配管工の手工具がフル稼働する作業内容の1つに「器具付け」があります。
なぜなら、器具付けは、様々なサイズのボルトナットやビス・水栓類などを扱わなければなりませんし、電動工具では力が強すぎて対応できないデリケートな締付けなども多いからです。
今回は、そんな器具付けで使う手工具について、モンキーやプライヤーなどオーソドックスなもの以外で、あれば必ず役に立つものを4つご紹介します。具体的には以下の4つ。
- 水栓ドライバー
- 立て水栓回し
- コーナーレンチ 250
- ベルトレンチ
器具付けにお勧めする手工具(モンキー・イギリス)については以下から確認お願いします。
では、その4つを見ていきましょう。
水栓ドライバー
ぱっと見はマイナスドライバーのようですが、水栓などの開閉のために少し特殊な形状になっています。
主な特徴とサイズ
先端が幅広で大きめになっているのが1番の特徴です。用途として、止水栓やストレーナーなど、マイナス形状になっている箇所を回すのに特化しています。
長い方のサイズ
長さが2種類あり、持ち手の部分は一般的なドライバーに比べると小さめです。
お勧めのできるポイント
当然のことながら、最も役立つのは止水栓やストレーナーを回す時なのですが、中でも樹脂性のマイナス部分が幅広い形状になっているものに有効です。
写真のようなものだと、普通のマイナスドライバーで開け閉めしようとした時に、ナメってしまうことがあります(樹脂製は柔らかいので特に)。
水栓ドライバーは幅広でより均一に力がかかるので、ナメることなく開け閉めができるのです。
また、流しの蛇口の先端に付いているストレーナーも、樹脂製のマイナス形状になっているものがあります。ストレーナーを掃除する際にはここを外します。
新品の蛇口なら普通のマイナスドライバーでも付け外しできますが、古いものになるとなかなか回らないことがありますから、そんな時にも有効です。
それから、止水栓とストレーナーが一体になっているものにも有効です。
内側が止水栓で外側がストレーナー
これは、ストレーナーを外すには、外側の部分を回さなければならず、普通のマイナスドライバーでは幅が足らずに回せないからですね。
イマイチなところ
ほとんどの止水栓は問題ないのですが、回す部分が奥に入り込むようなものには対応できません。
上写真のストレーナーの例がまさにそうです。これは、幅広が故に仕方のないことです。この場合は普通のマイナスドライバーを使いましょう。
立て水栓回し
洗面台や流しなどに取付けられる、立型水栓や台付き水栓に使用する、通称エルレンと呼ばれるものです。
主な特徴とサイズ
普通のモンキーレンチなどでは回すことのできない箇所、例えば立型水栓の取付けやフレキの結びなどに特化しています。
- 長さ:19cm(六角部〜曲がり)
- 適合サイズ:23㎜テーパリングナット・24㎜六角ナット
- 重量:508g
一般的にエルレンといえば、フレキの袋ナットサイズとなっていますが、それ以外に大きなサイズのものもありますよ。
お勧めのできるポイント
繰り返しにはなりますが、モンキーレンチなどでは扱えない狭小箇所の締付けができることがポイント。
状況によってはエルレンがないと仕事にならないことも多いです。
イマイチなところ
立型水栓のために作られた独特の形状ですから、長さの調整ができないのが最大の弱点です。バリエーションはいくつかありますが、さすがに同じ用途のものをいくつも買い揃えるのは無駄です。
ただ、何かにぶつかってしまって、ちょっと長さを調整したいと思うことはあっても、方向や角度をあれこれ変えてみると何とかなりますから、そこまで気になるレベルではないですよ。
コーナーレンチ250
ねじ込み配管やナイスジョイントなどでは、なかなかお目にかかれない(というより小さくて使いにくい)サイズのパイプレンチです。
MCC コーナーレンチ アルミ白・エンビ被覆用DA 250 CWVDA250
主な特徴とサイズ
一見オモチャのようなサイズ感ですが、300以上のものと何ら変わりはありません。
MCCウェブサイトより
パイプレンチの中では最小サイズになりますから、当然くわえられる管サイズも小さくなります。重量は350gとパイレンにしては軽いですね。
お勧めのできるポイント
パイプレンチはプライヤーなどに比べて力が入ります。
そこで、私がよく利用しているのは、止水栓とメッキ管のねじ込み。
仕上げ(ワン座や壁の中)で隠れる部分にパイレンをかけて、止水栓をモンキーでねじ込みます。
ご紹介している兼用のパイレンであれば、ほとんど傷付かず滑ってしまうこともなくねじ込みが可能です。
この辺りをパイレンで掴む
また、既存の器具をバラす時に、どうしてもメッキ管が外せないことがありますが、そんな時にも有効です。
イマイチなところ
パイプレンチということで、やはり他のレンチに比べると少し重たいです。
柄も厚みがあるので、〇〇差しとの相性が悪いですから、カゴなどに入れて持ち歩くことになるでしょう。
ベルトレンチ
名前の通り、ラバーのベルトを締付けることによって、対象を回す仕組みになっています。
主な特徴とサイズ
ご紹介のメーカーではサイズがS(100φまで)とL(150φまで)の2種類があります。
ラバーベルトの輪になっている部分をベルトの出し入れで調整する、とてもシンプルな仕組みです。
- 全長:155㎜(ベルト部除く)
- ベルト長さ:500㎜
- 使用可能最大径:100Φ
- 重量:86g
お勧めのできるポイント
本体は樹脂製で、工具と呼ぶにはどうかと思うところですが、意外と丈夫で25Aのメッキ管くらいなら、余裕で締め付けられます。
材質が樹脂とラバーですから、とにかく傷付けられない箇所の締め込みに重宝します。
また、ねじ込んでしまったメッキ管&止水栓をどうしても外さなければならなくなった時(傷付けずに再利用したい)にも使えます。
そしてもう1つの利点として、角度が自由に決められること。
袋ナットや止水栓は六角形ですから、モンキーレンチだとくわえる角度が決まってしまいます。
その点、ベルトレンチは角度を自由に調整できますから、狭小箇所での締め付けに向いています。
イマイチなところ
仕組み上仕方ないのですが、回すたびにラバーをセットし直す必要があります。
そして当然のことながら、普通のレンチ類よりは弱いですから、あまりに強烈な力を加えると壊れます。
今回のまとめノート?
器具付けは、配管工としての代表的な作業の1つです。今回はそんな器具付けにおいて、かゆい所に手が届く便利な工具を4つご紹介しました。以下の4つです。
※クリックで各製品説明へ飛びます。
もし、まだ持っていない、使ったことがないという方は、1番使えそうだと思ったものからでも試してみることをお勧めします。
いきなり全部揃えるのは厳しいと思いますから、まずは周りに持っている人がいないか探してみるのも良いですね。
では良い配管工ライフを!
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