モール配管の施工手順・ポイント・コツ・注意点・裏ワザをすべてまとめてみた

集合住宅の改修工事をやる方は、モール配管をする機会もあるかと思います。

部屋内に配管を通す場合に、モール内に収めるだけで見た目も良いですし、支持の必要もありませんから大変便利です。施工に関しても、特別難しいわけではなく、壁や天井にモールを取付けモールに沿って配管という流れになります。

そんな便利なモール配管ですが、メーカーによって施工手順が異なったり、知っておくと便利なポイントやコツなどが存在します。

そこで今回は、それらすべてを網羅すべく、これまでの経験で得たものを集結させてまとめたいと思います。

1.概要とメーカー

屋内配管用のモールで代表的なメーカーといえば、未来工業さんと因幡電工さんでしょう。屋内給水・給湯のモール配管と言えば、この2メーカーいずれかになると思います。

製品上の呼び方として、未来工業さんは「モール」、因幡電工さんは「リフォームダクト」となっていますが、ここでは「モール」に統一させて頂きます。

どちらも化粧カバーの中に配管が収まることには変わりないですが、それぞれに特徴がありますから挙げておきます。

【未来工業】

  • 色は白ではなくアイボリーに近い(チョコレート色もある)
  • カバーは角を切り落としたような形状
  • ベース部分にそのまま配管が収まるようガイドがついている
  • カバーに断熱材が付いている

 

【因幡電工】

  • 色は白
  • カバー形状は丸みを帯びている
  • ベースにパイプホルダーを付けることで配管を収める
  • カバーに断熱材は付いていない

管種は、どちらもHIHT・ポリ管の被覆あり・なしに対応していますが、見た目が結構違いますから、配管する部屋やお客さんの好みなどに合わせて選ぶと良いかと思います。

また、施工手順(詳細は2章)にも違いがありますので、次章以降で詳しくお伝えします。

2.基本的な施工手順

ここでは、モールを壁に取付けて配管するまでの基本手順を説明していきます。全体的な流れを把握してください。

① ルートを決める

最初のルート選定はとても重要です。なぜならモールの継手では処理しきれない曲がりが出てきてしまったり、モールが生活の邪魔になってしまったりすることがあるからです。

例えば他の既存配管をまたげないケースや、モールにドアや引き出しがぶつかって開かなくなるなどです。

なので、ルートを決める際にはすべての末端(各器具への給水)まで問題なくモールを這わしていくことができるかを確認しなければなりません。

状況に応じて次のような対処をしましょう。

  • 躯体や間仕切りに穴を開けて配管を貫通させる
  • 一部分だけ天井内や床下を通す
  • 器具の位置をずらす
  • 他の配管や家具に細工をする

② 簡単に墨を出す

ベースを取付ける前に、まず墨を出しましょう。
全体的なルートが把握できますし、寸法取りの際にも便利です。

配管貫通がある場合には、どこを配管が貫通するかを両側に墨出ししておきます。

③ ベースにモールテープを貼り壁に仮付けする

取付けに際しては、まずモールテープで壁に仮付けします。

モールテープは少し厚めの両面テープなので濡れている面には貼り付きませんから風呂のタイルや外部などは水気を拭き取ってから貼り付けましょう。

カバーは配管が終わるまで汚れない場所にまとめておきます。

④ ビスで固定する

直管部・継手部ともに、ベースにはビス止め用の穴が開いていますから、そこにビスを打ってしっかりと固定しましょう。

直管部はかなり狭めの間隔で穴が開いていますから、1つおきくらいにビスを打てば十分です。

⑤ モールのルートに合わせて配管をする

ベースが取付け終わったら、それに合わせて配管していきます。

因幡電工製の場合は、直管部にパイプホルダーをセットしてから(または配管と同時にセットし)配管を収めてください。

⑥ 配管のテスト後にカバーを被せる

すべて配管し終わったら、所定のテストや漏水チェック後に、直管部継手部の順にカバーをはめて完了です。

3.ポイントや裏ワザ

基本的な施工手順とは別に、ポイント・コツ・裏ワザ・注意点が存在します。順番に説明していきます。

ソケットが直管部に収まるかどうか

直管部が長い場合や、ちょっと修正した場合などにソケットで接続することがあると思います。

この時、未来工業製はモールもソケット用を使用して接続しますが、因幡電工製は直管部にそのまま収めることができます

モールテープは最初に貼っておく

配管量がとても少ない場合を除き、直管部にはあらかじめモールテープを貼っておいた方が良いです。もし余裕があれば継手部もです。

取付け時に切って貼ってを繰り返すのは煩わしいですからね。

直管部はマイナス5

直管部を切断する時は、5㎜マイナスした寸法で切り、それぞれの継手部モールから23㎜離して取付けます。そうしないと、取付けがしづらい上にカバーが収まらなくなります

これはメーカーによらず鉄則です。

ビスの頭はナベとサラを使い分ける

ビスはステンレス製を使用することは言うまでもありませんが、頭の形状には気を使うタイミングがあります。

それは、ベースのビス穴位置にビスを打てない場合(打ち損じや強度不足など)に、他の箇所にビスを打つ時です。打つ場所によってはビスの頭が継手に当たって、うまくカバーが取付けられなくことがありますから、その場合は頭がサラのビスを使いましょう。

ビスに関してついでに補足をもう1点。
風呂内の壁にビスを打つ際には、止水のためビス穴に少しコーキングを入れてあげると親切です。

取付け部の強度に注意

取付け部が躯体の場合や厚みのある木なら気にする必要はありませんが、ボードやジプトンなどなら強度に不安がありますから、負荷がかかる場所かを考えましょう。

ほんの一部だけとか、入り角のキワで人が触ることはないなどなら、ボードアンカーによる取付けだけでも大丈夫かと思います。

継手部と直感部の取付け順序

どちらのメーカーにしても、継手部のベースには“ツバ”が付いています。これが直管部のベースの上になるか下になるかがメーカによって違います。

未来工業製はツバが下になるので継手が先、因幡電工製はツバが上になるので直管部を先に取付ける必要があります。

スペーサーをうまく使う

タイルや巾木など壁面と段差がある場合は、スペーサーをうまく利用しましょう。

スペーサーはビスが届けば何枚でも重ねることはできますが、個人的には最大でも3枚までかと思います。それより多いと不恰好なだけでなく、強度も落ちます。

地獄配管に注意

ルートによっては、入り角の先にまた入り角がくることもあり得ます。そうなると、単に順番に配管していくと地獄配管になりますから、あらかじめコの字型を作る(特にのり付け)などの対処が必要です。

継手カバーの切断

狭い箇所や障害物が多い箇所では、どうしてもモールの継手寸法では収まらない(配管のみなら収まる)ケースも出てきます。

その場合は、継手のモールを少しカットするというワザがあります。ただし、カットすると切り口はどうしても製品としての仕上がりにはなりませんから、シールを打つなどの処置が必要になります。

ポリ管はしなりに注意

ポリ管は柔らかいですし、管が巻きの場合もありますから、クセがついてしまっていることがあります。

このクセ、つまりしなりがあるとカバーがうまく閉まらないことがあります。特に継手付近は、しなりをよく直してから接続するようにしましょう。

末端継手の寸法はシビアに

各器具への接続口は、水栓エルボ・水栓チーズ・水栓ソケットなどになり、それぞれ専用のモールを取付します。この時に、水栓エルボや水栓チーズのカバーは、芯がズレていると取付けられません

つまり、かなりシビアに芯を合わせる必要があるのです。特にのり付けの場合は、微妙な飲み込みの加減によってズレてしまい収まりが悪くなることがあります。

4.必要な道具・あると重宝する道具

最後に、モール配管でモールを取付ける際に、無ければ話にならない道具とあると重宝する道具を挙げておきます。あくまでも”モールの取付け”に関する道具です。

水平器

ベース取付け時の水平・垂直を見るのに必要不可欠です。通常、配管をやる際には、200㎜程度のものを使っているかと思います。

モール配管の際には、 これに加えて少し長めのタイプがあると、墨出しにも使えて便利です。

ただし、もともと取付け箇所のタイル目地が曲がっていたり、並列する既存の配管が曲がっていたりすると、水平が逆に曲がって見えてしまうことがあります。あまりに目地や他の配管とズレるようなら、目見当でその間を取るくらいの方が良いです。

コーキング(ガン)

シーリングキャップや収まりの悪いカバーを取付けるのに必須です。継手のモールを切って細工した場合にも切り口を隠すのに使えます。

また、壁の凹凸がヒドく、モールと壁との間が開いてしまう箇所や、外部で水の侵入を防ぎたい箇所などにも有効です。

モールカッター

絶対に必要なわけではありませんが、モールの切断にはモールカッターがあると、切り口を綺麗で速いです。

安いものではないので、何本も切るわけでなければ特に必要ありません。逆に切断すうが多く、今後も使う可能性があるなら持っておくことをお勧めします。

シャーパー

モールカッターでは、数ミリ切り落としたり、短い寸法を切ったりできませんから、そんな時はシャーパーの出番となります。

シャーパーは何かと使えますから、替え刃も合わせて必ず1つは用意しておきましょう。

今回のまとめノート

部屋内の改修工事では、給水・給湯配管が「モール配管」となるケースも少なくありません。モール配管は、まずモールを取付けてから配管をしますので、配管を2回やっているようなものです。

それでも、露出で配管できますし、支持や保温が必要ないため、慣れてくれば普通に配管するよりは楽かもしれません。

今回はそんなモール配管について、基本的な施工手順からポイントやコツ・裏ワザまで、これまでの経験した内容を全て結集してまとめてみました。

今後も改修工事では施工する機会もあるかと思いますから、ぜひ参考にしていただければと思います。

では、良い配管工ライフを!

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6 件のコメント

  • 非常に勉強になります。
    基本的に給水もガスも変わらないと思い
    ますので今後の仕事に生かします。
    ありがとうございます。

    • タンクさん、コメントをありがとうございます!
      お役に立てて嬉しいです!

      今回の記事はタンクさんのコメントをきっかけにまとめようと思ったものです。
      私も情報が整理できましたのでとても有意義でした。
      こちらこそありがとうございました。

  • お疲れ様です❗
    配管モールって注文と材料の調達も考えます。
    Vpで配管する場合
    モール自体はvp20なのに給水栓のエルボボックスには
    20×13の水Sを準備しないといけなかったり汗

    僕自身、恩田の製品がすきですね。

    • ゆうちんさん、立て続けにコメントをありがとうございます!
      確かに材料の注文と調達は超重要ですね。
      もし継手部分のモールがなかったら終わりですもんね(汗)
      モールは配管の後からじゃ取付けられませんし…
      とても参考になります!

  • もしよろしければ今後、HI・HT・水フレキなどの凍結防止の保温カバーの巻き方特集やっていただけるととても嬉しいです。
    いつも綺麗にできなくて難儀しております……。

    • タンクさん、ご提案ありがとうございます。
      ありますねー、保温カバー。
      情報をまとめるところから始めてみます。

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