どんな管種でも、配管をしていると管の外径を知りたくなる時があります。例えば、振れ止め用のアングルを先に取付けておきたい時や、狭小箇所のルート選定時です。
暗記するようなことではありませんが、外径の数字を配管に利用したい場面は、結構多いということです。
そこで今回は、どのような状況で外径が分かると便利なのかをまとめ、その数字をどのように使うと有効なのかを細かく見ていきたいと思います。
1.指示金物の取付け
配管の支持金物というのは、当たり前ですがその配管に合ったものを取付けます。ただ、実際の現場では管種というよりは、管径に合わせた金物を使用するのが一般的です。
1-1 異なる管種で同じ外径
厳密に言えば、吊りバンドなどはそれぞれの管種に合ったものが存在するのですが、現場では塩ビ管と鉄管で同じバンドを使っていることが多いです。これは外径が“ほとんど”同じだからです。
表を見て頂くと、40A以上は管の外径が鉄管と塩ビ管で、コンマ数ミリしか違わないことが分かると思います。基本的には鉄管のバンドの方が使い勝手が良く安いですから、現場ではそれで統一してしまった方が良いのです。
1-2 ターボによる立てバンドの取付け
竪管をターボ羽子板と立てバンドで壁から支持することがあります。この時のターボ羽子板の寸法切りに関しては、以下のように計算すると分かりやすいです。
●ショートアンカー(飲み込み15㎜)による取付けで壁から配管芯が150㎜のケース
『150 + 15 − 管の半径 − 3』
※最後の3は経験値で、管に羽子板がピッタリくっつくよりは、3㎜程度空いていた方が良いということです。
1-3 アングルによる振れ止めの取付け
振れ止めは通常、配管が終わった後に取付けてますが、配管の通りが確定している場合や、後々の取付けが面倒になりそうな場合には、配管の前に取付けます。
代表的な振れ止めと言えば「アングル + Uボルト」で、配管芯から半径分ずらした位置にアングルを取付けるわけです。
1-4 その他に役立つ点
ターボやアングルによる支持以外にも、以下のような点に外径が役立ちます。
- 三角ブラケット+Uボルトで支持する際の、三角ブラケットの寸法決め
- Uボルトがどのサイズのものかを判断する(Uボルトにはサイズが書いてない)
- コアによる穴開けのサイズ決定
- 斫りによる貫通の場合に管が通るかどうかの判断
- エーパッドの加工
- 貫通処理(隙間の大きさにより何で埋めるか)の決定
2.寸法取りと配管ルートの決定
寸法取りの際に、素直に芯芯寸法が測れないケースや、狭小箇所で針の穴を通すような配管をしなければならないケースには、外径の数字が役立ちます。
2-1 外径を使った寸法取り
スケールを配管の芯に合わせられなかったり、自分が配管芯の数字を読めなかったりすることがあります。その際は管のツラから寸法を測っておき、半径を足せば芯までの寸法(芯芯寸法)となります。
2-2 外径から配管ルートを判断する
天井内の配管やシャフト内の配管になると、他の設備機器やスリーブ・梁の位置などの関係から、配管ルートの選定が非常にシビアになることがあります。
その場合、管の外径から算出した値が重要になります。特に排水配管は勾配の確保が必要ですから、気を付ける必要があります。
例えば、ピット内配管では外部からスリーブを通して貫通してきた配管が、いくつもの梁やスリーブを通りながら展開します。更には、限られた空間の中に、給水・給湯・雑排水・汚水・雨水・ガスなど様々な配管が縦横無尽に走ります。
その中で、排水配管の勾配を確保したり、給水・給湯管の保温が他の物とせってしまったりしないようにしなければならないのです。
私もこれまでの経験上、全てがビシッと図面通りのルートで配管できたことはなく、必ずルート選定のタイミングがありました。もちろんその際は、管の外径の値を使用してきました。
3.特殊な管の外径
冷温水配管用の保温が付いたポリ管や、遮音用の被覆がついた管などは、外径が特殊なので吊りバンドサイズなどの選定は少し考える必要があります。
3-1 IRSP
出典:因幡電機産業株式会社
遮音カバーのついた塩ビ管(VPやFS)です。遮音カバーはハサミで切れる分厚い布のようなもので、外径の正確な値は分かりません。このIRSPに合うバンドは、少しゆるいものの耐火二層管用を使うことができます。
3-2 防音型耐火二層管
出典:昭和電工建材株式会社
通常の耐火二層管に防音の機能を併せ持つのが、防音型耐火二層管です。被覆が厚いので、普通の耐火二層管用のバンドを使うことができません。
施工経験を元に、各サイズ対応するバンドを一覧にします。
- 40A → 65GP
- 50A → 80GP
- 65A → 80TP
- 75A → 100GP
- 100A → 125GP
3-3 保温付きポリ管
加湿給水などの配管で、保温付きポリ管を吊ることがあります。その際、専用のバンドが無いわけではないのですが、高価で納期もかかるため、通常の鉄管用などを使用することが多いです。
つまり、保温材の外径に合わせた、程よい大きさのバンドを選ぶのです。
例えば20Aの管に10㎜厚の保温材なら鉄管の40A用が丁度いいといった具合です。
まとめ
今回は、配管サイズ(外径)を配管に有効利用するのための内容をまとめました。このページの内容を踏まえた上で配管に臨んでみると、意外と管の外径を利用するタイミングがあることに気がつくと思います。
繰り返しになりますが、決して全てを暗記する必要はありません。その場で外径を測って(調べて)、それを利用する術を分かっていれば良いのです。
できる限り正確で速い配管をするために、このページの内容を役立てて頂ければ嬉しいです。
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