配管において、「アイソメ図」の存在は非常に大きいです。よほど複雑なものでなければ、フリーハンドで描くことができ、配管ルートが立体的で分かりやすく表現できます。
寸法取りの際にも、アイソメを描いた上で寸法を記入していけば、加工やその後の配管作業が断然楽になります。
そんな便利なアイソメですが、基本については以前記事にまとめていますので、以下のリンクから確認してください。
そして今回は、上記の3つの基本法則以外に、更にアイソメを見やすくし、情報を付け加えるための方法を5つご紹介します。
配管を見ている方向を明確にする
アイソメを複数の人が見る場合、配管を見ている方向の認識の仕方によっては、まったく意味のわからないものになってしまう可能性があります。例えば以下の例を見てください。
左側は下から「立上がり→右→前→立上がり」というルートになりますが、もしこれを右側(赤矢印方向)から見ると(右のイラスト)、下から「立上がり→手前→右→立上がり」となり、認識の仕方がまったく違ってきてしまいます。もっと複雑なルートになると、理解するのが困難になってくるでしょう。
ですから、アイソメを描く人は配管を見ている方向を明確にし、それが他の人に伝わるように徹底しましょう。
アイソメと実際の寸法がかけ離れないようにする
以下のアイソメを見てください。何か違和感がないでしょうか?
ぱっと見、寸法が間違っていると思わなかったでしょうか? このように、アイソメの長さと寸法がかけ離れていると、配管ルートを知らない人が見たら戸惑ってしまいますし、実際に配管する時にもイメージがわきにくくなります。
もちろん、縮尺をきっちり合わせる必要はありませんが、ある程度は寸法とアイソメの長さを合わせた方が見やすくなるのは確かです。
寸法を書く位置や向きに配慮する
アイソメを描いて寸法取りを行う場合、ピースごとに寸法を書いていくと思います。その際、曲がりが混雑している箇所などは、書き方によってはどのピースの寸法かが分からなくなってしまうことがあります。以下の例を見てください。
一見すると、書かれている寸法がどのピースのものか明確ではありません。もしこれが以下のように書かれていたらどうでしょうか?
先ほどとは異なり、真ん中のピースの寸法であることが分かります。もし狭くて描くスペースがなければ、矢印を引っ張って書いても良いでしょう。
スリーブ貫通や天井の上がり下がりなど目印を描く
「1.配管を見ている方向を明確にする」でお伝えしたように、見る方向の認識が一致するとアイソメが見やすくなります。この一環で、「目印となるもの」をアイソメに入れることで、どの方向から見ているかが明確になります。例としては以下のようなものが挙げられます。
- 床や壁、梁のスリーブ貫通部
- 梁の箇所
- 部屋の出入口や窓の位置
- 置いてある機械や家具
これらを踏まえてアイソメの例を描いてみると以下のようになります。
支持金物の情報を記入する(できれば色分け)
アイソメを描いて利用する場面として1番多いと思われるのが、新たな配管ルートを描くことで材料を拾い、寸法取りを行うことです。この材料の中には当然指示金物関係も含まれます。
つまり、できれば寸法取りの際に支持方法も決定し、アイソメには支持位置まで記載してしまえば、支持金物の材料拾いができてしまいます。
その際、配管ボリュームによってはアイソメがゴチャゴチャになってしまう可能性がありますから、もし三色ボールペンなどを持っていれば、色分けをした方が分かりやすいです。
先ほどのアイソメにバンド情報を追記した例
ここで1点注意点があります。支持金物は継手やバルブなどのように決まった描き方がありません。つまり、認識を統一する意味で、支持金物の位置を記載したことや、バンドの種類くらいは合わせて記載しておいた方が良いということです。
今回のまとめノート
アイソメは配管に欠かせない図面です。ただ、自分だけが見るとは限りませんから、誰が見ても理解できる分かりやすいアイソメを描くことが理想です。
そのためにも、以下の5つを意識すると、手描きのアイソメでも立派な図面へとレベルアップします。
- 配管を見ている方向を明確にする
- アイソメと実際の寸法がかけ離れないようにする
- 寸法を書く位置や向きに配慮する
- スリーブ貫通や天井の上がり下がりなどの目印を描く
- 指示金物の情報を記入する(できれば色分け)
これらを踏まえ、他の誰が見ても分かりやすいと言ってもらえるアイソメを目指しましょう。
では良い配管ライフを!
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