ポリ管で代表的なエルメックスの施工手順をマスター!

ポリ管の中で代表的なものの1つに「エルメックス」があります。

専用の継手(機械)を使用した電気融着により、素材の特徴を最大限に活かした非常に信頼性の高い給水・給湯システムです。

 

また、材料のムダや漏水リスクを極限まで減らしたプレハブ工法は、多くの新築マンションなどで採用されています。(私自身、かなりの数施工しています)

今回はそんなエルメックスについて、施工手順を整理し、ポイントや注意点をまとめたいと思います。

 

既に施工されている方もこれから施工する可能性のある方も、ぜひこのページの内容を役立てていただければと思います。

エルメックス管の曲げ~継手の挿入まで

エルメックスはポリ管ですから、継手を使わなくても曲げて使えるメリットがあります。(曲げられる範囲は決まっており、極端に曲げると折れます)

曲げで対応できない、不恰好になる、または配管の末端などは継手を接続しますので、まずは「切断カンナがけ継手の挿入」までを説明します。

 

管の切断

管の切断時に注意することは3点あります。

  • まっすぐ切ること
  • ポリ管カッター(塩ビカッターでも可)を使うこと

    シャーパーでも切れますが、バリが出るので絶対にやめましょう。
  • 曲がっている箇所で切らないこと
    カンナがけの時に均一にカンナがかかりません。

 

カンナがけ

カンナは手動でかけるよりインパクトやドリルドライバーを使う方が断然効率的で確実です。 下写真の赤丸部分にビットを差し込むことができます。

くるくると回転させながらカンナをかけていき、細い削りかすがスーっと1本出てくるように均一に削れれば問題ありません。

 

2回以上かけるのはNGなので、失敗したら切り落として新たにかけ直しましょう。カンナはパイプをキレイにすることが目的ですから、かけた後はゴミがつかないように注意し、手でもなるべく触らないようにします

 

継手の挿入

まっすぐしっかりと奥まで挿入し、首元にマジックでマーキングします。

マーキングをしておけば、抜けてしまった時に一目瞭然です。

エルメックスの融着手順

継手を挿入後はいよいよ融着機を使った融着となります。手順とポイントを説明していきたいと思います。

 

①コードと電圧の確認

まずは電源コードとピンに挿し込む側のコード両方に断裂などがないかを確認しましょう。

電源コードを挿し込み、赤いボタンを押して電圧を確認します。(100V前後になっているはず)電源が安定していないと融着中にエラーとなってしまいますので、他の電動工具と共用しない方がいいです。

 

②ピンの取付けと融着

継手のピンにコードをしっかりと挿し込み、機械の表示を確認します。

13-00」「20-20」などのように、継手の径が正常に表示されていればオーケーです。

稀にまったく違う径が表示されたり、表示が変わらなかったりしますから注意しましょう。

 

表示の確認後、スタートボタンを押すと残りの融着時間のカウントが始まります。

このカウントが0になると、「ピッ、ピッ」と10回鳴りますが、1回目の音が鳴った時点でコードを外しても大丈夫です。

 

もし融着中にピンからコードが外れてしまうと融着エラーとなり、その継手は使えなくなります

エラー後は融着し直し(2回目の融着)はできません。やってしまうと樹脂が穴から噴き出し煙が出て大変危険ですので、くれぐれもやらないように注意しましょう。

 

③融着完了後の確認

融着が正常に完了すると、ピンの間の穴から溶けた樹脂が出てきます。この時点で継手はかなり熱いのであまり触らないようにするとともに、無理な力を加えないようにしてください。

数十秒で溶けた樹脂は固まりますから、その後ニッパーでピンを切り落とし、マジックでチェックをしたら完了となります。

継手部の冷却~テスト・通水

実際に融着すると分かりますが、融着後は継手がとても熱くなっています。

そして直後に水を通すことはせず、最低でも3分の冷却時間を置きましょう。

 

水圧テスト

エルメックスは水を通した時によく見ると、水(エアー)が流れて行く様子が分かります。

テスト時に末端でエアーを抜く際には確認ができるかと思います。

 

融着が正常に終わっていればまず漏れることはありませんが、圧をかけた後は念のため継手を触って漏れがないかを確認しましょう。

ちなみに、私もこれまでに何百個と融着しましたが、正常に完了した融着部から漏水したことはありません

 

通水

新規に給水・給湯配管をした後の通水時は不純物に注意する必要があります。

不純物とは、例えば塩ビ管の切粉だったり、旋盤の油だったり、ヘルメシールのカスだったりします。

 

ですが、エルメックスの場合は樹脂が溶けて一体化しますから、そのようなものが出ないと考えて大丈夫です。

この点は非常に大きく、通水時に不純物がストレーナーにつまる心配がありません。(もちろん他の管種へのつなぎ込みなどは考慮しましょう)

今回のまとめノート

ポリ管は継手を使わずに曲げで配管できるので、住戸の給水・給湯配管で多く採用されています。

今回はその中でも代表的なものの1つであるエルメックスについて、施工手順やポイントをまとめました。

 

今後もポリ管は主流になっていくと思いますから、エルメックス施工の際にはぜひ参考にしていただければと思います。

では、良い配管工ライフを!

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