配管工に関する資格ってどんなものがあるんだろう?
配管工として本当に役立つ資格はなんだろう?
こんな風に思ったことのある人は少なくないかもしれません。
確かに、関連する資格はたくさんありますし、もちろん役立つ資格もあります。
ただ、当然のことながらあまり意味のない(立場によって)ものもあれば、“ただ取っただけ”で終わる場合もあるということ。
そこで今回は、配管工に関係する資格はどのようなものがあり、役立つものは何か?についてお伝えしていきます。
配管工の資格で役立つのは「配管技能士」
ズバリ配管工として役立つ資格をあげるなら、「配管技能士(1級)」です。
なぜなら、実技の練習をするだけで、ねじ込み(鋼管)・のり付け(塩ビ管)・はんだ付け(銅管)の基本的な施工を身につけることができるから。
しかも、矩(かね)を出したり異なる種類の継手を接続したりといった、配管において最低限必要になる知識を得ることができます。
矩とは直角を意味する建築用語です。つまり「かねを出す」とは、壁貫通や振り上げて90度曲がる場合に直角を出すことです。
また、学科試験においては「材料拾い」が題材ですから、図面を読む基本的な力が身につきます。
必要な管の長さ(尺拾い)や、継手の数をカウントするわけですから、現場での配管作業にも必須となってくる事柄ですね。
それで、これは会社によるとは思うのですが、技能士資格の有無によって単価が違ってくるケースもあります。
つまり、頑張って働いていただけるお給料にも直に影響してくるということ。
やはり業界的にみても実技系の資格は持っているに越したことはないですね。
その他の主要な資格
ここからは技能士以外に、管工事に関連する主要な資格について解説します。
どれもしっかりとした機関が実施している国家資格(排水設備は民間資格)ですが、取得にはそれなりの勉強が必要になってきます。具体的には以下。
- 給水装置工事主任技術者
- 管工事施工管理技士
- 建築設備士
- 消防設備士
- 排水設備工事責任技術者
で、もしあなたがどこかの会社に属している配管工で、この先もその状況が変わらないということなら、ハッキリ言ってこれらの資格はほとんど意味を持ちません。
なぜなら、職人として現場で作業をするにあたっては、これらの資格が無ければできないことはありませんし、困るということもまずあり得ないから。
配管をすることに限って言えば、頑張って勉強して取得してもそれに見合った効果は得られないと思います。
もちろん、資格があることで自信はつきますし、信頼感や発言に対して「この人が言うなら」的な権威性を得ることはできるでしょう。
結局のところ、なんとなく「持っておいた方が良いのでは」「周りが持っていた方が良いと言うから」などの理由で苦手な勉強を頑張るよりは、その分現場で技術を磨いた方が良いということ。
実際の現場では“教科書通りにいかない”ことの方が多いですからね。
現場代理人をやる場合
各地区の認定工事店として独立する場合や、監督業を行うなら、先にあげた資格は取得しておくべきものになってくるでしょう。
監督なら資格を持っている方が職人からの信頼もあるでしょうし、会社によっては資格の有無が役職や給与に影響してくるケースもありますから。
それに「自分(会社)が元請けとなって工事を請負う」場合には、資格がないとできない工事もたくさんありますので、必須ですよ。
特に給水装置工事主任技術者や1級管工事施工管理技士はテッパンの資格ですよ。
受験者の学習方法としては、専門学校への通学、試験前3,4回の講習会、通信教育講座(弊社含む)、 参考書などで独学と、選択肢はたくさんありますよね。
独学で1発合格した私からしますと、学科試験・実地試験共に択一式の問題は、過去問を繰り返しやれば十分だと断言できます。
しかし、施工経験を記述する作文に関しては作成自体が非常に面倒であり、文章を書くことが苦手な人にとっては大きな苦痛、そして試験での鬼門となるでしょう。
その煩わしさを解消してくれる「作文作成代行」サービスを提供しているところがあります。
論文がうまく書けない、現場のイメージがうまく湧かないなどの人にはまさに「痒いところに手が届く」サービスなので、施工経験論文に悩まされている人は利用してみても良いかもしれません。
配管作業に欠かせない技能系資格
ここまで管工事関連の資格をご紹介してきましたが、実際の現場では無いと仕事にならない技能系の資格があります。
もちろん配管の内容にもよりますが、私が必須と思うものをあげますね。(正式名称は「技能講習」などで調べればすぐ分かります)
絶対に持っておいた方が良い資格
持っていないと現場での作業範囲がかなり限られてくる資格です。
とは言え、長くても1日の講習さえ受ければ取得できますから、“誰でも取れる”資格だと思ってください。もちろんタダではないですからね。笑
- 酸素欠乏硫化水素(特別教育)
ピット作業には必須です。無ければピットに入ることすらできません。 - 高所作業車(10m未満)
規模の小さな現場以外は必ずと言って良いほど高所作業車を使った作業があります。 - 研削砥石(特別教育)
ディスクグラインダーや高速カッターなどの刃の交換するのに必要です。
できれば持っておいた方が良い資格
絶対とは言いませんが、持っていた方が良い資格です。
経験を積むと、より高度な作業をすることになりますし、現場を取りまとめる職長としての立場も求められますから、それに伴って資格も必要となります。
- 酸素欠乏硫化水素(技能講習)
ピット作業においては、この資格を持っている「作業主任者」がいなければなりません。 - 玉掛け(技能講習)
パイプや継手をまとめて揚重する際にあると助かります。 - 高所作業車(10m以上)
10m以上の高所作業車でしかできない作業もあります。 - フォークリフト
材料搬入や荷揚げ時に重宝します。台車ごと運べるのは大きな利点です。 - 職長 安全衛生責任者
現場で職長をやるには持っておくべき資格です。
その他にも、作業を行う場所や接続方法によって必要な資格はありますが、総合的に見て挙げたものは持っておいて損はないでしょう。
技能講習になると日数も3、4日かかるものもありますし、講習料も高額になってきますから、取得のタイミングや必要性を良く考えてからにしてくださいね。
まとめ
配管工という職種にとっても、取っておくべき資格というものがあります。
なぜなら、持っていなければ仕事にならないものもありますし、配管の技能を証明できて収入にも影響するケースもあるからです。
今回ご紹介した資格が全てではありませんが、配管に関連する主要なものは押さえていると思います。
配管工としての方向性に合った資格を取捨選択し、無駄な時間を費やさないようにしてくださいね。
ちなみにですが、私の親方(所属している会社の社長)は技能系資格(技能士を含む)以外どれも持ってはいません。
それでも大規模な新築工事から戸建てのリフォームまで、なんら問題なく請負うことができていますよ。
町場以外は元請けではないですけどね。
では、良い配管工ライフを!
過去記事で穴あけの事についてコメントさせて頂いた者です。
記事にしてもらって感謝です!
いつも参考にさせてもらってます。
今日の出来事だったのですが、学校の屋外消火配管のやりかえ工事が有り、今日で大方の配管が終了してかなり距離と配管の容量も大きく補給水槽、消火ポンプとの切り替えが後日という事もあり自分と応援の方で一台ずつ電動のテストポンプで管末とポンプ室から圧力試験をかける事にしました。
自分の用意した圧力計では1MPaを超えたので連絡してストップを掛けたのですが相手方の方では0.3MPaしか上がって無いとの事。
高低差もほぼ無い地点での計測だったので水頭的に同じ数値が出るはず‥疑問に思いながら後の仕事があったのでとりあえずこちら側の圧力計の配管側のバルブを閉じ向こうで1MPaまで上げてもらう事にしました。
すると、しばらくして1MPaまで上がったとの連絡が来たので、こちら側の圧力と擦り合わせるつもりでバルブを開くとゲージが振り切ってとんでも無いところまで上がって壊れました。
自分の用意していたゲージが1.0ちょうどの物だった事も原因です。
結局の所応援の方の側のゲージが元々壊れて指していた目盛りが違っていたようでした。
この事故の原因としては、相手方は計測前の治具の点検をしなかった事、圧力計の仕組みを良く理解出来て無かった事、自分としては相手方の治具の故障の可能性、試験圧力の倍以上のゲージを用意するべきという点だと思います。
結果圧力計2つと余計な試験時間を費やしただけで事が済んでますが切り替え日に同じような事故があったらその日の仕事にならず学校からの大目玉を食らう所だったかも知れません。
この事から給水、排水、消火等様々な配管で試験には工夫を凝らした作り物、治具等を扱うと思いますが、選定のポイント、注意点、効率化等ご意見お聞かせできたらと思います。
長文失礼しました!
φレンさん、ご無沙汰しております。
詳細な事例をありがとうございます!
このような内容は自分としても勉強になりますし、身が引き締まる思いです。
それにしても、ゲージの破損が原因とのことですが、大事に至らなくてよかったですね。(プラグが吹っ飛ぶとか、圧がかかりすぎて漏れてしまうなど)
私の経験則からしますと、ゲージは割と壊れやすく、テスト時の事前確認は必須だと思います。
万全を期すなら、やはり公正ゲージを用意して試験をかけることになりますが、毎回それを行うのはちょっと厳しいですね。
なので実際には、主に外観のチェックと、少し圧をかけた時の動作を見るくらいでしょう。
ゲージの数値に関しては、1.0Mpaかけるのであれば、やはり3.0〜6.0Mpaくらいまでは欲しいところです。
ただ、今回のケースで気になったのは、電動のテストポンプにて逃し弁が働かなかったのか?という点です。
機種にもよるのかもしれませんが、圧が上がり過ぎれば逃し弁が働くはずですから、実際の圧力はそこまで高くはなかったのかもしれませんね。
試験に関する内容としましては、ポイントは多々ありますが、ちょっとここではお伝えしきれませんので、記事にさせていただければと思います。
よろしくお願いいたします。
返信ありがとうございます!
どれだけ気をつけても耐圧試験では事故が起きる可能性があるので出来うる危険回避は行って行きたいと思います。
今回使用した電動テストポンプですが、自分と応援さんの物もどちらも同じKYOWAの電動テストポンプでした。
最高圧力が3.5MPaで逃がし弁からは絶えず少しずつ水が出ている状態になっています。
締切状態、もしくは一定以上の高圧になると逃がし弁からの水の量が一気に増えるという具合です。
テスト時に何度かバルブ操作を行ったら振り切って居たので(その後0に戻らなくなった)規定以上に掛かっていたようです。
PS:いつも配管工として感心させられる記事を書いてくださって感謝しています。
時勢柄、多忙な時期だとは思いますがこれからも楽しみにしていますのでよろしくお願いします!