図面を信用しきっていると、時に大きな出戻りが発生します。新築工事では特にですが、図面なしに配管することは不可能に近いです。通常ですと図面というのは、監督さんたちの会社や設計会社が描いていますから、そこから印刷されたものをもらって作業をする事になります。最近では手描きのものはほとんどなく、パソコンを使用して描かれていますからある程度細かくても非常に見やすいものが多いです。
しかし・・・私の経験上、完璧な図面というのは見た事がありません。これは図面を描く人が現場でのリアルな施工を分かっていない事や、他業種との絡みを全て把握するのは不可能な事などを考えればごく当然です。つまりそれを念頭に図面をチェックすることが必要になってくるのです。
図面を見る時のポイント
いくら図面を疑ってかかると言っても、隅から隅までじっくり見て確認するなんて事は時間的にも体力的にも出来ませんから、ポイントを絞る必要があります。以下にポイントとなる点をまとめてみます。
☑️管種やサイズなど最低限の情報がある
まず最初に、必要最低限の情報をチェックします。この時点でメイン管の管種やサイズが載っていなければ、即図面を突き返した方が良いです。特に注意したいのは継手を介して管種が変わる場合や、40Aと50Aなど一見サイズを間違えてしまいそうな個所です。
☑️レベルの辻褄が合っている
配管は天井や床下内、壁やPSなどに収まることがほとんどですから、その中で配管同士の交差や支持、排水勾配の確保をしなければなりません。例えば、排水が通るはずの梁スリーブが現場と図面でずれており勾配が確保できないなどのケースが考えられます。天井内や床下のスペースがシビアな場合には特に注意してください。
☑️器具廻りのおさまり
現場に入る配管工にとっての最終関門が器具付けです。ほとんどの器具はあらかじめ必要な給水(給湯)排水の数や位置が決まっていますから、それに合った図面になっていなければなりません。便器が5台付くのに給水が4か所しかない、掃除流しの排水径が50Aになっているなど、良く見ればおかしい点があるかもしれませんから器具廻りのおさまりはよく確認しましょう。器具付けは配管した本人がやらないケースも多いですから特にです。
図面の見極めが現場を左右する
実際のところ、現場によって図面の精度は千差万別ですが、最初にもらった図面を見ればある程度の良し悪しは分かります。上記のポイントを確認した上でおかしな点がほとんどなければ信頼出来ますし、次々に出てくるようでは早急に対応策を考える必要があります。例えば、問題点を直接図面を描いてる人に伝える、図面通りに配管して直しになった場合は「追加工事」にしてもらうなどです。
苦労して描いてくれた図面を疑ってかかるのも心苦しいですが、図面の間違いによる直しが多くなれば、それこそ監督との関係もこじれていきますから、せめて最初だけでもじっくりチェックする事をお勧めします。現場の作業効率は図面に大きく左右されますから、そこら辺はシビアにしておきたいところですね。
ちなみに、図面がしっかりと確認出来るようになるには、数多くの図面を見て現場経験を積むのが1番の近道です。私の場合、新しい図面をもらった時は休憩中もなるべくチェックするようにしています。家にまで持って帰る必要はありませんが、図面に触れる時間が多ければそれだけ”見る力”も付きますから、無理しない程度に時間を確保していけると良いですね。
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