面倒な共用トイレのライニング内「巻き出し配管」を速くする5つのコツ

規模の大きな新築(テナントビル・病院・ホテル・研修施設など)の共用トイレは、必ずと言って良いほどライニング内の「巻き出し配管」がありますよね。

この巻き出し配管、意外と曲者だと思いません?

なぜなら、ライニングという限られたスペースの中に細々した配管を収めなきゃならないですし、針の穴を通すようなルートの配管を求められることもあるからです。

そうなると、どうしても時間がかかってしまうのですが、それでも出来る限り速くするためのコツはあります。

というわけで今回は、ライニング内の“込み入った”巻き出し配管を速くするための5つのコツをご紹介します。どれも基本的なすぐに実践できる内容ですから、ぜひ日々の作業に取り入れてください!

1.ライニングのサイズを把握し組まれるタイミングを確認する

最初に重要となるのは、配管うんぬんではなくライニングに関する情報です。それは、サイズの把握と下地が組まれるタイミングになります。

1-1. サイズの把握

ライニング内に配管を収めるわけですから、まずはライニングのサイズを把握しなければ話になりません。監督に教えてもらっても軽量屋さんに聞いても何でもいいのですが、とにかく確実な情報を得ましょう。

その際に重要なのが「仕上がり」です。12.5㎜のボード1枚なのか2枚なのか、メラミンやダイノックを貼るのかなど、パターンは多いです。

末端の水栓ソケットや水栓エルボが、仕上がり面から出すぎたり引っ込みすぎたりしては、器具を付ける際に困りますよね。もちろん末端だけでなく配管ルート(指示金物を含む)もライニング内で完結させます。

1-2. 下地が組まれるタイミング

できるだけライニングの下地が組まれる前に配管を終わらせるべきです。行程的に厳しいこともありますが、下地を組んだ後となると、パイプが入らない・パイレンでの締めしろが確保できない・配管が下地にぶつかるなど、様々な弊害が出てきて1.5倍くらいの時間を要してしまいます

コレを下地の後からやるとなるとかなり辛いです(汗)

ただ、末端の水栓ソケットや水栓エルボの首元の支持は、下地が組まれた後に下地を使って固定するケースがほとんどです。この辺りはタイミングに気を使っておかなければなりません。

巻き出し配管で末端を固定するなら『自在バー』で決まり!

2017年10月23日

2.排水から配管する

給排水が両方ある時は、排水から配管するのが基本です。なぜなら、排水配管は勾配を確保しなければならないですが、給水は前後上下して障害物をかわすことができるからです。なおかつ、排水は大便器なら75㎜、1番細い洗面でも40㎜に対して、給水はほとんどが20~25㎜なので狭い箇所も通しやすいです。

よほどの理由(どうしても材料が間に合わないなど)がなければ、大便器のベース取付け→排水配管→給水配管の順で配管しましょう。

ムリに順序を変えると、後で予想外に大変だったり、結局配管をバラすことになりで結果的に遅くなることもありますので。

3.まとめて加工する(できれば複数人)

大規模なサービスエリアのトイレでもない限り、大便器が10台前後、小便器が5台前後、洗面が3~5台、掃除流し(SK)1台くらいの規模が多いのではないでしょうか。

そうなると、一気に寸法を取り、まとめて加工した方が得策です。特に給水は継手が多くなるので、それだけピースも多くなります。ですから、可能なら人数を投入してガッと一気に加工してしまうと速いです。

管種として鉄管のねじ込みかSUS管のナイスジョイントやZlokが多いですから、1人で切断→ねじ切り(拡管)→ねじ込み(締込み)では、どうしても時間がかかってしまいますからね。

4.必要以上にシビアにしない

共用トイレに取付ける器具は、特定のものについては“待ち”をシビアにしなければなりません。例えば、SKは排水のトラップ部分がガチガチに決まっている(給水も陶器に穴が開いているタイプはシビア)ため、10㎜もズレれば取付けにかなり苦労します。

逆に、大便器フラッシュバルブの高さやウォシュレット給水の取り出し位置などは、元々施工説明書にも「±〇〇」という幅が明記されているように、そこまでシビアな待ちは求められません。

もちろんピッタリ合っている方がベターですが、合わせるために5ミリ切るとか伸ばすのは、ハッキリ言って時間のムダです

ただ、ごく稀にイジメとしか思えないような微妙な位置のズレを指摘する人(検査官)もいますから、事前に探りを入れておいても良いかと思います。

そこまで細かいか! 今までに経験した意味があるとは思えない「配管の検査指摘事項」

2018年4月9日

5.支持や錆び止め塗りはできるだけまとめてやる

巻き出し配管は、支持や錆び止め塗り(ねじ込みの場合)にいつもより時間がかかります。理由は以下。

【錆び止め塗り】

  • 配管が壁ぎわや他の配管とスレスレなのでハケは入りづらい
  • 壁ぎわを塗る時に壁を汚さないように気を使う(養生がいる)
  • そもそも継手が多いので塗る箇所も多い

 

【支持】

  • ボード面が多いのでボードアンカーを入れなければならない
  • 狭い箇所が多くL型ビットロングビットを駆使しなければならない
  • 軽量の端材を自分で固定したり、自在バーを使って固定したりといつもより手順が多い

 

というわけで、最後(ある程度まとまって)にまとめてやると、道具も少なく済みますし速いです。

同じ作業をまとめてやると、途中からコツを掴んでさらにスピードアップしますしね。

もちろん、配管する上で必要な支持(配管の重みで垂れてしまうなど)は、その都度やりましょう。

今回のまとめノート

大規模な新築の共用トイレには、まず間違いなくライニング内の「巻き出し配管」があります。

巻き出し配管は、配管場所の狭さや配管ピースの多さ、支持のしにくさなどから思いのほか時間を要します。

そんな巻き出し配管を速くするためのコツとして、今回は以下の5つをご紹介しました。

  1. ライニングのサイズを把握し組まれるタイミングを確認する
  2. 排水から配管する
  3. まとめて加工する(できれば複数人)
  4. 必要以上にシビアにしない
  5. 支持や錆び止め塗りはできるだけまとめてやる

どれも基本的な内容になりますので、ぜひ日々の作業に活かしていただけるとありがたいです。

では、良い配管工ライフを!

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