改修工事にて既存管を撤去するにはレシプロソーが欠かせませんよね。特に撤去量が多いケースやスピードが求められるケースでは、充電式ではなくコード式がベターです。私の職人仲間の間では、レシプロソー(通称レシプロ)と言えば『マキタのコード式レシプロソー(AVT機能あり)』です。
AVT機能とはオービタル機能の事で、刃を前後だけでなく上下に動かす量を調整(4段階)する事が出来ます。刃が上下に動く事で振動やブレは大きくなりますがその分切断の速さやパワーは格段に増します。
ただ、速く切りたいから単純にオービタルの数値を大きくすれば良いというものではなく、切断する物や周囲の状況に合わせた数値を選択する必要があります。加えてストロークの調整(6段階)も出来ますから、それらを組み合わせることによって、より安全かつ効率的な撤去が可能になります。
ストローク調整機能
本体のスイッチ下部にあるダイヤルを回すことで調整する事が出来ます。
数字が大きいほどストロークが多くなります。一応取説には以下のような目安が載っています。
ただし、これはあくまでも”目安”ですから、実際には自分で動かして正確に扱えるストロークに設定する事が重要です。例えば個人的には鉄管を撤去する際にダイヤル表示を「3」としていたら、かなり物足りなさを感じてしまいますし、木材を切る際に細物でストロークを「6」に設定していたら、切れる前に折れる可能性もあります。
そしてもう一つ重要なのが「周囲の状況に合わせる」事です。一番分かり易い例としては、PS内などの狭小個所で、すぐ横(後)にボードの壁があるとか、複数の電配が配管に絡んでいるなどのケースではストロークを最小限にする必要があるでしょう。
オービタル機能
本体の中部にあるスイッチを切り替えることで調節出来ます。
こちらも数字が大きいほど上下の振れ幅が大きくなります。取説に分かり易い表がありましたので抜粋させて頂きます。
オービタル機能は、大きくするほどパワーや切れるスピードが増しますが、露骨に振動が増しますから扱いづらくなります。ストローク調整と同様にやはり安全を最優先に自分が適切に扱える設定にする事が重要でしょう。
また、オービタル機能は以下のような使い分けが有効です。
☑(小)で切り込みを入れ(大)で一気に切断
オービタル機能が大きいと刃のブレも大きいですから、切り始めは(小)で配管に刃を入れる事に専念し、刃が入ったのを確認したら大きくするのがお勧めです。特に初心者の方は狙った位置で切断するのに苦労すると思われますので、最初はオービタル機能0を心がけた方が良いと思います。
☑(小)にして真っ直ぐ切断
改修方法によっては、既存管に新規配管をつなぎこむ場合もあります。つまり、切断面が出来る限り綺麗で真っ直ぐな必要があるわけです。その場合には、スピードは重視せず、オービタルを小さく設定した方が切り易いです。
☑材質に合わせて調整
オービタル機能の使い分けの真価が問われるのは、材質による調整です。代表的な例ですと、ステンレス鋼管や鋳鉄管を切断する場合には最小限にしなければなりませんし(ストロークも小さくする)、細物や脆いものを切断する場合には折れる可能性を考慮して、小さくした方が良いでしょう。
⇒鋳鉄管の撤去
この点は経験が物を言う部分もありますので、切断の前には必ず調整する事を意識づけておくと良いと思います。
以上がオービタル機能を使いこなすためのまとめになります。マキタ以外の製品でも同様の機能を備えたものがありますが、使い方としては変わりません。
なお、レシプロソーの使用については、もう一つ重要な要素に「刃の選択」があるのですが、この点は別の記事にまとめたいと思います。
[…] マキタレシプロソーのAVT機能を使いこなす […]