注文品には気をつけろ!信じるのは自分の目と腕
配管の注文品なんて言うと、「いやいや、注文しない物なんてあるの? さすがに自分で配管を作る人なんていないでしょ!」と思われるかもしれませんね。
今回お話ししたいのはそう言うことではなく、具体的には“自分で加工しないもの”です。
例えば、今回問題となったのは、ねじ込み配管の時にはほぼ使うであろう角ニップルと言う材料。
ねじ込み配管の中では最短の長さであるニップルになります。(ほとんどネジ部で構成されている0ニップルというものもありますが、使えない現場が多いです)
おそらく配管工で使ったことも見たこともない! という人はいないと思いますが、配管する際には絶大なる信頼を持っているのではないでしょうか。特に若い職人さんの場合は。
ですが、今回は角ニップルのねじ込み部が、結構いかついレベルで漏れたのです。まさかとは思いましたが、間違いなく角ニップルで漏れていました。
そこで一旦外して確認してみたのですが、シール材が付着してしまっていることもあり目立った傷や変形などは見られなかったため、原因としては、角ニップルの油(汚れ)か、シール材の不均一などのねじ込み不良と結論づけました。
ここで得られる教訓は以下。
- 注文品だからと言って信頼せず、外傷や形(特にネジ部)必ずてチェックする
- ネジ部の油やゴミは完全に除去する
- 注文品だからこそねじ込んだ際の違和感には敏感になる
工場生産品なので精度は高いのかもしれませんが、絶対はありませんから、最終的には自分の目と腕で判断しなければならないと言うことですね。
漏らさないために確認すべき注文品の例
今回のようなねじ込み配管の例では、現場で切断してねじ切りをした管以外は、全てが工場などで作られてくる注文品で、“私たちの手の届かないもの”です。
例えば以下。
- 角ニップル
- 短ニップル
- 加工管
- ネジありの定尺
- 継手
100㎜のニップルなんかは、注文するとすごく綺麗なネジで作られてきますよね。
それもあって、配管の際には信頼しきってしまうわけですが、そのような注文品(工場生産品)こそ、よく確認して配管しなければならないと言うこと。
ねじ込み配管以外でも考えられる物を挙げておきますね。
- 薄肉SUS管の短ニップル(ナイスジョイント・Zlokなど)
- 加工管全般(特に溶接のフランジなどは、傾いてることもある)
- 塩ビの片ネジ管(雨水などでよく使うが、特に太物は結構漏れる)
- バルブ類(ねじ込みのゲートは未だに利かないものがある)
- 例外として、他の現場で余ったものの在庫品
- 究極は器具類も全てそう
これだけ挙げてしまうと、「ほとんど全部じゃねーか!」って感じですよね。
ただ、99%は問題ないはずですし、経験を積むほどに“違和感”には気づけるようになっていくもの。
どちらかというと、絶対に大丈夫だろうという気持ちで何も気にせずに配管してしまうことがまずいのです。
それによって、微妙な違和感に気づけずに、漏れをスルーしてしまわないようにしましょうね。
今回のまとめノート
実のところ配管と言うのは、ほとんどが自分の手が及ばないところで作られた「注文品」を使っています。
それゆえに、信頼しきって配管を行ってしまうのは危険です。
最近は何を作るにしても精度が良いので99%のものは大丈夫なのかもしれませんが、絶対はありませんから、職人たるもの必ず自分の目と腕で確認して違和感に気づくことができなければならないということ。
最低でも傷や外見を確認したり、ネジのニップルなら油を綺麗に拭き取ったりするわけですね。
今回の漏れを見た年配の職人さんはこう言いました。
「昔は角ニップルがよく漏れたもんだよ」
作るのが面倒なものは注文すれば届く、そして技術も精度も進歩している今だからこそ、それに頼り切るのではなく、自分の目と腕で確認することが大切ですね。
では、良い配管工ライフを!
PS
良いグリーンレーザーを見つけました。
お疲れさまです!
ガスでもニップルはよく使うので注意します。
0ニップルを使ってはいけない現場があるのですか?
0ニップルは、パイプレンチで掴むところがないため、ねじ込む時も共締めになりますし、外すのにもネジ部にパイプレンチをかけるしかないため禁止されることがあります。
特に大手で多いですね。
もちろん絶対に使ってはダメな訳ではありませんし、使える現場もたくさんあると思いますよ。
初めまして、記事拝見させて頂きました!
自分は配管はじめて20年近くになりますが、
文章で読むと面白いですね。
モツごろうさん、初めまして。
コメントをありがとうございます!
仕事で毎日のようにやっていることでも、いざ文章にしようとすると難しく感じることも多いです。
それでも頭の中が整理されますし、自分がやっていた施工の思わぬ間違いに気がつくこともあります。
ですので、今後も出来るだけ分かりやすく書き続けていきます!
よろしくお願いします。