マンション・団地・都営住宅など、ある程度大規模な集合住宅やテナントビルの改修工事をする際、職人の立場から見て譲れないことが幾つかあります。人工や行程に関することももちろんなのですが、今回は「加工場の確保」について話を掘り下げたいと思います。
※今回の加工場とは道具置き場・材料置き場を含みます。
※場所の確保自体は基本的に施主と監督との話し合いになるため、職人が関わることはあまりありません。最大限要望を伝え提案をするということです。
テスト施工の重要性
まずお話ししておかなければならないのがテスト施工の重要性です。設計や話し合いでは見えない部分を、実際の現場で施工してみることで、問題点を潰しこみ本工事をスムーズに進められるようにするわけです。つまり、テスト施工をすることで必要な加工場がより具体的になり、うまくいけば本工事までに必要な加工場を確保できます。
加工場選びのポイント
ポイントと言ってもあれこれ考える前に、半分は建物の形状と土地柄によって決まってしまいます。と言うのも、田舎の団地であればほぼ間違いなく敷地が広いためスペースの確保は比較的容易ですし、逆に都内の狭小ビルであれば1畳ほどのスペースすら確保できないことも珍しくありません。ひとまずはそれも頭に入れた上で以下のようなことが重要になってくると思われます。
☑広さと位置
配管材料は長くて重たいものも多いですから、それが搬入可能であり振り回すことが出来なければ仕事になりません。また、加工したものを配管場所まで運ぶ経路も確認しておく必要があります。道具置き場や材料置き場が少し離れてしまうのはある程度仕方のないことだとしても、道具や材料の段取りに何時間もかかってしまうようでは非効率です。
一見すると場所が確保できなそうな場合でも、駐車場・ポンプ室・機械室・倉庫・会議室・階段下・空き部屋・屋上・その他デッドスペースなど、可能性は多いですから現場調査やテスト施工を有効活用し、積極的に施主に掛け合ってもらいましょう。
☑電源の確保
加工にはほとんどの場合電動工具を使用しますから、電源が確保できないことは死活問題です。大きな現場では工事用電源を引きますから問題はないと思います。建物の共用電源などを使わせてもらう場合には”ビリビリガード”を設置し、建物自体のブレーカーが落ちるなどのトラブルがないようにしましょう。
どうしても電源が確保出来なければ、発電機の使用するという手もあります。ただ、騒音や排気の問題をクリアすることが条件となります。
☑雨対策
天気の良い秋口などに青空の下で加工をするのも大変気持ちが良いのですが、雨が降った時のことは考えておかなければなりません。当然のことながら材料・道具・人のどれも濡れるのは好ましくありません。私もこれまで何度も雨や雪の中で加工をしたことがありますが、さすがに帰りたくなりました。屋外でも仮設で屋根を設置したり、雨が降ると分かっていたらあらかじめテントを用意しておくなどして対策をしておくべきです。もちろん屋内の加工場なら問題はありません。
その他にも加工時の騒音対策や作業時間帯の考慮など大事なことはあります。加工場の確保には施主や住民の方々の理解が必要不可欠であり、その辺りは監督さんの手腕が問われるところでしょう。監督さんに具体的な要望を確実に伝えることも重要ですが、そのために頑張ってくれているわけですから感謝の気持ちも忘れないようにしたいですね。
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