配管をスピードアップさせるために1番いい図面の使い方

現場で使う図面といえば、最初に思いつくのは「平面図」ではないでしょうか。平面図は建物を真上(または真下)から見た図ですから、間仕切りや配管ルートなどの全体像をつかむことができます。部屋内の天井配管や床転がし配管なら、平面図だけを元に配管することも多いですね。

今回ご紹介するのは「平面図の利用方法」で、実際の現場で平面図をどのように利用すべきかという内容です。私たちはこの方法を利用して、効率よく作業を分担し、格段に速いスピードでの配管を可能にしています

ただし、1点だけ前提条件があります。それは「平面図がしっかりしていること」です。なぜなら、必要な寸法が入っていなかったり、配管同士がぶつかったりすることが度々あるようでは、その度に確認が必要になり大きな時間ロスになってしまうからです。

ということは、監督さんに図面をもらうときに欲しい情報をしっかりと伝え、図面が手元に来たらざっと内容を確認し、何度ももらい直すことがないようにしましょう。

1.平面図の利用方法

平面図を最大限に有効利用する方法は、一言でいえば「図面を現場に写してしまう」ことです。これができれば、現場自体が1:1の図面になるわけですから、非常に分かりやすいと思いませんか? ということで、順を追って説明していきたいと思います。

1-1 スラブへの墨出し

図面を現場に写すということは、具体的にはスラブへの墨出しです。つまり平面図を元にスラブにへ“地墨”を出していくのです。スラブへ出した墨は、仕上げにより隠蔽されてしまいますから、特に問題ありません。(もしコンクリート打ちっぱなしで仕上げる床があるとすれば、この方法は使えません)この方法は、最初は二度手間のように感じるかもしれませんが、慣れれば以下のような数々のメリットがあります。

▶︎ 作業を分割できる

数人で作業する場合に、最初に図面を使って墨出しさえしてしまえば、後はアンカー打ち担当・バンド吊り担当・加工担当など、作業分担がしやすくなります。

▶︎ 誰でも寸法を測って加工できる

地墨は”実寸”ですから、誰でもその場で寸法を測って加工することができます。ただ、特殊な継手を使っていたり、レベルが変わったりすることもありますから、墨出しをした人との打ち合わせは必要です。

▶︎ 配管前に問題をあぶり出せる

現場で配管ルートを確認しながら墨を出すわけですから、問題を事前に発見できる場合もあります。例えば、スリーブがない・排水の高低差が足りない・障害物があって配管が通らない・枝配管が足りていないなど様々です。

▶︎ 配管作業を“渡す”ことができる

墨を出した人が配管までできないケースもあるかと思います。そのような場合でも、注意点さえ伝えれば他の人に配管してもらえます。

▶︎ アンカー位置が分かりやすい

アンカーは管種や管径によってピッチが決まっています。どこに何発アンカーを打つべきか、図面上で分かりにくかった部分が、地墨を出すと明確になります。

※ レーザーと伸縮ポール

墨を出すに当たってどうしても必要になってくるのが、レーザーです。レーザーは高価なので用意するのが難しいかもしれません。しかし、レーザー無しでの墨出しはかなり厳しいものになりますから、借りてでも用意しましょう。(点でも十字でも地墨を天井に映せるタイプが良いです)

また、後ほど説明しますが、アンカー位置を天井に写す際に伸縮ポールがあると便利です。

※ 墨を見やすくするために

建築現場はホコリや資材が多いため、墨を出すときに後からでも見やすくする工夫をするべきです。そのためのオススメを何点かご紹介します。

  • 墨を出す場所はホコリをできる限り掃く
  • ペイントマーカーなど強いマジックを使う(特に墨出し用のマーカーはオススメです)


  • できればクリアスプレーを吹きかける(墨が消えないようにコーティングします)

ここまでやっておけば、サンダーで削られでもしない限りは消えませんから、ホコリをかぶっても掃けば墨が出てきます。

1-2 見上げと見下げ

ここで、平面図を見るときに大切な、見上げと見下げという考え方について説明しておきます。これは建築図面で言う、見上げ図や伏せ図とかの話しではなく、図面を見るときの考え方になります。

読んで字のごとくなのですが、図面を見たときに天井を見上げた景色が描いてあるのが見上げ、地面を見下げた(下階の天井配管)景色が描いてあるのが見下げになります。

例えば、下階の天井で排水を取る共用トイレの配管で、「5階の図面ください」と言ったとします。そこでもらった図面に6階トイレ分の天井配管が描いてあれば、見上げになります。逆に4階の天井配管が描いてあれば、見下げになります。

これは、配管が下階にあるというややこしさで混乱しないための、現場での意思統一を目的とした考え方です。

1-3 アンカーの墨出し(天井配管の場合)

通常平面図にはアンカーの位置までは載っていません。よって、アンカー位置は管種や管径、継手の位置を元に自分で考えて打つ必要があります。アンカー位置は、まず配管ルートと一緒に地墨として出してしまい、それを天井に複写するのが良いでしょう。

具体的には、地墨からレーザーで天井にポイントを映し、そこに先ほどご紹介した伸縮ポールを取り付けたマーカーで墨を出すのです。そうすれば、脚立などを使うことなく一気に墨を出し、その後一気にアンカーを打つことも可能です。

2.継手の記号

地墨を出す際には、配管ルートが誰にでも分かるようにしなければなりません。なぜなら、作業分担の仕方によっては、墨を出してから数日空いて全く別の人が配管することもありえるからです。ということで、継手から順に説明します。

2-1 エルボ・チーズ横向き

曲がりや枝が横向きで入っている場合は以下のように描きます。

2-2 エルボ・チーズ上(下)向き

曲がりや枝が上(下)向きの場合は以下のように描きます。

注意しなければならないのは、天井配管を上から見た状態を描くことです。実際の天井配管は下から見上げますが、墨は上から見下げた状態ということです。

2-3 バルブ・チャッキ・フレキ

バルブ類は、ほとんどが竪管周りに入りますが、たまに天井内に入ることもありますので、記号をまとめておきます。

上図に加えて、バルブならハンドルの向き、チャッキなら水の流れの向きを描いておくと分かりやすいです。

3.ボード貫通

天井配管では、配管が間仕切り(ボード面)を貫通することが多いです。その貫通部分で最も避けたいのが、ボードの下地であるスタッドに配管がぶつかることです。そうならないために、ボードが貼られる前に以下のような地墨を出しておきます。

この墨を元に、軽量屋さん(ボード屋さん)が下地を調整してくれるわけです。ただ、この墨に関しては、監督さんが出してくれることもありますし、自分で出すとしても、間仕切りの墨が出た後でなければなりません。ですから、監督さんとよく相談し、誰がどのタイミングで出すかを決めるようにしましょう。

4.平面図では対応できない箇所

平面図は上下の動きを表すことが苦手なため、竪管が密集するシャフトや機械室などは対応できません。その場合は監督さんに、立面図や3D図面をもらいましょう。

※竪管が集まるシャフトは立面図が必須

5.まとめ

平面図は配管作業においてとても重要な図面です。その図面を最大限に活かし、なおかつ、足りない情報やルートの問題点などを事前に洗い出せるのが、今回の方法です。規模や状況によって必ずしも使えるとは限りませんが、テナントビル・庁舎・病院・ショッピングモールなど、ある程度の規模がある新築現場では有効です。

数人で作業分担できる場合には、今回の方法をぜひ試してみてください。少しでも作業効率化の手助けになればありがたいです。

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4 件のコメント

  • こんばんわ!疑問なのですが、地墨をだすと書いてありますがこれは部屋の間仕切り?それとも土間の転がし配管だとしたら墨の上を配管が通るルートを出すための墨って事ですかね?
    あと天井配管の場合も同じなのでしょうか?地墨をだした写真とか見せられたらでいいので見てみたいです泣
    あと墨出し時のレーザーの使い方なんかも触れていただけると嬉しいです!
    素人な者ですいません。。

    • マリオさん、いつもコメントをありがとうございます!
      今回の記事で言う地墨とは、「配管ルートの墨」になります。
      これは転がし配管も天井配管も同じで、ただ、天井配管は吊りを取らなければならないため、そのためのアンカー位置を墨出しする方法を記事内に載せています。
      本当はマリオさんのおっしゃるように、実際に墨を出した写真を載せたかったのですが、とても分かりにくいものしかなく断念しました(汗)
      もし分かりやすいものが撮れたら追加したいと思います。

      それからレーザーですが、確かに色んな種類があって更にはポイントや線の出方も異なりますから、結構工夫が必要だったりしますよね。
      その辺りは改めて記事にまとめさせて頂ければと思います。
      よろしくお願いします!

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