一連の配管作業全ての工程において、地味〜〜で全然パワーも使わないけど超重要なポイント。それが「墨出し」です。
配管のルートやレベルなどを“目で見て分かる”ように印ををつけてあげる作業です。
この墨出しは実は非常に奥深く、特にどのような「墨」つまりマーカーやマジックを選ぶかが大切になってきます。
この選び方を間違えると、他職種の職人さんに迷惑をかけてしまったり、時間をかけて出したものが一瞬で消えてしまったり。
なので今回は、墨出し時に適切な「墨」を選択するためにも、マーカーやマジックを比較します。
ぜひ作業の参考にしてくださいね。
配管で墨出しする場面
配管作業の中で墨出しする場面といえば、配管ルートや支持金物取付用のアンカー墨がメインではないでしょうか。
あとは飲み込みや配管撤去切断箇所のマーキングなども含まれるでしょう。
墨を出す場所としては、床・壁・天井・金物・パイプなど様々で、それらに材質や仕上げ方法の違いがありますから、実に多種多様ですよね。
そこで重要になってくるのが、場所や材質に合ったペン類を使うこと。
ただ、一口にペンといっても鉛筆やチョークなども含めると、これまた種類が超多いですよね。
なので現場で実際に何を使うかは、以下の基準をもとに判断すると良いかと思います。
- 現場のルールに従う
油性・水性・色・メーカーなど、現場で定められているものがあれば、それを使いましょう。 - 「仕上げ」に合わせる
最終的な仕上げ物に影響が無い、というのが大前提です。
この2点にそったペン類を選択するためにも、次章から具体的な種類をあげて、使うシチュエーションや注意点などを詳しく解説していきます。
墨出しに使用するペン類を比較
配管に伴う墨出しとして、使うことは多いのは以下の5つ。
- ペイントマーカー
- マジック
- 鉛筆
- チョーク
- 墨つぼ
それぞれ馴染み深いものばかりだと思います。それぞれ具体的な製品をあげて説明していきますね。
本来、マジックはマーカーの中の1つですが、現場では使い分ける場合も多いので、今回は「ペイントマーカー」としてそれぞれ解説しています。
ペイントマーカー(油性)
ペイントマーカーは、顔料系のインクを使用したマーカーで、どんな材質にもハッキリと書くことができます。
ペンキを使って文字を書くようなイメージだと思ってください。
そのため、濡れた面や凹凸のある面などにも使うことができ、消えにくいのが利点です。
均一でないスラブ面や湿気の多いデッキ面など、普通のマジックでは厳しい箇所にしっかりと墨出しできるわけです。
ただし、芯からはみ出たインクが固まってフタが開けにくくなるのと、インクが飛び散る可能性がある点は注意してください。
ちなみに、ポールを使って天井にアンカー墨を出すような場合にもこのペイントマーカーが適しています。
マジック(油性・水性)
マジックは広く一般的に使われているため、現場以外でも使うことが多いのではないでしょうか。
「マッキー」に代表される油性マジックは、安価で細字と太字が両方付いているので使い分けに便利です。
染料系のインクを使用しているので、滲みやすく湿気の多い面や凹凸面には適しませんが、単純に油性で消えにくい墨を出したい場合に有効です。
また、現場によっては油性のマジックによる床への墨出しが禁止されている場合があります。
これはマジックの染料が長尺シートを貼ったところに滲み出てきてしまうからです。
そのため、水性マジックを使用するのですが、ほとんどの場合指定されるので、まずは現場に入ったら確認してみましょう。
よく指定されるのは以下のマジックです。
水性は消えやすいので、次章で紹介するようなスプレーを使用すると良いでしょう。
鉛筆
鉛筆・シャーペンも現場では使う機会が多いです。
主な用途としては、仕上がっている壁や床への墨出し、シビアな寸法取りが求められる箇所での墨出しなど。
必要に応じて消しゴムで消すこともできますし、細い線が書けるので、巻き出し配管や器具の取付け位置を墨出しする時に便利です。
私はどちらかと言えば鉛筆がおすすめなのですが、これに関しては好みがあるのでどちらでも良いと思います。
シャーペンなら芯が1〜2㎜の建築用のものが良いでしょう。
参考:鉛筆かシャーペンか
チョーク
学校の授業でお馴染みのチョークですが、現場でも結構出番は多いです。
スラブや壁などのコンクリート面に対して使うのがほとんどで、箒で掃いたり擦ったりすれば消すことができます。
キッチリとした墨を出すというよりは、フリーハンドでザックリと出すことが多いです。
例えばアンカー打設前にセンサーで鉄筋の位置を出したり、ポリ管の転がし配管のルートをざっと墨出したり。
安価なので、上記のような用途があれば積極的に使っていきましょう。
墨つぼ
ペン類ではありませんが、墨つぼについても説明しておきますね。
墨つぼが何と言っても便利なのは、真っ直ぐな長いラインを簡単に出すことができる点。
しかも、出す場所をしっかりと掃除してハッキリと打てば、ほとんど消えることはありません。
配管においては、通り芯や腰墨を必要に応じて延長したり、転がし配管のルートを出したりすることが多いです。
特に転がし配管では継手間に墨を打っておくと、レベルバンドを設置しやすいのでおすすめ。
通り芯や間仕切り墨はほとんど黒なので、朱墨だとなお分かりやすいですよ。
墨出しに合わせて使うと便利な道具
最後に、ペン類とは直接関係しないのですが、墨出しをする際に使うと便利な道具を2つご紹介します。
個人的には確実に用意して欲しいものなので、チェックをお願いしますね。
子箒(はけ)
子箒と言っても、掃き掃除をする一般的なものではなく、どちらかと言えば塗装に使うハケに近いかもしれません。
普通の箒と違い、非常に柔らかい細毛が密集しているタイプ。
そのため、特にスラブ面の細かなホコリを綺麗に取り除くことができ、墨をよりハッキリと出すことができるわけです。
軽くて小さいので、インシュロックか何かでカラビナにぶら下げておくと良いですよ。
透明スプレー
せっかく墨出ししたものは、出来るだけ消えないようにしたいですよね。
ただ、現場ではたくさんの人が行き来し、濡れたり色んなものを引きずったりしますから、“ただ書いた”だけのものはほぼ消えてしまいます。
そこで役立つのが、透明のラッカースプレーです。
水性ペンでも、書いた後に上からひと吹きすれば、ちょっとやそっとのことでは消えなくなります。
特にスラブ面に長く残しておきたい墨は、スプレーしておくことをおすすめします。
今回のまとめノート
配管作業全体の中でも、墨出しは非常に重要なポイントです。
なぜなら、それを元に加工をしたり、ルートを確認したりするからです。
今回の内容を参考に、ご自身の現場に最適なペン類を選んでいただけると嬉しいです。
では、良い配管工ライフを!
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