衛生配管の施工においては、ゲートバルブ(仕切弁)を使用する頻度がかなり多いですよね。
ゲートバルブは、ナイスジョイントのような特定の継手専用もありますが、写真のような青銅や黄銅製で両側がめねじになっているねじ込み用が主流。(太物はフランジ接続)
このゲートバルブ、弁ですから水や空気などを開閉によって操作できるわけですが、扱い方を間違えると漏水や予定外の修理など思わぬ事故が起こってしまうことがあるのです。
そこで今回は、ゲートバルブを配管で扱う際に確実に注意しておきたい点をまとめます。
本文中にある簡単な心がけや注意をするだけで、面倒な事態はグッと減らせますから、ぜひチェックをお願いします!
ゲートバルブ(仕切弁)を新規にねじ込む場合
ゲートバルブを新築や配管更新などで新規にねじ込む場合に、特に注意したい点を挙げます。(古くて汚いバルブは気にしなくて良いということではありません)
なるべく傷を付けない
青銅や黄銅という素材は柔らかいので、パイレンなどをかけた時に傷が付きやすく、パイレンが滑るとごっそり欠けてしまうことも。
見た目的にも悪いですが腐食の原因にもなりますので、左右の六角部分に平行にパイレンをかけるように意識してねじ込みましょう。
ただし、保温材に覆われるケースがほとんどですし、もともと素材としては腐食しにくいので、そこまでシビアに考える必要はありません。
細物ならモンキーレンチを使った方が綺麗に仕上がりますね。
参考:こうすればパイプレンチは滑らない!ねじ込み配管中にケガをしないために
タイコの部分にパイレンをかけない
ゲートバルブは中央部を弁体(タイコ)と呼ばれるものが上下することで開閉します。
よって、中央部にパイレンをかけて力を入れてしまうと、“つぶれ”によって弁体の上下がスムーズに出来なくなる可能性があるのです。
実はタイコ部分はかなり精密に作られており、パッキンなどが使われているわけではないため、一度変形してしまうと修復するのは不可能。
ですから、必ず左右の六角部にパイレンをかけましょう。
グランドを外したらシールテープを巻いてねじ込む
ハンドルが収まっている部分(グランド)は、パイレンなどを使えば外すことができるようになっています。
これは実はやってはいけないこと。
しかし実際に配管をしていると、ハンドル部分が邪魔になってねじ込みができないことが多々ありますから、やらざるを得ないのです。
それで、この部分はすり合わせ(パッキンなどが入ってない)になっているため、1度外しそのままねじ込んで圧をかけると95%くらいは漏れます。
対策としては、シールテープを3週程度巻き本体の内側にうっすらとヘルメシールを塗ってからねじ込むと良いでしょう。
古いゲートバルブを扱う場合
古いゲートバルブは本体が腐食していないように見えても、扱いは新しいもの以上に慎重になる必要があります。
なぜなら、鉄管との接続部の腐食や内部に溜まったゴミやサビなどの影響があるから。
順番に説明していきますね。
古いものは開閉時のサビに気を付ける
鉄管が使用されていて古いものは、サビが発生していることがほとんどですので、開閉の際に弁体の間にサビが挟まって完全に止水できないことがあります。
また、開閉の振動で内部のサビが落ちて、部屋内の蛇口から出てきてしまうことも多いです。
そんな時は軽くタイコ部分を軽く叩きながら何度か開閉を繰り返すと、ザビが流れてくれることがあります。
ただし、腐食状況によってはバルブをたたくと管が折れる場合もあるので、くれぐれも叩きすぎには注意。
部屋内の蛇口から出てきてしまうサビに関しては、出なくなるまで流し続けてもらう他ありません。
永遠に出続けることはありませんので。
タイコが落ちてしまう!?
弁体(タイコ)は弁棒に引っかかっているだけですので、古いバルブでは何かの拍子に外れてしまうことがあります。
そうなると、どうあがいても全く水が出ませんので、一旦グランドを外して中の弁体を取り出さなければならないということ。
これが結構面倒で予想外の大ごとになってしまうこともあり得ます。
例えば、団地などの改修工事でメーターの1次側バルブなら、系統断水や最悪は全戸断水するという悲惨なケースも。
古いバルブは開閉も慎重に行った方が得策です。
全開したらハンドルを45度戻す
最後にバルブを開けた時のワンポイントを1つお伝えします。
バルブのハンドルは長い年月が経つとサビやゴミなどで必ず固くなるもの。
時にはパイレンを使わないとハンドルが回らないなんてこともあります。
それを考えて、全開した際は45度ほど戻してあげると「あそび」がうまれるので、ハンドルが固着することを和らげることが出来ますよ。
補足:ナイスジョイントのゲートバルブについて
薄肉のステンレス鋼管(SUS管)の代表的な継手であるナイスジョイントについてもゲートバルブが存在します。
このゲートバルブですが、「漏れます」。
と言うよりは、「許容される漏れの範囲がある」と言った方が良いかもしれません。
以下のようにメーカーの施工要領書にも記載があります。
全てが必ず漏れるわけではないのですが、現場で施工した経験としては10個に1個くらいの割合ですかね。
水圧テストをかけて30分くらいおくと、明らかに水が出てくるので分かります。
どんなにハンドルを思いっきり閉めても、たとえパイレンで閉めたとしてもダメですので、そう言うものだと認識しておかなければなりません。
もしどうしてもこれを許容できない場合はボールバルブを使うか、「オスアダプター+ねじ込みのゲートバルブ」で対処しましょう。
65SU以上なら「フランジ+バタ弁」もありですね。
今回のまとめノート
ゲートバルブ(仕切弁)は、配管工なら扱ったことが無いという人はいないでしょう。
そのくらい使用頻度の多いバルブですが、扱い方によっては思わぬ漏水や破損による予想外の修復作業などが発生してしまうことも。
そうならないためにも今回は、ゲートバルブを扱う上で必ず注意するべき点をお伝えしました。
この記事でお伝えしたことに注意して配管を行うことで、よりきれいな配管が施工でき改修工事などでの事故防止もできるはずです。
ぜひ日々の作業で意識してみてくださいね。
では、良い配管工ライフを!
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