ナイスジョイントで拡管不足になったら試す5つのステップ

ステンレス管(薄肉)の配管で代表的なナイスジョイントですが、ごくまれに漏水することがあります。その原因としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 袋ナットの締め忘れ(締付け不足)
  • パッキンのよじれ(断裂)
  • 拡管不足

中でも「拡管不足」は、もし拡管不足が原因の漏水ということが確定してしまうと、全箇所確認という事態になりかねません。これは大変面倒なことです。

ですから、拡管不足というのは何としても避けたいところです。

そこで今回は、拡管がどうしても完全にしきれない場合の対処方法について、5つのステップをご紹介したいと思います。

拡管不足に気付く術

拡管をしっかりとできるようにあれこれする前に、そもそも拡管不足に気が付かないと意味がありません。そこで、まずは拡管不足に気付く術をまとめておきます。

①見た目が明らかにおかしい

目で見て違和感がある場合は、かなりまずい状態です。正常に拡管できている管を何度も見ていれば気が付くと思います。

②ゲージをクリアできない

付属のゲージは、作業開始時や50回前後(メーカー推奨)拡管した時、見た目に違和感がある時などに使用します。

この確認だけは徹底しなければなりません。

③締込みが妙に硬い

拡管不足だと、拡管されて山形になっている部分が、正常な時よりも長くなることがあるようです。ということはつまり、ナットが締めづらくなるのです。

もしナットを締めていて、なんか締めづらいなぁと違和感を感じたら拡管不足を疑いましょう。

以上を踏まえて、拡管不足になった場合の5ステップを確認していきます。

ステップ1.アタッチメントはしっかりと締まっているか?

まず最初は基本的なところから確認しましょう。アタッチメントがしっかりと締まっているかということです。

アタッチメントは大きく3つのパーツに分かれています。棒の部分が最も緩みやすいですし、根元の部分も稀に緩んでいることがあります。

拡管不足が疑われる場合には、一旦棒を外して緩みがないかを確認しましょう。

ステップ2.拡管ゴムを交換する

拡管ゴムはアタッチメントの棒の部分に付いている透明のゴムです。この部分が管を膨らますのに大変重要な役割を担っています。

拡管ゴムは交換目安の拡管回数を、メーカーがマニュアルに謳っています。

理想としてはこの回数を基準に交換したいところですが、現場ではそうもいかないと思います。(正確な数を数えるのは困難です)なので、普段は管の抜き挿しがしにくくなったり、見た目がボロボロになったりしたら交換するくらいで良いかと思います。

日頃から予備を1つ以上確保しておけば、拡管不足の時に替えて確認することができますから、交換時に注文しておくと良いでしょう。

面はしっかりと取りましょう!

SUS管の加工の際には、切断をバンドソーですることがほとんどかと思います。バンドソーで切断した切り口は、かなりのバリが出ていますから、ヤスリやリーマーなどを使用してしっかりとバリを取らなければ、拡管ゴムの寿命を早めてしまいます

バリ取りには拡管の本数やレベルに応じて以下のような選択肢があります。

棒ヤスリ

昔ながらのヤスリです。価格も安く簡単に手に入りますから、細物を数本しか加工しない場合などはヤスリで十分かと思います。

手動リーマー

管端に当ててクルクルと回すことにより、内面・外面のバリが取れる手動のリーマーです。棒ヤスリよりはかなり使いやすいですが、使用できるサイズが限られるのと、全て手動で行わなければならないのが難点です。

電動面取り器

径や本数によらず、最強なのが電動リーマーです。私も現場で使っており、内面・外面共に非常に簡単にバリを取ることができます。とにかく値段が高いのが難点です。

ステップ3.電源(電池)を確認する

1回の拡管には数秒かかりますから、その間は安定した電源の供給が必要となります。

もし現場の電源を拡管器だけのために使わせてもらえるなら全く問題ありませんが、実際の現場ではそうはいきません。旋盤やバンドソーを使いながら拡管しなければならないかもしれませんし、大工さんと共用かもしれません。

大工さんがスタッドを高速カッターで切断していて、何度も電源が落ちると、下手くそだなぁとボヤいてしまうこともあります。

つまりは、現場では安定した電源の供給がされない状況があるので、それが原因で拡管不足になることがあるのです。

とは言え、この場合はほとんど気が付くことができます。なぜなら以下のような、明らかな異変があるからです。

  • ブザー&ランプで知らせるタイプなら、ブザー&ランプが鳴らない(点かない)か、途切れ途切れになる
  • 音の変化で判断するタイプなら、音が変わらないかそもそも音が弱くなる
  • アタッチメントの棒の部分が動いてない(動きが極端に鈍い)

このような異変は、耳栓をしていたり全てノールックで作業したりしない限りは、見逃さないと思います。

ちなみに、充電タイプの場合は、電池の充電不足が原因となります。充電不足だと音が明らかに元気なくなりますから、この時はすぐに気が付くと思います。

ステップ4.他のサイズは大丈夫?

13までで原因が分からないとなると、次に疑うのはアタッチメント(特定サイズ)の故障です。拡管器は1360までを拡管できます(充電タイプは1325)が、もし特定サイズが故障しているなら、他のサイズに変えると問題なく拡管できるはずです。

逆に他のサイズでも同様に拡管不足になるのであれば、アタッチメントではなく本体が故障している可能性があります。現場にもう1つ拡管器がある場合には、「5.本体とアタッチメントを入れ替えてみる」を確認してみてください。

別の拡管器がなく、ここまで確認して原因が分からなければ、潔くメーカーに修理に出すべきです。

ステップ5.本体とアタッチメントを入れ替えてみる

ここまでくると、メーカーへの修理は免れません。つまり、本体かアタッチメントのどちらかが故障していると思われます。

そこで、もし現場に複数台の拡管器があれば、別の拡管器にアタッチメントをセットしてみましょう。拡管不足になるアタッチメントを別の拡管器にセットして、問題なく拡管できるようであれば、確実に本体が故障していると結論付けられます。メーカーへ直行です。

まとめ

ナイスジョイントの拡管器はとても高価な物ですので、現場によってはリースということもあります。リースの場合は新品というわけではありませんし、自社で持っていたとしてもハードな現場仕事で使うわけですから、必ずガタがくるタイミングがあります。

加工をしていてもし拡管不足に気付いたら、直ちにこのページにあるステップを踏んで頂き、原因を明らかにすることをお勧めします。

アタッチメントや本体の故障が疑われる場合には、決して自分でバラして何とかしてみようとするのではなく、いち早くメーカーに修理を依頼する方が無難です。

おそらくメーカーの修理は時間がかかりますが、自分でバラして保証がきかなくなったり、さらに症状を悪化させてしまったりする可能性もありますからね。

少しでも道具の故障を少なくし、末長く使い続けて頂くための参考となれば嬉しいです。

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