「水漏れ」という単語を聞くと、職業柄ヒヤッとしてしまいますよね。ただ、器具廻りの水漏れは配管自体の漏水に比べると、ある程度パターンが決まっているため、そこまで大事になるケースは少ないです。
想定される内容と要点を押さえておけば、落ち着いて素早い対応ができるのです。
今回は、器具の中でも特に水漏れが多いトイレ廻りについて、想定される箇所やその直し方について、簡単にポイントをまとめていきたいと思います。
1.給水関係
古いものになると、給水関係は様々な箇所で水漏れする可能性があります。特にパッキンの絡むものは、パッキンの劣化による水漏れが多いです。
1-1 止水栓廻り
一般家庭でトイレの止水栓を操作することはほとんどないと思います。一方、テナントビルや公共施設などになると、管理会社の人や点検作業によって定期的に操作されているかもしれません。
1-1-1 パッキンの劣化によるもの
止水栓で操作されるのはハンドルですから、グランドやスピンドル部分からの漏れが必然的に多くなります。
例えば、長年回していなかったハンドルを回した際に、劣化したパッキンの合わせが悪くなり、しとしと漏れ出したり、頻繁な操作でパッキンが消耗したりするわけです。
この場合、パッキンを交換してあげれば漏れは止まります。必要なパッキンについては以下の記事をご確認ください。
1-1-2 袋ナットの緩み
止水栓に接続されている袋ナットが緩んでいるケースです。袋ナットを増し締めしてあげることで漏れは止まります。必要に応じてパッキンも交換してください。
そんな簡単なことで? と思うかもしれませんが、地震などの振動で結構ナットは緩んでしまうものです。
1-1-3 メッキ管のねじ込み部
止水栓とメッキ管のねじ込み部から漏れている場合は、少々厄介です。なぜなら、メーターから水を止めてねじ込み直す必要があるからです。
メーターから水を止める手順については、下記リンクの「メーターから水を止めることについて」をご確認ください。
水を止めたら止水栓を外し、ヘルメやシールテープを巻き直してから、再度ねじ込みます。
1-2 ロータンク
漏れの原因は、止水栓からの接続部分と本体との接続部分に分かれます。どちらもパッキンが関係しており、止水栓側は13㎜の平パッキン、本体側は密結パッキンを交換しましょう。
パッキンについては、以下の記事内にある「2.トイレ関係」をご確認ください。
1-3 洗浄管(フラッシュバルブ)
角付きのロータンクやフラッシュバルブの場合、洗浄管で本体との接続されています。洗浄管で漏れるのは、ほとんどが38㎜の差し込みパッキンか平パッキンの劣化によるものです。つまり、パッキンを交換することで漏れは止まります。
パッキンについては、以下の記事内にある「2.トイレ関係」をご確認ください。
また、稀にではありますが、洗浄管自体が劣化してピンホールとなっていることもあります。その場合は、洗浄管自体を交換する必要があります。
洗浄管は、ストレート部分を切断できますから、短くない限りは寸法で切って合わせることができます。
1-4 ウォシュレット
止水栓と結んでいるホースの接続部分から漏れます。パッキンの劣化や締め付け不足がほとんどですが、ウォシュレットのホースは特殊なものが多いため、ホースごと交換するか、パッキンのみ交換というのはかなり難しいと思われます。
いずれにしても、メーカーに問い合わせるのが早いです。
TOTOのウォシュレット用ホース
2.排水関係
排水は大きくSタイプ(床に向かって流れるタイプ)とPタイプ(壁に向かって流れるタイプ)に分かれます。
2-1 Sタイプ
Sタイプは、床に立ち上げた配管に取付けてあるフランジ(接続金物)と、便器本体の間に「ガスケット」が存在します。漏れの原因と言えば、このガスケットが消耗して隙間ができてしまうことです。
つまり、このガスケットを交換することで、漏れを止めることができます。
交換の際には以下の点に注意しましょう。
- 古いガスケットを完全に剥がしてから新しいガスケットを付けること
- 本体を置く際に、ガスケットが脱落しないようにしっかり付けること
2-2 Pタイプ
Pタイプの接続は、パッキンを使ってベンド管に接続されている場合と、アキレスジョイント(蛇腹)で接続されておる場合があります。
2-2-1 ベンド管
パッキンの劣化により漏れが発生します。パッキンを新しいものに交換しましょう。
2-2-2 アキレスジョイント
接続部を締め付けているバンドの緩み、もしくはゴムの硬化により漏れが発生します。
まずはしっかりと挿し込まれていることを確認した上で、バンドを増し締めしてみましょう。バンドの増し締めで止まらず、ゴムが硬化していると感じたら、潔くアキレスジョイントを交換した方が良いです。硬化による変な癖(変形)を戻すのは難しいからです。
3.その他
ここまではよくあるケースで、パッキン交換などで対応可能でしたが、稀に本体が問題のケースもあります。
3-1 陶器本体
ご存知の通り、便器はほとんどが陶器性であり、割れ物です。便器は出荷前に、検査専門の職人さんが割れやヒビがないかをチェックしていますから、初期不良はまずありません。
それでも実際に使い続けるうちには、取付不良や地震などの要因で“見えないヒビ”が入ってしまうこともあるでしょう。ヒビが入ってしまったら、割れるのも時間の問題ですが、それによる漏れがは本体の交換以外に術はありません。潔く交換が無難です。
3-2 ウォシュレット本体
ウォシュレットは便器と異なりプラ製です。ウォシュレットも、本体に入った亀裂から水漏れすることがあり、修理は不可能だと思った方が良いです。
通水した時に、ホースの逆側から漏れてくるようなら、本体の亀裂を疑いましょう。外した状態で通水してみるとよく分かると思います。
まとめ
トイレは器具の中でも水漏れが多いものです。ただ、そのほとんどはパッキンの劣化や袋ナットの緩みによるものです。
つまり、パッキンを交換するか増し締めで漏れは止まるのです。このページにある内容を押さえて頂ければ、トイレの水漏れについてはほとんどのケースに対応できるということです。
もちろん配管の破損が原因で漏れる場合もありますが、その時は床や壁を開口したり斫ったりと本格的な工事が必要になると思われ、即座の対応は難しいです。
あくまでも器具周りの水漏れに対応する際の参考として、役立てて頂ければありがたいです。
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