巻き出し配管の中で重要なポイントの1つに、「末端の固定」があります。これは、水栓ソケットや水栓エルボまたは管自体を、スタッド(軽量材)などにガッチリと固定する作業になります。
この作業をしっかりやらないと、以下のようなかなり面倒な事態を招く可能性があります。
- 水栓などの器具をつけた時にガタつく
- テストプラグや持ち出しを緩めた時に、継手も一緒に緩んでしまう
- 末端が曲がった状態でボードを貼られてしまう
このようなことにならないためにも末端をしっかり固定する必要があるわけですが、そんな時にとても重宝するのが『自在バー』です。
今回はこの自在バーを使った、巻き出し配管末端の固定についてまとめます。
1.自在バーってどんなもの?
自在バーとは、未来工業(http://www.mirai.co.jp/)さんの製品で、軽量下地に取付けることで、コンセントボックスなどを壁内やライニング内に仕込むことができます。
元々は電設材料としてのもののようですが、配管固定にも十分使えます。
形状や長さのバリエーションがありますので、注文時に合いそうなものを頼みましょう。バリエーションについては、「3.バリエーションや細工方法」でまとめています。
2.基本的な使い方
自在バーを巻き出し配管でどう使うかというと、その方法はとてもシンプルです。固定の対象となるのは、主に「座付き水栓ソケット(エルボ)」やナイスジョイント・Zlokの給水栓フォルダーです。
手順としてはとても簡単で、以下のようになります。
注)取付にはテクスビス(ピアスビス)や軽天ビスが必要で、オススメは4×15㎜くらいのサイズです。
- 座付き水栓ソケットなどの座が当たる部分に自在バーを固定する
バーの両端を手で折り曲げ(突起がある方が内側)、位置を決めたら付属の両面テープで仮止めします。そしてビスを数本打って完全に固定すればオーケーです。
- 座をビスで固定する
手順1と同じビスを使ってバーに座を固定します。 - 念のため仕上がりから位置を確認する
配管した時点で合っているとは思いますが、念のため仕上がりとの位置関係を確認しておきましょう。
これだけで、かなりガッチリと末端の固定が可能です。1箇所取付けてみればすぐに要領が分かると思います。
以下の写真は固定後の完成形です。
3.バリエーションや細工方法
現場では、壁やライニングの状況、配管のルートが多種多様です。それらの状況に合ったものを選択するために、バリエーションをご紹介しておきたいと思います。
まず、このページでも例としてご紹介しているオーソドックスなタイプには、2種類の長さがあります。
そして幅の狭いスタッド用もあります。ライニングの下地は幅狭の場合が多いですから、選択肢として考えておいても良いかもしれません。
また、以下のようなプレートを取付けることで、固定の範囲を拡張することもできます。
※カタログ写真は未来工業さんのカタログを抜粋させていただいております。他にもたくさんの製品が載っていますので、ぜひご一読してみることをお勧めします。
ちなみにこの自在バー、それなりのお値段がしますから、どうしてもコストを抑えたい場合や、固定が2、3箇所という場合には、自前で固定するのもアリです。
自在バーの細工方法
軽量下地の形式は様々ですので、どうしてもすんなり固定できないというケースがあります。そのような時は、自在バーまたはスタッドに細工を加えます。
まず軽量下地を切る場合は、おそらくディスクグラインダー(サンダー)で切ることになりますから、火気やケガに十分注意しましょう。
次に自在バーの加工は大きく分けて2パターンあります。
①の曲げられる部分は、万能バサミでも簡単に切ることができます。
②の本体の内側・外側それぞれを切ることで、より狭い幅にも取付けができるようになります。それ以外にもコの字に切るなど可能ですが、やはりディスクグラインダーを使うことになりますから、その時は注意しましょう。
どちらにしても、強度が維持できないような過度な加工は避けましょう。
今回のまとめノート
巻き出し配管において、末端の固定は重要です。末端の固定には、木を利用したり自前で軽量材を加工したりしてもいいですが、『自在バー』を使えばそれより遥かに速く簡単にできます。
使い方は、自在バーを軽量下地に固定し、そこに座付き水栓ソケット(エルボ)や水栓フォルダーを固定するだけです。
まだ使ったことがないという方は、とても便利なものですので、このページの内容をもとに、ぜひ日々の作業に取り入れてみてください。
では、良い配管工ライフを!
コメントを残す