配管ルートが中途半端に芯ずれした時の寸法取りベスト3

配管において「寸法取り」は基本中の基本ですが、その時々で容易に寸法を取ることができない場面に出くわすことがあります。

例えば、長すぎて何分割かにしなければならない場合や、狭小箇所でうまくスケールが当てられない場合、寸法を追える基準となるものが何もない場合など様々です。

今回はそんな数ある寸法が取りにくい場面の中でも、状況というよりは寸法の導き方が面倒な「中途半端な芯ずれ」について、3つの方法をご紹介したいと思います。

既に独自の方法を確立されてらっしゃる方は、もちろんその方法でも全く問題ありません。逆にうまく中途半端な芯ずれ寸法が取れないと思ってらっしゃる方は、記事にある内容がきっと役に立つと思います。

1.地面や壁に墨を出して実寸を測る

どの現場にも「ある程度長さのあるまっすぐなもの」が存在します。例えば、新築なら地墨や腰墨が出ていますし、改修工事でも墨がなかったとしても壁や垂木・全ねじなど、探せばまっすぐなものはあります。これらを使って実寸を測るわけです。

1-1 まっすぐなものを使った実寸の測り方

ここでは分かりやすく、地墨を使って実寸を測る手順を説明します。例えば、横引きの配管が以下のように芯ずれしているとします。

この場合に以下の手順で芯芯寸法を測ります。

  1. 横と縦のずれをそれぞれ測る
    例でいうと、横が500、縦が250です
  2. 計測値を地墨に写す
    地墨①と②の交点を基準に地墨①上の500の箇所が狙いたい芯となり、地墨②上の250の箇所が配管芯となります
  3. スケールを当てて実寸を測る
    墨を出した箇所間をスケールで測れば寸法が分かります

1-2 地墨がない場合

もし上記の例のように地墨がなかった場合に、代わりに他のものを使って墨出しするためのアイデアをまとめておきます。

  • 直角のものを探して利用する(ドア・タイル、壁の目地など)
  • 垂木や全ねじを利用し、直角はサシガネや水平器を使う

つまり、上図の地墨①・地墨②の代わりになるものを探すわけです。

2.電卓(iPhone)を使って計算する

中途半端ば芯ずれは、真横から見ると三角形になっています。ということは、中学校で習った「三平方の定理」が適用できます。これは図で示すと以下のようになっています。

つまり、斜めの部分の長さは、横と縦のずれが分かれば計算できるのです。

その際、私の場合iPhoneを使っているので、元々入っている電卓アプリの「関数電卓機能」を使います。

これは、iPhoneを横にすると、数字や±以外にもsincosX2乗など複雑な計算ができる機能です。

iPhoneの関数電卓機能 (Softbankサポートページ)

この機能を使って、以下の手順で計算を行います。

  1. 横のずれの2乗を計算する
  2. 縦のずれの2乗を計算する
  3. 手順1と2の値を足す
  4. 関数電卓の2乗根ボタン(下図)を押す

横と縦のずれの値さえ合っていれば、これでかなり正確な寸法を求めることができます

1.地面や壁に墨を出して実寸を測る」の例ですと、「62,500(250の2乗)+250,000(500の2乗)=312,500」の2乗根は、559.0169…ですから、寸法は約560となります。

3.経験を元に”大体”で計算する

もし、寸法が超シビアでなくてもよい場合には、ある程度経験がある方なら、大体で計算することも可能です。

シビアでなくてよい場合とは、例えば以下のようなケースです。

  • スリーブと芯ずれしているが、スリーブが大きく、単に配管が“通れば良い”場合
  • 障害物をかわすために、とにかくぶつからないだけ芯をずらせば良い場合

このようなケースでは、もしスケールを当てがえるなら目見当で測っても良いですし、当てがえなければ以下のように大体の寸法を計算します。

Aは45度なので1辺の約1.4倍、Bは1辺の約1.1倍になる

超シビアな寸法が求められないのであれば、上図のような例を参考に、横と縦のずれから大体の寸法を計算します。

1.地面や壁に墨を出して実寸を測る」の例ですと、ちょうどBの長さに値しますので、500の1.1倍は550ですから、電卓で計算した場合の数値とほぼ一致します。厳密には約10㎜のずれがありますから、制度としてはその程度だということです。

この方法が使える状況は結構限られるかと思いますが、時間的に1番速いのは間違いありませんから、それだけでもやってみる価値はあります。

当然のことながら、経験を積むほど精度は増してきます。しっかりと計算する時でも、最初に当たりをつけておくと、自分の感覚がどの程度正確かが分かるかと思います。

まとめ

毎日配管をやっていると、中途半端な芯ずれに遭遇する日が必ずやってきます。中途半端な芯ずれは通常の寸法取りに比べると少し面倒ですが、このページのような内容を参考にして頂ければ、特に戸惑うことなく寸法が取れる(計算できる)と思います。

最初のうちは間違うこともあるとは思いますが、慣れてくれば便利な方法ですので、ぜひ中途半端な芯ずれに遭遇した際には参考にして頂ければと思います。

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3 件のコメント

  • お疲れ様です!この記事を見て分かるしやってるってことは少しは成長できた気がします(笑)
    アプリはTriangleか対角線ってやつでだしてます。僕の場合電卓の関数計算より早くて間違えにくいです

    • マリオさん、お疲れ様です。いつもコメントをありがとうございます!
      アプリを使うとは、正直思いつきませんでした。とても良いアイデアですね!
      確かに電卓より早いです。
      ご自身の方法を確率されている点、素晴らしいと思います。
      今後も何か配管について良い情報があれば教えて頂けると大変嬉しいです。
      よろしくお願いします。

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